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引っ越した町は悪に満ちている  作者: まなた
瑛人編
103/178

被害者として

食事はいつものように行われた。


沙夜はもくもくと食べる。


母さんは適当な話題をふって、僕はそれに答える。


すると、インターホンがなった。


「誰かしらこんな夕食時に」


母が玄関までいく。


「開けちゃだめよ、お母さん」


「どちら様?」


「警視庁の松田です、息子さんとお話がしたくて」


「へぇ、またどうしてですか?」


「事件の被害者ですからね、少し事情を」


「わざわざ家にこんな夕食時に…」


「すいません、出直します」


「いいよ、母さん。上がってもらえば」


「そう?」

僕は母さんの顔をみてゾクッとした。

冷徹な顔…僕が見たことのない顔だった。


「どうぞ」


「すいません、突然」


「どうしたんですか?」


「いやぁ、君を刺した犯人が死んだのは知ってるよね」


「はい、なんか惨い殺され方だったって」


「そうそう、で事件の件はさっさと終わりにしたかったんだけど、今度配属された、俺の上司が張り切っててさ。被害者にききこみして、刺される理由があるか聞いてこいって言うもんだからさ」


「理由なんてわかりませんよ、急に刺されたんですよ」


「そうだよねぇ」


「元気な上司さんなんですね、はい。お茶をどうぞ」


「元気と言うかめんどくさいと言うか。あ、すいません」


「で、あなたは何の情報を持って帰らないと行けないの?」


「瑛人君と犯人の接点です」


「そんなのないですよ。見知らぬ人です」


「だよねぇ、そんな報告で許してくれるかなぁ」


「そんなに、頑固な人なの?」


「ええ、大変です」


「ごめんなさいね、力になれなくて」


「いいえ、夜分遅くにすいませんでした」


「あ、そうだこれ、お茶菓子なんですけど、よかったら警察の皆さんでどうぞ」


「そんな、悪いですよ」


「いいんですよ、その頑固者の上司にあげたら意外と優しくなるかもしれませんよ」


「ははっ、そうなるといいんですけどね」


刑事は帰っていった。


「大変ね、警察も」

沙夜がぽつりと言った。


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