闇は深まる
僕らは家に帰って早速本を読んだ。
昔この村には鬼がいた。鬼は毎年一人の人を誘拐し補食する。
村の人々は毎年生け贄を用意し鬼の怒りを沈めてきた。
ある日、鬼は姿を見せなくなったが、村の人々は不安にかられ、毎年生け贄を一人用意し続けた。
これはあくまで昔話である。
「こんなの信じられるか?沙夜」
「都市伝説みたいだね」
「これを信じたら今も誰かが生け贄を用意してるってことになる」
「それが父さんだなんて信じられない、ねえお兄ちゃん。私はあの刑事が怪しいと思うの。だってあれを自殺って言うのよ」
「ああ、なんとか接触できないかな。そういえば今日、この町のことを詳しく知ってる同級生に聞いてみるかな」
「そんな人いたんだ」
「友達ってわけではないけど隣の席になった北條ってやつでさ、この町には呪いがある、けど深入りはするなって」
「深入り…その人も怪しいんじゃない」
「そんな風にはみえなかったけど」
とりあえず、僕らは大事な部分をメモして寝ることにした。
翌日、北條が川で遺体で発見されたニュースをみて僕は絶望した。
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