3-21.『昏い路地裏の雑貨屋で』
昨日、投稿した後に気付いたのですが、ブックマークが100件超えてました
これからも応援よろしくお願いします
あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ!
『わたしは フェルアと一緒に大会の会場から帰っていたと思ったら いつの間にか知らない場所にいた』
な…何を言っているかわからねーと思うが わたしも どうなっているのかわからない……
頭がどうにかなりそうだった……
催眠術だとか超スピードだとか そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……
…
……
…………はい、人生で一度は使ってみたかったセリフを言うことができました!
いやー、感動!
まさか自分がこのセリフを言う立場になるとは思わなかったから感動も一入だよ。
ちらっと後ろを振り向いてみると、そこにはわたしの身長よりも高い壁。
周りを見渡してみる。
堆い建物の群れが見下ろし、それらの陰がわたしを包み込む。
さっきまでいた王都の通りは、日が傾き始めたとは言わないまでも空がうっすらとオレンジ色に染まってきた頃で、昼間と変わらないくらい全然明るかった。
それなのにここは、夕方に太陽が沈む直前のような薄暗さだ。
見た感じ、ここはどこかの路地裏だと思う。
ついさっき、ほんの一瞬前まで、わたしはフェルアとシリウスの2人と一緒に大会の会場からホテルに帰ろうとしていたはずだった。
それがいつの間にか、知らない路地裏にいた。
後ろが行き止まりだから、人混みに紛れてやって来たなんてことは有り得ない。
かといってここまで自分で歩いて来たじゃない。
つまり、わたしは神隠し的な何かの被害に現在進行形で遭遇しているってことだ。
うん、自分で言ってても訳が分からない――違った、わけがわからないよ。
……ダメだね。
思ったよりパニックになってるのか、どうしてもネタに走りたくなってくる。
だけど、それほど逼迫した状況に立たされている訳でもない。
この状況を解決する方法はとっても簡単だ。
空飛んでさっさとホテルに戻る。
でもそれは、現況に対する解決策であって、わたしが今現在直面している何とも形容しがたい問題についての解決策ではない。
そもそも、ここが王都であることすら怪しいのだから。
わたしがここに来たのは、十中八九、誰かが何かしらの意図を持って連れてこられた。
つまり、あるか分からないけど転移魔法か何かしらの手段によって連れてこられたわけであって、必ずしもここが王都の一角であるとは限らない。
可能性としては低いけど、下手したら元の世界のどこかってことすらあり得る。
それか、残りの1、2割の確率でリアル神隠し。
ここに来てファンタジー路線からホラーに変わるなんて夢にも思っていなかったよ……。
どちらにしろ、元凶となってる何かをどうにかしないといけない訳だ。……代名詞が多くてハッキリしない!
1つだけ分かってることは、わたしが動かないと今の状況も動かないってこと、それだけは確かだ。
「仕方ないか」
わたしはため息をつくと、路地の先へと歩み始めた――
◆◆◆
どこまでも続く建物の壁。
まるでお膳立てされたみたいな一本道が暗闇の向こうへと伸びている。
そんな殺風景な道を歩くこと5分。
いい加減、魔法使って抜け出してやろうかなって思ったところで、この迷路は唐突に終わりを迎えた。
そこにあったのは一軒の民家。
煙突付きの木造2階建てで、外壁にはペールオレンジの明るい漆喰が使われており、軒先に木でできたベンチとビオラみたいな花を付けた植物の植木鉢が吊されている。
特にこれといった特徴も見当たらない、むしろオシャレな感じが溢れ出ている家。
暗い路地の先にあるんだから、もっと全体的に黒っぽくて、歪な形をした魔女の家みたいなのが出てくるなら理解できる。
しかし、現われた家はここの場所のイメージとは真逆の雰囲気を纏っていて、それだけに周囲から浮いている。
他に目立ったものはないから、ここが目的地で合っているんだろう。
注意をしながらドアノブに手をかける。
心地のよいドアベルが鳴り響く先にあったのは、アンティークの山だった。
乱雑に、それでいてどこか、整然と本が詰め込まれた本棚。
トルソーに着せられたローブやドレス。
ブローチ、イヤリング、指輪などの装飾品……。
その他にも、揺り椅子や壁掛け鏡、ランプシェードにティーセットなど、至る所にアンティークが置かれていた。
古いデザインの中にも細やかな技術や飾らない美しさとも言うべき味の感じられるそれらは、素人のわたしでも一目で名品だと理解できる。
そんな美術品の海の中を歩いていると、一冊の本に目が留まった。
――『魔と魂魄と精神の執行者』
……この中二チックなタイトルには見覚えがある。
フェルアの持っていた魔法書だ。
内容は確か……魔法の仕組みとか性質が中心に書かれた本だったっけ?
タイトルのくせに書かれてることはしっかりしてたんだよね。
この本のお陰もあって、わたしはマナの使い方だったり魔法の使い方を学べた。
「うん?」
魔法書のページをペラペラとめくっていると、机の端に置かれた1つの物体に気が付いた。
それはここに存在するはずのないものだった
独特なフォルム、ボディのメタリックな質感
わたしも実物を見るのは初めてだ
でも、“ソレ”が何かを知っている
わたしが好んで読んでいたその手の小説には、作中で何度か登場したのだから
時に異世界に召喚された勇者が
あるいは転生した主人公が
剣と魔法のファンタジー世界に似つかわしくない、いっそ無粋とも言える“兵器”を持ち込んでくる
そう、それは――
「それはね、『銃』って言うんだよ」
わたしは声の主の方へと振り向き――
次回!
シオンを連れ去った犯人の思惑とは
そして、彼女に声を掛ける人物とは一体…!
少しだけだけどバトルシーンを入れられた(歓喜)!
あと書いてて思ったんですけど、パロディってどこまでがパロディなんですかね?
できるだけ著作権警察の方が働かなくて済むようホワイトな投稿を頑張りたいです




