3-17.魔法とは?
本日2話目
――魔法とはどんなものだろうか?
わたしが一番初めに感じた疑問はこれだった。
科学というものの存在をを知っている身としては、空中にいきなり水の塊が出現したり、炎でできた槍が予備動作なしでものすごい速さで飛んでいく光景を奇妙に感じた。
一体これらはどんな法則を持って成り立っているんだろう、と。
不思議だよね。
「魔法は魔法ってことで、科学だの物理法則だのに当てはめのはナンセンス!」なんて思っていたけど、いざ使ってみると原理が知りたくなってくる。
だって怖いじゃん?
普段、何気なく使ってた魔法がふとした拍子に使えなくなる、あるいはコントロールが利かなくなって自分に向かってきたりしたら。
考えるだけで鳥肌ものだよね。
この疑問を解決してくれたのは、意外なことに『神威』だった。
武器にマナを纏わせて攻撃力を上げる『神威』と、『神威』を発動させるのと同じ量のマナを込めた魔法を使うのとでは、どちらの方がより高い威力になるのか?
結果――断然『神威』の方が強かった
『神威』を纏った剣が大木をバターのように斬り裂けるのに対し、試し打ちで放った『烈風刃』の魔法は、木の幹を半分切断するのがやっとだった。
つまり、魔法とはマナをエネルギーとして自然現象を再現している……のかなーとわたしは思う。
その辺はよく分からないけど、とにかく魔方陣を通して魔法を発動させると大きなロスが生まれるのは分かった。
「だから、マナを直接操作して魔法を発動させた方が効率がいいんだよね」
「でも、そんな簡単なことだったら大昔に体系化されていそうなものだけど?」
「それなんだけど、この方法で魔法を使うのには問題があるんだよね」
「問題?」
「マナを魔法にするのがめちゃくちゃ難しい」
魔法書を見て分かったことだけど、魔方陣にはマナを魔法にするための情報が色々と詰まっている。
マナを火や水、風だったりの属性に変換するための情報、マナを収束して魔法の形に構成する情報、発動した魔法の範囲や威力を調節したり修正する情報……。
つまり、魔方陣なしで魔法を発動させるってことは、これを全部自分でやらなくちゃいけないってことになる。。
例えるならば、数学の公式を知らないのに問題文から答えをストレートに出すようなもので、経験とか感覚とか、もしくは才能とかがないとこの方法で魔法は発動できない。
仮に魔法が発動できたとしても、そこからの操作だったり威力の調節とかも自前でやることになるから大変だ。
一歩間違えれば暴発とかするし……。
多分だけど、マナを直接魔法にするのはリスクが高くて危険度MAXだったから、魔方陣って形の補助を間に入れることで魔法を使いやすくしたんじゃないかな?
「だから、わたしの『絶凍障壁』も氷魔法じゃないって訳。強いて言うなら無属性魔法?」
「なるほどね。じゃあ何で氷魔法みたいな名前にしてるの?」
「だってその方がカッコいいじゃん!」
「……」
呆れたような目でわたしを見るフェルア。
「……冗談だって。本当の理由はイメージしやすくするため」
「イメージ?」
「そう、イメージ。『こんな魔法が使いたいなー』とか、『こんな感じで動かしたいなー』とかを強く思い浮かべるの。それが魔方陣の代わりになるからね」
魔方陣のサポートの代わりとなるのは、結局のところ自分の意思になる。
イメージに沿ってマナを変形させたり動かしたりすれば、魔法も同じような動作をする。
まあ、ここら辺は人それぞれだと思うから、わたしがとやかく言える訳じゃないんだけどね。
「そんな訳で、一番最初のマナの操作はイーリスに手伝ってもらおう」
「イーリスに?」
「見た感じ精霊ってマナが集まってできた存在でしょ? だからマナの扱いも上手いと思うんだ」
「分かったわ。イーリス」
いつの間にかシリウスの頭の上でまったりしていたイーリスはフェルアが呼びかけると空中に飛び立ち、彼女の手の平にぺたんと座った。
「それじゃあイーリスはフェルアにマナの操作を教えてくれる?」
「よろしくね、イーリス」
イーリスはこくりと頷くと、フェルアとマナのやり取りを始めた。
やっぱり精霊だけあってイーリスのマナの扱いはとても上手だ。
イーリスがフェルアからマナを引き出して、引き出した分のマナを送り返すというように、2人の間を絶えずマナの流れが循環しているのがよくわかる。
フェルアの方は早くもマナの動きを感じ取ることができたのか、少しずつではあるけれど自分でマナを動かそうとしている。
この調子なら直ぐにでもマナの操作を身に付けられそうだ。
さて、訓練の方はしばらくイーリスに任せるとして、わたしはわたしの準備をしておこうかな。
明日は待ちに待った闘技大会だ!
タイトル変えたくなってきた




