3-14.リード商会
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「もうヤダ……」
そんな自己嫌悪に満ちた泣き言が、ふかふかのベッドで気持ちのいい朝を迎えたわたしの耳に飛び込んできた。
その言葉が発せられている先、隣のベッドに視線を向けると、フェルアがシーツにくるまっている。
「どうしたの、フェルア? ああ、お風呂のことか」
「いやあ! あんなのは私じゃない! 忘れて!」
昨日、お風呂で酔ってわたしに抱きついてきたフェルアだったけど、そのときの記憶はしっかり残っているみたいだ。
……にやり。
「シオン~」
「……『烈風刃』」
「うわっ! 魔法は禁止! 禁止!」
「『疾風槍』」
「ちょっと! それはマジで危ない! ぎにゃあ!?」
その日、王都のとある宿屋のスイートルームに少女の断末魔が響いたとか何とか――
――まあ、嘘なんだけどさ。
◇
「マジで怖かった。魔法がなければ即死だった」
あの後、わたしはフェルアの殺意がしっかり籠もった魔法の数々を小一時間くらい躱し続けた。
途中からは低級魔法で手数を増やして確実に当てにきてたし、ちょっとでも隙を見せようものなら強めの魔法を躊躇いなく撃ってきてたし……。
もし、わたしが防御障壁を張ったなかったら、今頃部屋はすごいことになっていただろう。
ホントに怖かった。
最後なんか、ここの従業員の1人であるリーンさんがモ-ニングコールをくれたからよかったものの、あれがなければ2、3発は魔法を喰らっていたかもしれない。
これからはフェルアをからかうときは気をつけよう。
止めるとは言ってない!
「それで? 今日の予定は?」
朝ごはんを食べてから、フェルアは普通に話しかけてくれるようになった。
まあ、ちょっと視線がキツい気がするけど……。
「午前は昨日言った通り、リード商会でわたしたちの服を買って、午後からはフェルアの特訓」
「特訓なんて聞いてないわよ?」
「そんな難しいことはしないよ。わたしが新しい魔法を教えるだけだから」
今日1日の予定を確認しながら大通りを歩いて行くと、目的のリード商会に着いた。
流石は王国一と呼ばれる商会の本店だけあって建物も立派だ。
冒険者ギルド本部と変わらないくらい大きな建物は総合スーパーのような見た目で、品揃えも豊富らしい。
支配人のアーネストさんが言ってた。
「かなり混雑しているわね」
「うん、わたしもこんなに混んでるとは思わなかった」
開店してすぐのはずなのにリード商会の店内はかなりの人集りだった。
「服はどこで売っているのかしら?」
「うーん……あっ、店内図があった」
店内図によると、1、2階は食料品や洗剤、魔道具の燃料用の魔石などの生活用品、3階が冒険者向けの武器や防具みたいに分かれている。
そして、わたしたちの目的とするフォーマルな衣装は、4階にある貴族や富裕層向けのコーナーにあるみたいだ。
階段を見つけて4階に上がり、女性ものの礼服があるコーナーに向かう。
「ドレス、ワンピース、アンサンブル……イヤリングとかネックレスって必要かな?」
う~ん、いろいろあって迷う。
そもそも、高校生だったわたしにどんな衣装がフォーマルなのかとか分かる訳ないじゃん。
フェルアの方はどうかな……って!
「フェルア、それって全部、値段見て選んでるでしょ」
「な、何のことかしら?」
「わたしが払うから気にしないでいいのに。あっ、このドレスなんてフェルアに似合うと思うよ!」
「あなたが気にしなくても私は気にするのよ!」
「すみませーん! 試着ってできますか?」
「はい、あちらにフィッティングルームがございますのでご利用ください」
「私の話は無視?」
店員さんに試着ができるかを確認して、フェルアをフィッティングルームに放り込む。
時間がかかりそうだったから近くにあったアクセサリーや小物を眺める。
しばらくすると店員さんに手伝ってもらってドレスに着替えたフェルアが現われた。
「どうかしら?」
「すっごい綺麗」
フェルアの髪の色に合わせて若葉色のドレスを勧めたんだけど、ファンタジーアニメに出てくる森の妖精みたいに神秘的で綺麗だ。
うん、わたしの目に狂いはなかった!
「お客様、こちらのライトグリーンのストールを合わせてみてはいかがでしょうか?」
「いいね。それならこっちの水色のドレスも合うんじゃない?」
「でしたら、このローファーもお勧めです。白を取り入れることで清楚感を出すことができます」
「私は着せ替え人形か何かなの?」
それからはフェルアのコーディネートについて店員さんと意気投合した。
着せる人の素材が良いから基本何を着ても似合うから話が弾む。
ついでにわたしの衣装や普段使いできる服も見繕ってもらって会計になった。
「シオン、あのカードは使わないの?」
「そうだった。コレって使えますか?」
「拝見します……し、少々お待ちください!」
なんか、リード商会のVIPカードを見せたら店員さんがどっか行った。
あの焦り方はスゴい既視感のある光景だ。
具体的には王都に来たときの兵士。
少しして戻ってきた店員さん案内されて応接室のような部屋に案内される。
うん、ソファーがふかふか。
座り心地がすごい良いし、出された紅茶とお茶請けのマカロンもおいしい。
そうして待つこと数分、なんかどこかで会ったような人がやって来た。
そう、具体的にはアンガルの街のリード商会で会ったメリッサさん。
「お久しぶりですね、シオンさん」
「久し振りだね、メリッサさん」
「覚えていただけているとは光栄です。では、改めて自己紹介を――」
メリッサさんはわたしたちの向かいのソファーに腰掛けると、流れるように一つお辞儀をして口を開いた。
「私はリード商会代表取締役兼会長のメリッサ・リードと申します。以後、お見知りおきを」
ちょっと長くなりました。
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