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夢幻泡影のカレイド・マジック  作者: 匿名Xさん
第二章 ~嘆く少女のアウフヘーベン~
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2-21.『黒幕は?』

ブクマしていただいている方、初めて見て下さる方に今一度謝罪します。更新が遅くて申し訳ありません。

趣味で投稿しているので、まとまった時間が取れないと投稿できないんです。


 よし、襲撃者は全員無力化できた。


 地面に穿たれたクレーターの中央で伸びているジムをマジックバックから取り出したロープで適当に縛る。もし目が覚めたとしても指一本動かせないと思うけど念のためだ。


 ジムを引きずってクリスたちのいる所まで戻る。そこにはシリウスが倒した他の襲撃者たちが、正に死屍累々といた体で転がっていた。

 ……うめき声が微かに聞こえるから死んでいないことは分かるんだけど、シリウスってばやり過ぎじゃない? あっ、よく考えたらブーメランだったわコレ。


「グァン」

「うん、まあ、良くやったね。ありがとう、シリウス」

「グァン!」


 駆け寄ってきたシリウスにねぎらいの言葉を掛けて頭を撫でてやる。シリウスは自慢するように一声吠えた後、頭をわたしの手にすり寄せ、気持ちよさそうに撫でられている。


「シオン君! 大丈夫だったかい!?」

「先生! さっきのすごい音したんだけど!」

「大丈夫だよ。ほら、私は掠り傷1つ無いから」


 怪我がないか心配してくる子供たちに私が無事であるということを伝えなだめる。子供たちもわたしの様子を見てすぐに安心してくれた。


「そっちは誰も怪我いてない?」

「おう! シリウスが速攻でやっつけてくれたぜ!」

「最後の1人なんか泣きながら剣を振ってたし」

「『こっち来るな!!!』とか、声のトーンが本気だったわ。確かに、仲間が次々と脱落していったんだし、無理もないわね」

「うん、襲ってきた向こうが悪いんだけど、アレには同情しちゃうよ……」


 さすがシリウス先輩。襲撃者たちにトラウマを植え付けるほどだったとは。話を聞く限り、どうもわたしよりも早く制圧を完了させていたみたいだし。


 わたしだって対人戦の練習(笑)なんかしないで全力出してれば開始3秒くらいで瞬殺できたんだし、なんか待たせちゃったみたいで悪いな。


 よし、シリウスには堅牢(バーリー)剛角(・ホーン・)水牛(バッファロー)の一番良いお肉をあげるとしよう。


 うん? そもそもあれはシリウスが倒したんじゃん。なにか他のご褒美を考えなきゃ。


 それにしても、襲撃者が全員伸びてるんじゃ拷も……お話できないなー。


 仕方ない、敵に塩を送るみたいで業腹だけど魔法薬(ポーション)を使うか。その前にこいつらも拘束拘束っと。


 こっちの襲撃者9人はこれから回復させるから、ジムとは違って念入りに拘束してある。手首を後ろで縛って足首と胴にもちゃんと縄を掛けている。

 しかも、この縄はわたしが『開闢の樹海』で倒した魔物の素材で、ちょっとやそっとじゃ千切れないヤツだから、万が一にも逃げられることはないだろう。


 それじゃあ、わたし特製の良く効く魔法薬(ポーション)をちょっとずつ掛けて、っと。


 ……あれ? 目が覚めないんだけど?


「起きないわね」

「多分、シリウスと戦った時のショックが大きかったんだと思うよ」

「マジかよ」


 わたしも言いたい。マジかよ……。


 いかにも「裏の仕事してます!」って感じだったのに、怪我くらいでショック受けてんじゃねぇよ!


 イラッときたわたしは襲撃者たちに軽い雷魔法を放って気付けをして、強制的に夢の世界から戻ってきてもらうことにした。


「うっ、ここは?」

「おはよう。良い夢は見られたかな?」

「「「……」」」


 襲撃者たちはすぐに起きた。


 そして、自分が縛られていることを瞬時に把握し、脱出と逃走を試みる。状況判断力が高く、無駄な動作が一切無い。

 なんか、プロっぽくてカッコいい。


 とか思ったんだけど、視界にシリウスの姿を認めた途端、どいつもこいつも顔を真っ青にして、この世の終わりだとでも言いたげな雰囲気を醸しだし、諦めの表情を浮かべる。よく見ると、目の端に涙溜めてるヤツもいる。


 おい、お前ら揃いも揃って情けないぞ? それともこれだけのトラウマを植え付けたシリウスに驚けば良いのかな?


 それはともかく、こいつらに話を聞くとしよう。


「さて、何故、私たちを襲ったのかを話してもらおうか?」

「「「……」」」

「だんまりか。それならもう一度、地獄を覗いてくるか?」

「グァン!」

「「「……」」」


 ほほう? なかなかどうして口が堅いな。シリウスを嗾けることを臭わせてもだんまりを決め込むとは。流石は日の当たらない世界で生きる人たち、って言うべきかな?


 まぁ、小刻みに震えてところが微妙に笑いを誘うんだけど。

 もう少し脅してみたい気もするけど、このままじゃ埒が明かない。


「仕方ない――」

「ぐっ!?」


 わたしは襲撃者の1人の首を掴み、締め上げる。

 襲撃者は身をよじって暴れるが、そんなことじゃびくともしない。


 そして、藻掻き苦しむ襲撃者の口にマジックバックから取り出した小瓶を突っ込む。襲撃者は小瓶に入っている液体をこぼしながらも飲み込んだ。

 それを確認したところで手を離す。


「ゴホッ、グッガッ……アガァァァアア!!!」


 途端に苦しみ出す仲間を見て、他の襲撃者たちは驚愕の表情を浮かべた。

 液体を飲まされた1人は大声で喚き散らした後、大きく体を痙攣させ、最後にはピクリとも動かなくなった。


「次にコレを飲みたいヤツは誰だ?」


 わたしは新しい小瓶を取り出し、容器を軽く振りながらそう尋ねる。他の襲撃者たちの顔色は青を通り越してもはや白くなっていた。


 一応言っておくけど、コレを飲んでも別に死にはしない。さっきのヤツだって気絶しているだけだし。


 なら、小瓶に入っている液体は何なのかというとマジックバックに死蔵されていた魔法薬(ポーション)だ。

 元々苦かったけど頑張れば飲めるくらいだったそれを、水魔法を使って凝縮してみた。


 冗談半分で作った代物だったんだけど、案外効果てきめんだったようだ。


「もう一度だけ聞くこう。何故、私たちを襲ったのか、その理由を――」

「冒険者をやってる養護施設の子供を殺せって依頼されたんだよ!」


 泡を吹いて死んだように動かない男を見て、流石の襲撃者たちも同じような惨い死に方はしたくないと思ったんだろう。一人が喋りだすと他のヤツも自分が知っている情報をつらつらと吐き始めた。


 こいつら、王都でオークションがあるこの時期に商人とかの護衛目的で集まった奴らだった。その道のプロだとか思ってたら、本物の闇ギルドに所属してたヤツは3人しかいなかった。散々あっちの世界だとか内心言ってたのが馬鹿みたいなんですけど!!


 そんでもって、話によると黒ずくめの男からこの話を持ちかけられたそうだ。内容が内容だったから断ろうと思ったが、前金で銀貨を提示されて話に乗ったらしい。

 いや、子供相手の依頼でその金額は怪しいとまず思えよ。


「それで? 依頼主の心当たりは?」

「「「……」」」

「おや? しゃべりすぎて喉でも渇いてきたか? だったらここに――」

「か、勘弁してくれ! そこまで話したらどのみち殺されちまう!」

「それ程の輩か……。さて、国か、貴族か、闇ギルドか、商会か……貴族だな」

「――ッ!!」

「オイ、馬鹿野郎!」


 おっと、ドラマの鎌のかけ方は異世界でも通用するんだね。そして、殺人依頼の相手は貴族か……。

 何かめんどくさいことになってきたぞ。


「『催眠(スリープ)』、『浮遊(フロート)』」


 わたしの唱えた魔法によって襲撃者たちは眠りに落ちる。

 この魔法は古本屋にあった魔法書に載ってたやつなんだけどなかなか使い勝手が良いね。『催眠(スリープ)』は水の上級魔法で『浮遊(フロート)』が風の中級魔法だった。

 ちなみに、内容は意味不明だったので魔法名と効果だけ読んで、後はイメージとマナで無理矢理発動させてたりする。


「それじゃあ、私はこいつらを引き渡してくる。ナターシャさんには遅れるって伝えてくれ。シリウスは教会に帰っていていいよ」

「ヴァン」

「シオン君、気をつけて」


 わたしはクリスに伝言を頼むと『飛翔(フライ)』の魔法で空に飛び上がった。もちろん、襲撃者の皆さんもお空の旅にご招待だ。


 さて、取り敢えずこいつらを兵士に引き渡して、わたしのお世話になっている人たちに危害を加えようとした輩に制裁を加えに行こう。



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