表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻泡影のカレイド・マジック  作者: 匿名Xさん
第二章 ~嘆く少女のアウフヘーベン~
34/96

2-5.町への買い出し


 昼食を食べた後、小さい子供たちはお昼寝をしている。


 その間に、わたしとナターシャさん、それにフェルアを合わせた三人で町に買い物に来ている。

 今回の買い物で必要なものは、パンや野菜といった食料品と子供たちの衣服とそれを直すための裁縫用の糸だ。


 食料品は教会の家庭菜園で野菜は育てているんだけど、二十人近くいる子供たちの消費量はとても賄えないので、足りないものは定期的に買いに来ている。

 肉やおやつは節約のために月に二、三度ほどしか買えないので今日はなしだ。


 衣服は小さい子は成長が早くてすぐにサイズが合わなくなるし、庭でよく遊ぶから頻繁に膝とか裾が穴が開いたり破けてしまう。

 よっぽどのものでなければ直せるのだが、何度も直してボロボロのものとかサイズが小さくなってしまったものは流石に買わないといけない。

 もちろん、新品の服は高いから古着屋で良さそうなものを見繕う。


 マジック・バックがあるわたしは荷物持ちの代わりで、ついでにこの町のものを見てみたいと思って同行した。

 そういうわけで、いつもは荷物持ちとしてついて来ている冒険者組の五人は、教会で朝にやった訓練の復習をしてもらっている。


 ちなみに、シリウスは子供たちにすっかり懐かれたようで、昼寝をしている子供たちの毛布代わりに抱きつかれていた。




 ◇




 「おや? ナターシャさんじゃないか」


 バザールみたいになっている広い通りを歩いていると、精肉店のおばちゃんから声がかかった。


 声が大きくてハキハキとしたしゃべり口調と白いエプロンと三角巾をした恰幅の良い外見から、肝っ玉かあちゃんって感じの印象だ。


 「今日はお買い物かい? それにしては上の子たちが見えないようだけど……」

 「荷物持ちは彼が買って出てくれたんですよ」

 「新しい子かい?」

 「いいえ、今教会に泊まっている冒険者さんよ」

 「どうも、シオンです」

 「ふ~ん、そういうことか。あたしはジェマだよ」


 ジェマさんはわたしとフェルアを交互に見ると、何やら納得したように頷く。


 一体何だろう? 

 フェルアの方を見てみると、視線の合った彼女が微笑みかけてきた。

 別におかしいところはどこにも……そういうことか。ジェマさんはわたしがフェルアに惚れているとでも思っているんだ。


 残念ながら、わたしって女なんだよね。

 でもそっか。魔法で姿を変えているから他人から見るとそういう風に捉えることも出来るのか。


 「それで、養護施設の方は大丈夫かい?」

 「ええ、年上の子供たちが小さい子の面倒は見てくれるし、クリスたちも冒険者をやって稼いでくれてるから前よりは楽よ」

 「それは良かったよ。あの腐れ領主になってから、あたしたちの生活もちょっと苦しくなったからね」


 ナターシャさんは養護施設の子供たちについて、ジェマさんは自分の店のことについて話したりと世間話が続く。


 てか、ここの領主ってクズ貴族とか放蕩貴族系のダメな奴なの?

 わたしはスタンピードの報償をもらうために王国会議に出るから、ここの領主がよっぽどダメな奴なら国王にでも言いつけてやろうかな?


 「そうだ! コレ持って行っておくれよ」


 結構長かったけどようやく世間話が終わっていたみたいだ。


 するとジェマさんは一塊のオークの肉と、いろいろな肉の切れ端なんかの詰まった袋をわたしに渡してきた。大きめの袋だから以外と重い。


 「いつもごめんなさいね」

 「いいんだよ、食べ盛りな子供たちが二十人近くもいるんだ。ここの商店街の奴らもみんな応援してるよ!」

 「そうだぜ! あんまり多くは渡してやれねぇが、うちの魚も持って行ってくれ!」

 「バランスを考えろ、バランスを! 子供は嫌がるが野菜も食わんと大きくなれんぞ!」

 

 どうやらこの町の人全員で養護施設を支えているらしい。

 商店街にいる人たちが、次々とわたしに食べ物や子供の着なくなった古着とかを渡してくる、っていうか多い多い!

 両手が塞がっちゃってるからマジック・バックにしまうこともできないんですけど!


 「フェルア、マジック・バックにもらったものを入れるの手伝ってくれない?」

 「シオンお兄ちゃん、頑張ってね」


 お前はわたしが女だって知ってるだろ!


 次に訪れたパン屋さんでも食パンを一斤おまけしてもらったし、古着屋さんでは当て布に使う布の切れ端をいっぱいもらえた。

 買い物が終わる頃には、わたしの手にはもらった物と買った物で小さな山ができてしまった。

 彼女の買い物に付き合う彼しか何かかな?


 途中で身体強化の魔法を使わなかったら筋肉痛コースだったよ。


 結局は買い物が終わって孤児院につくまで筋トレまがいの荷物持ちをさせられていた。

 確かに荷物持ちで来たんだけどさぁ……。

 買い出しに行く前に、いつもは冒険者組5人で行っているって聞いて、子供の人数が多いからかと思ってたんだけど、本当の理由はいろんな人たちからおそそわけをもらうからだったのか。


 受け取ったものを一旦地面に置いてマジック・バックにしまっても良かったんだけど、折角の厚意でもらった物をそんな風に扱いたくなかった。

 第一、マジック・バックに仕舞えたとしても、何か後ろめたい気持ちになるだろうからしないけどさ。


 こんなことならもう二、三人着いてきてもらえばよかったかも。


 全然町の様子は見れなかったし、後で改めて買い物に来ようかな。


町人A「うちの魚も持って行ってくれ!」

町人B「ほら、新鮮な野菜だ!」

町人C「ちょいと小麦を仕入れ過ぎちまってね。3袋くらい余ってるんだよ」

シオン「(マジで重い……)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ