表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻泡影のカレイド・マジック  作者: 匿名Xさん
第一章 ~哮る覇王のレゾンデートル~
15/96

1-14.ランクアップと報酬の受け取り


 わたしが魔法を発動させると広場と同じくらいのサイズの魔方陣が浮かび上がり、水浸しになっていた地面が乾いていく。

 荒れていた地面も粘土を捏ねるようにひとりでに動き、1分もすれば模擬戦前の状態に戻っていた。


 広場にはさっきの模擬戦で、クレーターのような凸凹が至る所にあったけど、今の様子を例えるならば試合前の野球のグラウンドみたいな綺麗さだ。


 うん、完璧!


 ギルマスへの手加減は良かったけど、周辺被害を考えてなかったよ。狩りの時とか気を付けよう。


 それにしても、魔法名を考えるのは意外とめんどいな。暇なときにでも考えておくことにしよう。


 そんなことを思いながら、わたしの放った魔法の餌食となり、びしょ濡れとなったの冒険者達を乾かすべく、新しい魔法を発動させた。







 ◇






「ふぅ、ひどい目にあったわい」


 場所は変わってギルマスの部屋。


 わたしの攻撃を真っ先に受けたギルマスは当然の事ながら水浸しになっていた。それはもうぐっしょりと。

 流石に悪いと思ったので、魔法で温風を生み出して他の冒険者と一緒に乾かしてあげた。


 その甲斐あってボヤいてるギルマスの顔は、風呂上がりみたいにスッキリしている。雰囲気は湯上がりのお爺ちゃんのソレだ。


「ほれ、これが新しい登録証じゃ」


 おぉ、これが!


 手渡されたのは白っぽく輝く新しいバングル――ギルド証だった。


「白金ランクじゃ。このランクまでは各ギルド支部のギルドマスターに選任権が与えられている。あまり乱発はできんがな」


 なんと! いきなり4つもランクアップですか!

 でも、いきなりそんなランクを上げて大丈夫だろうか?


「ランクをこんなに上げてもよかったのか?」

「完全装備のわしを圧倒しておいて何を言うか。少なくとも実力はアダマンタイト級、いや、オリハルコン級じゃ」

「なら、アダマンタイト級とかにしてくれても良かったんじゃないか?」

「ミスリル級以上には実績と推薦が必要なんじゃ」


 ギルマスの話だとランクに足る実績と現役、もしくは引退してギルド職員になっている冒険者による推薦が必要らしい。


 ミスリル級になる場合は同じくミスリル級冒険者が5人推薦。


 アダマンタイト級になるには3人、オリハルコン級になるには1人が推薦しなければならない。


 もちろん、上位のランクに上がるためにはそれだけギルドへの貢献も必要だ。困難な依頼を達成したり、強大な魔物を討伐したりなどなど。


 だから、惨殺大熊(マーダー・グリズリー)だと白金級が精々みたい。


 ちなみに、元冒険者に『ギルド職員となった』という一言が付け加えられるのにはギルドの公平性を保つためとか。


 そうでもしないと貴族の子弟が冒険者を雇って魔物を狩らせて自分の功績にし、高位ランクになるということなどが罷り通ってしまうと。


 色々大変だねー。


「それとこれが素材の売却額と討伐依頼の報奨金じゃ」


 次に渡されたのは大小それぞれ5枚の金貨だ。


 金貨の実物を初めて見たよ。元の世界ではテレビぐらいでしか見る機会は無かったからね。


 それにしても、報奨金?


「あの惨殺大熊(マーダー・グリズリー)は討伐依頼が出とったんじゃよ。そんで合計額は大金貨5枚と金貨5枚じゃ」


 約5億5000万!?


 本マグロの初競りみたいな金額だよ!


 でも、このままだと使いにくいな。


「すまないが崩してくれるか?」

「いいぞ。じゃが、王都でオークションに入札するつもりがあるなら金貨は便利じゃ」


 成る程ね。


 オークションとかやってみたいから少しは残しておこう。


 わたしはその助言に従って、大金貨2枚を金貨20枚に。金貨1枚を大銀貨、銀貨、大銅貨、銅貨に崩して貰った。


 これで暫くはお金に困らないね。


「そういえばお前さん、この町にはどれぐらいおる予定じゃ?」

「ここから王都までどれぐらいの時間が掛かるかによるな」

「それなら歩きで20日、定期の馬車で10日ぐらいじゃが、お前さんの場合は強いしマジック・バックを持っておるで5日で着くかのう」


 この世界の人だとギルマスみたいに、瞬間的なら時速100キロで走れる超人みたいな人とか多そうだもんね。


 馬車だって魔物に引かせたら馬よりも早くてスタミナも長続きしそう。

 ここからだと大体500~600キロぐらいかな?


「なら、一月くらいはここにいる」

「それじゃったら2週間後の掃討作戦に参加せんか?スタンピードの対策として年に4回ほど行うんじゃ。報酬は弾むぞ」


 ふむ、わたしとしては別に構わない。


 それまでは普通に依頼を受けられるらしいしね。


「分かった、受けよう」

「受けてくれるか! 詳細はクエストボードに貼られておるから確認しておいてくれ」


 それで話は終わり部屋を後にする。




 ◇




 1階に降りてクエストボードを見てみる。


 掃討作戦とは、スタンピードの起こりやすい『開闢の大樹海』の魔物を定期的に狩ることらしい。


 何も対策をしないと数年でスタンピードが起こってしまうほどに魔物が増えるので、国が定期的に依頼を出しているみたいだ。


 前金が銅貨5枚で、その後の報酬は倒した魔物によって決まる。


 それはそうとして、今日はどんな依頼を受けよう。


 依頼は対象となっているモンスターや素材をギルドに持ってきて、早い者勝ちで依頼達成となる仕組みらしい。



 ・排水溝の掃除 1日 報酬:銅貨2枚


 ・ペット探し 報酬:銅貨1枚


 ・庭の草刈り 報酬:大鉄貨7枚

 


 ふ~ん、こんなのもあるんだ。


 10歳くらいの駆け出し用といったところか。


 かなりの数が溜まっているんだけどいいのかな?


 今日の所は森に行く予定だから、採集系や討伐系にしよう。



 ・小鬼(ゴブリン)の討伐 報酬:一匹、鉄貨3枚 討伐証明:右耳


 ・豚頭鬼(オーク)の討伐 報酬:一頭、銅貨5枚 討伐証明:右耳


 ・豚頭鬼(オーク)肉の買い取り 報酬:1キロ、大鉄貨2枚

 


 ランクが低い魔物は安いなぁ。


 一般人でもゴブリンなら一人でも勝てるし、オークも3、4人集まれば倒せるくらいの強さだし。


 もう少し強めの魔物は……おっ! これなんてどうだろう。



 ・猛毒(ポイズン・)雀蜂(ホーネット)の討伐 報酬:一匹、大銅貨3枚 討伐証明:毒針


 ・眩耀蜂蜜(グローリー・ハニー)の買い取り 報酬:100グラム、大銀貨1枚



 なかなかの報酬だからこれを狙おう。

 それに魔物が集めたハチミツにも興味がある。


 昨日の買い物で甘いものは価格が高い傾向にあったので手に入れておきたい。


 その前に買い物をしなきゃね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ