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サラマンダーの本気

 『・・・さて、そろそろ本気でやるとすっか。』

 焔から許可が出たことで、サラマンダーはコーンに不敵に告げる。

 「本気だと?お前、ランクは?」

 『ん?ランク?ああ、土使いが言ってた魔物の脅威度を表すあれか。・・・確か、Aだったな。』

 「Aか。俺もヤミー様の加護を受け、Aランク相当の強さになっている。なら、本気を出したところで俺には勝てん。火は土に攻撃があまり通らないが、俺の攻撃は通りやすい。ランクに差があるならいざ知らず、同等ならお前に勝ちの目などないぞ。」

 コーンは、自身とランクが同等で、属性が優位であることを告げ、サラマンダーの言葉を否定する。

 『・・・住む者達は、いろんなものにランクを付けてるそうだが、お前に一つ教育してやろう。んなもん大雑把な目安にすぎねーってことをな。』

 「ふん!粋がるな!これで終わりだ!」

 コーンは止めを刺すべく【ロックキャノン】を発動する。だが、岩石は一個だけではなかった。十個、ニ十個、いや、もっと大量の岩石がサラマンダーに向かって飛んでいく。

 「俺の得意技だ!名付けて、【マルチプルロックキャノン】だ!くらえ!」

 魔法の岩石の大群が、サラマンダーに向かって飛んでいく。そして、サラマンダーを埋め尽くしてしまう。

 「ははは!何が本気だ!火が土に勝てるもの・・・!」

 勝ち誇るコーン。だが、その言葉は最後まで言うことはなかった。大量の岩は、突然ドロドロに溶けてしまったのだ。

 「!?何だと!?」

 突然の事態に困惑するコーン。すると、そこにはサラマンダーがいた。だが、先ほどまでとは様子が異なっていた。サラマンダーの赤い身体は、さらに赤くなり、全身に炎を纏っていた。しかも、先ほどまで与えたダメージが、なくなっていたのだ。

 『・・・褒めてやる。俺に本気を出させたことをな・・・!』

 「・・・これは・・・!?」

 『こいつが俺の奥の手、【火炎蜥蜴サラマンダーの鎧】だ。今の俺の全身は、火山を流れる溶岩と同じ・・・いや、それ以上だ・・・!』

 すると、周囲の建物が突然発火する。

 「!」

 (あまりの高熱で・・・建物が自然発火を・・・!?)

 『こいつを使うと、周りのものを焼いちまうからな。普段は使わねー。そもそも、使う必要がねー。こいつを使うのは、使っても問題ない時か、俺が本気を出す時だけだ。んで、こいつを使えば、俺が今まで受けたダメージも全回復ってわけだ。しかも、この状態だと俺は今までより遥かに強くなっている。・・・で、さっき何て言ってた?俺と互角だ?火は土に勝てねーだ?』

 サラマンダーは、コーンに一歩近付く。思わず、コーンは後退る。サラマンダーから放たれる熱気は、コーンの身体を焼き、ダメージになっていた。まだ微々たるものだが、これ以上近付かれれば相性が良くても死ぬ恐れがあった。

 『そいつは、俺の攻撃を受けてからほざきな!』

 サラマンダーは、口からブレスを吐く。コーンは咄嗟に魔法障壁を張り、防御するも、サラマンダーのブレスは障壁を貫通すると、コーンを直撃する。

 「うぎゃああああああ!?」

 コーンの全身が炎に包まれる。如何に耐性があるとはいえ、限度があった。コーンは瞬く間に黒焦げとなり、絶命した。

 『・・・てめぇの強さは、あくまで闇の神の加護・・・・・・ありきだろうが。元はどうか知らねーが、俺よりよええだろう。俺は、元々つええ。その上で火の神の加護を受けてんだ。加護頼みのてめぇが勝てると思ったのか?』

 勝ち誇るサラマンダー。だが、次の瞬間、コーンの周囲は大爆発を起こし、コーンの死体は、跡形もなく消し飛んでしまった。

 『あ・・・ヤベー、やりすぎたか。・・・ま、いいか。』

 サラマンダーは、一瞬驚いた表情-外見に変化はほとんど見受けられないが-を浮かべるも、すぐ平静を取り戻していた。

 『サラマンダー。勝ったのか?』

 その時、爆発の音を聞きつけて、焔が【遠隔疎通】で状況を聞いてきた。

 『ああ。こいつはもう、ただの黒焦げの死体だ。本気でやりゃこんなもんだぜ!』

 サラマンダーは、死体が消し飛んだことは伏せて、自身が勝利したことを伝える。

 『そうか。じゃあ、そのまま焼き尽くしちまえ!もう被害のことなんて考えんな!』

 『おう!もっと暴れてやるぜ!』

 それを知った焔は、サラマンダーにさらに暴れていいことを伝える。

 『・・・さて、もう一暴れすっかな・・・。・・・!』

 再び暴れようと思ったサラマンダーは、強烈なプレッシャーを感じた。

 『・・・この気配・・・まさか・・・嘘だろう!?』

 そのプレッシャーの正体をサラマンダーは知っていた。そして、次の瞬間、凄まじい振動がサラマンダーにも伝わってきた。

 『・・・マジかよ・・・!』

 サラマンダーは、まさかの事態に戦慄した。自身の神、火竜ブレイが降り立ったのだ。

次回、ブレイが滅茶苦茶怒ります。

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