いざアナザーワールドへ
渚の口調を変更します。
「・・・緑川風太。焦らなくても大丈夫よ。まだ竜はいるわ。」
「!・・・あと何体いるんだ?」
「四体よ。火竜、土竜、風竜、光竜。この四体が、残りの竜よ。」
「そいつらも、やっぱり魔力の強い人間を契約候補にしてるのか?」
「ええ。それが大前提。・・・契約できるかどうかは、分からないけど。」
先ほどまで不機嫌だった風太だが、ミリィの言葉に安心したのか、機嫌が直っていた。
「・・・じゃあ、すぐにアナザーワールドに行こう。早く行って、残ってる竜と契約して、風子を取り戻す。」
「慌てないで。今、エリアスの主は青野渚なのよ。彼女が命じなければ行けないわ。」
「・・・。」
再び、風太は不機嫌な顔に戻る。渚に頼むのが、心底嫌そうな顔である。
「・・・渚・・・その・・・あの・・・。・・・頼む!アナザーワールドに連れて行ってくれ!」
しばし葛藤した後、風太は渚に頭を下げて頼み込む。
「・・・。」
『この男・・・まずは渚に謝るのが先でしょう。厚かましい・・・。』
「・・・分かった。最初から行くつもりだし。」
『渚!?』
「エリアス、お願い。私達をアナザーワールドに連れて行って。」
『・・・分かりました。私の背中に。』
エリアスは不満だったが、主の頼みであれば、従わざるを得ない。首を地面に着くまで下げると、背中に乗るよう促す。
「ありがとう。・・・風太、行こ。行って、風子ちゃんを助けよう。」
「・・・ありがとう。・・・それと・・・悪かった。」
「いいから。・・・ミリィさんもどうぞ。」
「ミリィでいいわ。歳は、あなたと変わらないし。」
「分かった、ミリィ。あと、私のことも、渚でいいよ。」
「分かったわ、渚。」
渚とミリィは、互いを見て、微笑んだ。
『・・・では、行きます。』
三人を乗せたエリアスは、大きく羽ばたく。あっという間に、エリアスの身体は地上から遥か上空に飛び上がっていた。
「!すごい!街が、あんなに小さく・・・!」
『今から、時空の壁を抜けるトンネルを潜ります。しっかり掴まっていてくださいね。』
「?トンネル?」
すると、エリアスの目の前の空間が歪み出す。そして、その歪みは、まるで穴の様になった。
「!?」
『では、行きましょう。』
エリアスは、その穴に向かって行き、穴の中に入って行く。そして、エリアスが完全に入り切ったと同時に穴は消え、穴のあった周囲は、何事もなかったかのように夜空が広がっていた。