表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/161

赤羽焔&黄沢震対巨人兵士

 「いくぜ!大男!」

 焔は、筋力を強化してジャイアントソルジャーの足元を切り付ける。焔の剣は、ジャイアントソルジャーの皮膚にかすり傷を負わせた程度で弾かれてしまう。

 「固っ!なんだこれは!?」

 「巨人種は、防御力も高い!ただ筋力を強化して切っても意味がない!ブレイカー・オブ・ブレイに魔力を込めるんだ!」

 震の方は、土魔法のストーンバレットを放つ。こちらの方がダメージが大きいのか、ジャイアントソルジャーは吹き飛ばされる。だが、さすがは頑強な魔物で、倒れることなく持ち堪える。

 「くっ!巨人種は土属性が多い!同属性の魔法じゃ効果は薄いか!」

 「土なら俺の魔法も効きにくそうだな。・・・まあ、森ん中で使うわけにもいかねーか!」

 そう言って焔は、魔力を込めた一撃を食らわせる。今度はジャイアントソルジャーの足を切断とまではいかないものの、血が噴き出すほどの傷を付けた。さすがにこれは堪え切れず、ジャイアントソルジャーはそのまま倒れ込んでしまう。

 「今だ!奴の弱点は頭だ!頭を狙うんだ!」

 「よし!決めてやるぜ!」

 倒れ込んだジャイアントソルジャーの頭に、焔と震は攻撃を加える。だが、被っている兜に阻まれ、剣は通らず、魔法も弾かれてしまう。

 「!?固い!?・・・いや、こいつは固いっつーより・・・。」

 「どうやら、防御魔法がかかっている兜みたいだ。普通の方法で壊すのは無理だね。」

 「ちぃ!」

 『防御魔法が付与された防具か。なら、解除する魔法で打ち消せばいいだろう。』

 ジャイアントソルジャーの兜の防御魔法に苦戦している焔の頭に、ブレイが【遠隔疎通】でアドバイスを送ってきた。

 『解除魔法!?んな高度な魔法、使えねーよ!』

 『解除魔法だけが手段じゃねーぞ。強力な魔力でかき消すって手もあんだぞ。』

 『魔力でかき消す!?んなことできんのか!?』

 『ああ。お前とそいつの魔力なら、できると思うぞ。やってみろ。』

 「・・・震。俺達の魔力で奴の兜の魔法をかき消す。」

 「魔力でかき消す?・・・確かに、そんな方法があるそうだけど・・・余程魔力がないとできないはずだ。」

 「ブレイが言うには、俺達ならできるだとさ。なら、できるんじゃねーか?」

 「ブレイが?意外だね。そういうことには疎そうに思えたのに。」

 「人は見かけによらねーぜ。・・・あ。ブレイは竜か。」

 「とにかく、やってみるか。」

 二人は、体内の魔力を手に集中させる。一方、ジャイアントソルジャーは、足が使えなくなったため、手に持つ剣をでたらめに振り回す。周囲の木々が、まるで草刈り機で刈られる草のように飛び散る。だが、そんな適当な攻撃では、二人を捉えることなどできず、空振っていた。

 「・・・よし!いくぞ!」

 二人は、ジャイアントソルジャーの兜に魔力を飛ばす。すると、兜に変化が見られた。外見は変わらないものの、明らかに込められていた魔力が消えていたのだ。

 「今だ!」

 兜の防御魔法が消えたのだと判断した二人は、攻撃を再開する。震のストーンバレットが兜を貫き、ジャイアントソルジャーの頭部に到達する。同属性であるためダメージは少ないが、弱点である頭部への攻撃は強烈で、ジャイアントソルジャーは苦痛の悲鳴を上げる。そこに、焔のブレイカー・オブ・ブレイが兜を断ち切り、ジャイアントソルジャーの頭蓋骨を割り、脳に刃が到達する。ジャイアントソルジャーは、断末魔の絶叫を上げ、それを最後に完全に動かなくなった。


 「・・・終わったな。」

 「でも、意外と手こずったね。Cランクとはいえ、油断できない強さだったよ。」

 『なんだなんだ、この程度の魔物でヒーヒー言ってるようじゃ、先が思いやられるな。』

 なんとかジャイアントソルジャーを撃破できた二人を見、ブレイは皮肉たっぷりに【遠隔疎通】で言う。

 『うるせー!あんなデカい奴と戦った経験がなかっただけだ!今度会ったら瞬殺してやるぜ!』

 『そうか・・・なら、さっさとやってもらおうか。』

 『・・・え?』

 『知らねーのか?巨人種は仲間意識が意外とつええ魔物だ。しかも、そいつはソルジャーだ。ソルジャーは死ぬ間際、危険を知らせる叫びを上げる。・・・意味が分かるな?』

 『・・・まさか・・・。』

 ブレイの言葉に、焔は嫌な予感がする。すると、森の中から次々と、ジャイアントソルジャーが出現した。

 「!?まさか・・・まだいたのか!?」

 『おい、ブレイ!こいつはどういう・・・!?』

 『寝てたんだろ。だが、お前達が仲間を殺したんで、その叫び声を聞いて目を覚ましたんだろう。仲間を殺された巨人はつええぞ。』

 「・・・マジかよ・・・。」

 「・・・焔、ブレイに頼んで手伝ってもらおう。ソルジャーは単体だとCだけど、群れるとB相当だ。さっきのような感じだと、僕達にBはまだ早い。ブレイに・・・。」

 「・・・震、やるぞ。」

 「・・・え?」

 震のブレイに手伝ってもらうという提案を焔は拒否する。

 「俺達は、ブレイとやり合えたんだ。今更Bランク程度の魔物にビビっててどうする。」

 「単独と複数戦は訳が違う!しかも、巨人はランク以上に厄介だ!無理して戦うこと・・・!」

 「それじゃあ風太に置いてかれちまう!これ以上、置いていかれるわけにはいかねー!」

 「・・・。」

 「確かに、五大竜と契約はできた。でも、まだ風太の方がつええ。このままじゃ、あいつの力になんてなれねー。俺自身がもっと強くならなきゃ駄目なんだ。」

 「・・・焔。」

 「それに、ヤミーはブレイよりずっとつええんだろ?なら、なおさら退けねー。」

 「・・・。」

 震は、焔という人間を誤解していたことに気付いた。焔は、確かに単純で猪突猛進、考えて行動するのが苦手な人間である。今回のジャイアントソルジャーとの戦いも、いつもの考えるのが苦手な男の力押し戦法だと震は思っていた。だが、焔自身は、自分の無力さを誰よりも痛感し、このままでは友の力になれないと思っていたのだ。だからこそ、焔は自分が強くなるためにあえて危険な敵と戦い、強くなろうと思っていたのだ。頭が悪いなりに自分を鍛えようとしていたのだ。

 それを理解した震は、やれやれといった様子で巨人の群れに向き直る。

 「・・・分かったよ。こうなれば、とことんまでやるよ。ただし、僕の指示に従ってくれ。君が力任せで戦うより、ずっと効率よく戦えるはずだ。」

 「ありがとな。・・・いくぜ!デカ物共が!」

 焔と震は、ジャイアントソルジャー達に向かっていくのだった。


 『・・・あいつら、あの巨人共に俺抜きで戦う気か。』

 遠くから眺めているブレイは、呆れとも感心ともとれる様子で呟く。

 『まあ、俺の契約者だ。あれくらいできてもらわねーと困るな。』

 ブレイは二人の意志を尊重し、この戦いを見届けるのだった。

 一時間後、二人は何とかジャイアントソルジャーの群れを全滅させることに成功するのだった。

初見殺しの敵って、攻略法が分かった途端弱くなりますよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ