表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/161

巨人現る

 「・・・さて、さっさと森の中にいる魔物共を倒すとするか。」

 ブレイから降りた焔と震は、森の中を歩いて魔物を探していた。

 「敵は、サラマンダー達とは比較にならないほど弱いけど、油断は禁物だ。ゴブリンは弱くても、数で押してくるだろうし、オークやトロール、オーガは力自慢だ。あと、オーガは力だけでなく、頭もいいらしい。油断できる相手じゃない。」

 「でも、サラマンダーほど強くもねーし、イフリートのように頭もよくはねーんだろ?楽勝だぜ。」

 油断しないよう告げる震に対し、焔は大丈夫だと自信満々に答える。そんな焔に、震は不安を覚えていた。

 「・・・!いた!ゴブリンだ!」

 その時、森の奥からゴブリンの群れがやって来た。数は、十体は超えていた。

 「ゴブリンのランクは、単独ではHだ。でも、群れればGになる。さっきも言ったけど、気を付けて戦うんだ。まずくなれば、僕が援護する。」

 「必要ねーよ。俺一人で十分だぜ!」

 焔は、ブレイカー・オブ・ブレイを手に、ゴブリンの群れに突っ込んでいく。

 「筋力強化!行くぜ!」

 焔は、大きく振りかぶってゴブリン達を攻撃する。先頭にいた数体が、ブレイカー・オブ・ブレイに切り裂かれ、地面に転がった。

 「ギギギィ!」

 仲間を倒されたゴブリン達は怒り、全員で焔に殺到する。手には、小さな刃物や棍棒などが握られていた。

 「はっ!」

 焔は向かってきたゴブリンをさらに数体一気に切り倒す。だが、大剣による攻撃は、一度攻撃すると大きな隙ができてしまう。その隙を突いて、ゴブリン数体が武器で焔を攻撃しようとする。

 「援護を!」

 「必要ねー!」

 震の援護を焔は制する。ゴブリンの短剣と棍棒が、そのまま焔に直撃する。だが、その攻撃が焔を傷付けることはなかった。なんと、短剣の刀身は砕け、棍棒も折れて宙を舞っていたからだ。

 「!?」

 「筋力強化を舐めんなよ!強化された筋肉はな、鎧にもなるんだぜ!」

 武器が壊されたことに動揺したゴブリン達を、焔はそのまま容赦なく切り捨てる。

 (・・・なるほど。筋力強化が防御にも利用できるということを知っていて、わざと隙を作ったのか。・・・そういえば、サラマンダーとの戦いも、奴の急所を狙って下に潜り込んでたな。・・・普段は頭が悪いのに、戦いに関しては頭が切れるのかも。)

 焔の意外な側面に、震は少々感心していた。

 しばらくして、焔はゴブリンの群れを全滅していた。

 「おう、もう終わりか。」

 「本当に一人で片づけたね・・・全く危な気なかったしね。」

 「当たり前だろ。この程度の奴らにやられるかよ。」

 「まあ、今回は上位種がいなかったからね。いたらまた変わっていたかもしれないよ。」

 「上位種な・・・ゴブリンの上位種って、何て奴だった?」

 「一般的にはホブゴブリンだね。それより上だと、ゴブリンキングとか、ロードとかかな?他にもあると思うけど・・・有名どころはそんなところだね。」

 「どうせなら、そんな奴らと戦いてーな。」

 「・・・何度も言ってるじゃないか。僕達の目的は、あくまで掃討なんだ。強い敵と戦うことじゃ・・・。」

 『おい、お前。』

 突然、焔の頭に声が響き渡る。

 「!?な・・・!いきなり声が!?」

 「・・・ブレイからの【遠隔疎通】だろ?何かあったのかもしれないよ?」

 「な・・・何だよ、脅かしやがって・・・。『どうした、ブレイ?何かあったのか?』。」

 『お前達の入った森に、デカい魔物がいるぞ。どうする?俺が倒そうか?』

 『デカい魔物!?そいつ、つええのか!?』

 『知らん。・・・だが、見た目からして巨人種のようだ。』

 『巨人種?』

 「!巨人だって!?」

 焔の口にした言葉に、震は驚愕する。

 巨人種は、最低でも5mを超える大型の魔物で、見た目通りの怪力と耐久力の持ち主である。

 「最低でもCランクの魔物だ!この森にいるのか!?」

 「・・・ブレイの話によるとな。『・・・それは、本当なのか?』。」

 『当たり前だろ。見えてんだからよ。』

 『見えてる?そんなにデカいのか?なら、何でもっと早く言わなかった?』

 『どうやら寝てたみてーだ。今さっき起きて、立ち上がったみてーだ。』

 「・・・相手の強さが分からない以上、下手に刺激するのは危険だ。一旦森から出て・・・。」

 「・・・いや、そいつは無理そうだ。」

 「?どうして・・・。」

 「・・・もう俺達に気付いてやがるからだ!」

 そう言い終わるや否や、焔は、震を突き飛ばす。すると、震のさっきまでいた場所に、何か巨大なものが凄まじい速さで落ちてきた。落ちてきた衝撃で、周囲の木々は吹き飛ばされ、地面は大きく凹んでいた。

 「・・・!」

 震は、突然の出来事に混乱していた。さっきまでいた場所に、巨大な剣の刀身があり、周囲の木々や地面が無残な状態になっている。そんな状況を見れば、頭が追い付かなくて当然である。

 「・・・こいつはヤベーな。サラマンダー並みじゃねーか・・・?」

 すると、焔達を覗き込むように、巨人が顔を見せた。巨人は兜を被り、左目には大きな切られた傷痕があった。

 「おう、本当にデカいな!震!こいつはどんな魔物なんだ!?」

 「・・・。」

 「?おい、震!」

 「!あ・・・ああ、こいつは巨人種の中では一番有名なジャイアントソルジャーだ。ランクはC。だけど、徒党を組めばBにもなる。」

 「一番弱くてこれかよ・・・。まあ、ブレイと比べれば可愛いもんか。それにCなら、サラマンダーよりよええってことだな。安心したぜ。」

 「・・・決して弱くはないんだけどね・・・。まあ、サラマンダーとかと比較すればね。」

 震は、立ち上がると、倒れた際に服に付いた泥をパンパンと掃う。

 「それにしても、お前も結構油断してんじゃねーか。俺だ助けねーと、危なかったじゃねーか。しかも、ビビってんのか?こんくらいでビビってたら、お前五大竜と契約なんてできねーぞ。」

 「な・・・!・・・事実だけど、君に言われると、色々と悔しいものがあるね・・・!」

 あれほど油断するなと語っていたはずなのに、実際は焔の方が反応でき、自身は反応できなかった。それを指摘された震は、心底悔しそうな面持ちでジャイアントソルジャーを睨む。

 『おい、俺がやろうか?あれなら森に入らなくても倒せると思うぞ?』

 「『いいや、俺達で倒す。そこで見てろ。俺がお前の契約者に相応しいことを!』・・・いくぜ、震!」

 「・・・ああ。僕に恥をかかせてくれたお返しをしないとね!」

 焔と震は、ジャイアントソルジャーに向かって行くのだった。

巨人の中では雑魚とはいえ、パワーだけなら一ランク上です。

トロールとオーガの知能を入れ替えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ