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掃討作戦開始

 「・・・さて、さっさとこの辺りを一掃するとするか。」

 焔と震は、昨日の作戦通り、ブレイの神殿周囲から地域を開放していくことにした。

 「早速、ブレイを召喚するんだね。」

 「ああ。・・・でも、やっぱあの一方的な蹂躙はどうもな・・・。」

 「これは、試合じゃない。どちらかが生き残るかを決める戦いだよ。履き違えたら駄目だ。」

 「・・・わーってるって。・・・【サモン・ブレイ】!」

 焔は、サモンカードを取り出すと、ブレイを召喚する。二人の前に、ブレイが姿を現す。

 『・・・早速俺の出番だな。何をすればいい?』

 「昨日のソウの話は聞いてただろ。俺達は、この辺り一帯をヤミーの配下から解放する。手伝ってくれ。」

 『分かった。・・・にしても最初の出番が雑魚狩りかよ・・・。やり合うなら、せめてつええ奴がよかったんだがな・・・。』

 「雑魚狩りは嫌か?あんなに俺達殺そうとしてたのに。」

 『そりゃ頭にきてたからな。俺は、普段はよええ奴に手は出さねーぞ。』

 (普段寝ているうえに、気分次第じゃないか。弱いものに手を上げないなんてよく言うよ・・・。)

 震は、ブレイの思考に内心呆れた。

 『とりあえず、乗れ。俺も、今どれだけ力が出せるか分からねー。確認しておきたい。』

 「分かった。じゃあ、早速この辺り一帯の掃討作戦だ。」

 焔と震は、ブレイに促され、背中に乗る。二人を背中に乗せたブレイは、一気に空高く飛び上がるのだった。


 『・・・駄目だな。相当弱くなってやがる。』

 上空から火のブレスを放ち、地上の魔物を焼き払っていくブレイは、苦々しそうに呟く。

 「どれだけ弱くなってんだよ?」

 『精々半分くらいかと思ってたんだがよー・・・十分の一も出ちゃいねー。』

 「・・・十分の一でこの威力なんて、やっぱり五大竜は規格外だね。」

 力が十分の一以下になったとブレイは嘆いていたが、それでもこの世界の人間では倒すのが難しい魔物を苦も無く倒していることに、震はブレイの凄まじさを再認識した。

 『何が規格外・・・だ!俺の力はこんなもんじゃねー!本気出せば世界だって滅ぼせるんだぞ!』

 だが、当のブレイは全く納得しておらず、不満を零すばかりだった。

 「・・・なあ、ブレイ。お前の見立てで、風太はどれくらいフィードの力を引き出せてた?」

 『ああ?・・・そうだな。だいたい半分程度ってところか。短い時間なら、全開もできそうだがな。』

 「・・・短い時間なら全開か・・・。」

 『・・・変な気起こすなよ?今のお前じゃ、全力なんて出そうとしたら、死ぬぞ。』

 「・・・やらねーよ。」

 ブレイに警告され、焔は悔しそうな面持ちで言う。風太を助けるためにこの世界に来た焔にとって、風太との力の差は思うところがあった。このまま引き離されては、風太を助けるどころか足手まといになってしまう。それが焔の懸念材料だった。

 「・・・焔。一方的な蹂躙が嫌なら、いい提案がある。」

 「?何だ?」

 「平原にいる魔物はブレイに任せて、君は森にいる魔物と戦えばいい。森は、魔物がたくさん潜んでいる場所だ。でも、ブレイは大きすぎるから、入り様がない。かといって森を焼き払うわけにはいかない。」

 「・・・なるほど。小回りの利く俺の出番ってわけか。・・・でも、俺の魔法は火だから結局燃やしちまうんじゃ・・・?」

 「強化魔法だけ使って肉弾戦をすればいい。君の強化は筋力強化だ。肉弾戦にはもってこいのはずだ。」

 「なるほど。」

 「それに、無理に倒し切らなくても、追い払えば後はブレイが片付けてくれる。これなら、ブレイの力に慣れるのも、君自身の修行にもなると思うよ。」

 「分かった。じゃあ、早速・・・。」

 『・・・おい待て。この高さから落ちたらお前、死ぬぞ?』

 「え?でも風太はこの程度の高さくらい平気で・・・。」

 「・・・緑川風太は、風魔法で落下を相殺しているんだ。君にそんなことできないだろ。」

 「あー・・・そうだったな。じゃあブレイ、一旦降りてくれ。」

 『・・・。』

 「・・・。」

 ブレイは、焔の頭の悪さに呆れていた。もっとも、ブレイ自身も単純で考えるより手が出るタイプであるため、人のことは言えないのだが。

 震の方も、焔にはやはり、考える人間が側にいないと駄目であると改めて認識するのだった。

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