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赤羽焔&黄沢震対火竜ブレイ1

 『もうお前ら全員ぶっ殺す!」

 完全に風太達を敵と認識したブレイは、今度はブレスではなく、自身の肉体を利用した攻撃を繰り出す。自身の巨大を利用した突進である。

 それ自体は、サラマンダーもやった手だが、ブレイがやると脅威度は比較にならない。サラマンダー以上に巨大で、おまけに飛行しながら突っ込んでくるのだから、威力もスピードも桁違いなのだ。

 「避けろ!当たったら死ぬぞ!」

 風太達は散開して突進をかわす。渚は辛そうなので、風太は渚を抱き寄せるような形で避けた。渚は、顔を赤らめて、少々嬉しそうな表情をしていた。攻撃をかわされたブレイは、壁にぶつかりそうになる。サラマンダーなら、そのままぶつかっただろうが、ブレイは飛行して壁にぶつかるのを寸でで回避すると、再度風太達に向かって突っ込んでくる。

 「空飛ぶなんて、サラマンダーより性質たちわりーぞ!くそ!」

 「どうやってこいつを大人しくさせればいい!?」

 『渚が大丈夫なら、エリアスと組んで力尽くで止められただろうけど・・・今の渚じゃ、エリアスに力を与えるなんて無理だ。別の方法で何とかしないと・・・。』

 「五大竜を五大竜以外の方法で止めるなんてできるのか!?」

 『通常は不可能です。五大竜と魔物の王、あなた達がSランクと呼ぶ魔物との力の差は、あまりに隔絶されていて覆しようがありません。仮に、全ての魔物の王を相手にしたとしても、五大竜一体で全滅させられます。・・・ましてや、それ以下のランクの魔物では、相手になどなりません。』

 「それじゃあ、どうすればいいんだ!?このまま逃げ続けるのも無理があるぞ!」

 確かに、今はまだ逃げられている。だが、いずれ体力が尽きれば、かわすことができず、潰されてしまうだろう。それか、もし、ブレイが再度ブレスを使ってきたら、今度こそ風太達は焼き殺されてしまうだろう。もう、防ぐ方法がないのだから。

 「・・・!そうだ!ブレイは火属性なんだろ!だったら水属性の魔法で攻撃すりゃー・・・!」

 「渚がこんな状態で使えるか!絶対に使わせないぞ!」

 渚を抱き寄せながら、風太は水魔法は使用できないと告げる。

 「仮にできたとしても、力に開きがありすぎれば、弱点でも効果がないはずだ。」

 「だったら、魔法を強くするような技とかでパワーアップさせれば・・・!」

 「そんな都合のいいもの、あるわけが・・・!」

 「・・・!そうだ!フィードの力を使えばできるかもしれない!」

 「!?本当か!?」

 「エリアス、渚の魔力に頼らないでブレスは撃てるか?」

 『可能です。・・・ですが、それではとてもブレイにダメージを与えることは・・・。』

 「十分だ!フィード!風を起こしてくれ!ただの風じゃなくて、嵐・・・いや、台風くらい大きなやつを頼む!」 

 『ええ!?そんな大きな風起こすなんて、時間がかかるよ!?』

 「それでもいい!やってくれ!」

 『・・・分かった。』

 「エリアスは、俺が合図をしたら、その風にブレスを吐いてくれ!」

 『・・・分かりました。あなたの指示に従います。・・・ですが、その間、あなたはどうする気ですか?』

 「・・・あいつの注意を惹き付ける。」

 『!?』

 なんと、風太は一人でブレイを惹き付けると言い出す。

 「何言ってんだ!?あいつのヤバさはマジだぞ!それに、お前の風属性じゃねーか!火に弱いだろ!」

 『赤羽焔の言う通りです!あなたでは無理です!』

 「俺は、強化魔法でスピードを上げることができる。それを利用すれば、あいつの攻撃をかわせる。」

 「ブレスがきたらどうすんだ!かわし切れねーだろ!」

 「・・・緑川風太。君は、青野渚と一緒に下がってくれないか?囮なら、僕と焔がやろう。」

 「何だと!?」

 「おい、震!お前、何言って・・・!?」

 「囮なら、君より焔と僕の方が適任だ。火のブレスは同属性の防御魔法である程度防げるだろうし、土属性なら火にも耐性がある。君よりも生存率が高いと思うよ。」

 属性の相性は、火が風に強いが水に弱いという基本的なもの-以降基本相性と呼称する-とはまた別の相性がある。土は火に強い、風は水に強い、同属性だと威力が半減してしまうなどである。これは、派生相性と呼ばれていて、魔法使いなら基本相性と同様に知っていることである。

 今回、基本相性のいい渚は魔力切れで動けない。風太では相性は悪い。だが、同属性である焔と土属性の自分なら、倒せなくても優位に戦うことができると震は考えたのだ。

 「なるほどな!風太が戦うより、俺達が戦った方が有利なのか!」

 「・・・でも・・・。」

 「それに、フィードが風を起こす時間は、君が彼に魔力を与えれば短縮できるんじゃないかな?なら、囮役は僕達がやった方がいい。」

 「・・・。」

 「大丈夫だって。俺達を信じろよ。必ず生き残って、お前の作戦を成功させるぜ。」

 「・・・分かった。任せるぞ。」

 風太は渚と共に岩陰に隠れると、フィードに魔力を送る。魔力を送られたフィードは、周囲に風を起こし始める。

 「・・・さて、風太に攻撃がいかねーようにしねーとな。」

 「焔。君は、ブレイを怒らせてくれ。彼は、想像以上に単純で怒らせやすい。ちょっと馬鹿にされれば、僕達に攻撃を向けるはずだ。」

 「よし!・・・おーい、この蜥蜴野郎!お前の攻撃なんて全然当たらねーよ!下手くそ!やっぱお前、五大竜最弱じゃねーか?」

 『な~に~!?』

 「お前なんか、五大竜じゃねー!新種の赤羽蜥蜴だ!赤羽蜥蜴!赤羽蜥蜴!」

 焔は、ブレイを怒らせるべく、彼を羽の生えた蜥蜴だの、攻撃が下手くそだの、五大竜最弱だのと罵る。怒りの沸点が低いブレイ。ただでさえ怒り心頭のところに、さらに火に油を注ぐような言葉を投げかけられ、完全に我を忘れてしまう。

 『殺す!殺す殺す殺す!!!』

 ブレイは、再度ブレスを放つ。ブレスは正確に、焔達に向かって放たれる。

 「!焔!震!」

 ブレスは二人に直撃し、二人は炎に包まれるのだった。

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