水竜エリアス
渚の口調を変更します。
「な・・・渚・・・どうしてここに・・・!?」
「風太の居そうな場所なんて、ここしかないでしょう!勝手に抜け出して!おばさん達怒ってたよ!」
渚は、凄まじい剣幕で、風太に詰め寄る。
風太は、先ほどまでの勢いはどこへいったのやら、すっかりタジタジとなっていた。
「さあ、帰ろう!・・・って、誰、この人?」
「・・・こいつは・・・。」
「・・・!これは!」
その時、ミリィの持つエリアスのカードが青白く発光する。
「???」
『・・・見つけました・・・我が主に相応しき者を・・・!』
どこからか、声が聞こえてくる。その声は、とても澄んだ女性の声である。
「!?何・・・この声・・・!?」
「・・・エリアス・・・まさか・・・!」
カードの光はどんどん強くなり、風太達の周囲を包み込んでいく。あまりの強い光に、三人は目を瞑る。
しばらくして、三人は目を開ける。既に、光は消えており、周囲には先ほどまでと変わらぬ光景が目に映っていた。・・・たった一つを除けば。
「!何よ・・・あれ・・・!?」
渚は、目の前にいた存在に絶句する。
それは、人間より遥かに巨大な生物だった。角の生えた蜥蜴の様な頭部、蝙蝠の様な翼、がっしりとした身体、胴体に匹敵するほど長い尻尾、そして、全身空の様に綺麗な青色。それは、紛れもない、竜といえる存在である。
「・・・水竜・・・エリアス・・・!」
「・・・凄い・・・これが・・・竜・・・!」
ミリィと風太も、目の前の光景に圧倒されていた。もっとも、風太の場合は、カッコいいものを見た感動だが。
『・・・あなたの名前を教えてください。我が主の資格を持つ者。』
「・・・私・・・?・・・青野・・・渚・・・です・・・。」
怯えながらも、渚は自身の名を告げる。
『・・・渚。いい名ですね。我が名はエリアス。水を統べる竜。あなたを主と認めます。手を私の方に。』
「こ・・・こう・・・ですか・・・?」
渚は恐る恐る、右手をエリアスの方に差し出す。
すると、渚の手は、眩い光に包まれる。思わずその場にいた全員が、目を塞ぐ。
しばらくして、光が消えると、渚の右腕には、銀色のガントレットが装着され、一本の杖が握られていた。杖は、綺麗な銀色で、竜を模したような形状である。一番上には青い宝玉が付いており、より杖の美しさを際立たせていた。
「な・・・何よ・・・これ・・・!?」
『契約者としての証、【スタッフ・オブ・エリアス】です。あなたは私と共に、暗黒竜ヤミーからアナザーワールドを救うのです。」
「・・・はい・・・?」