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閉ざされた道

 「・・・渚の言う通りだったな。魔物の姿が数えるほどしか見えない。」

 神殿に再突入した風太達は、あの時とは打って変わって静まり返った神殿内部に安堵していた。これでまた、あれだけの魔物が出てきたりしたら、完全に詰みだったからだ。

 「なんで、五大竜が来たらあんな数出てくるようにしたんだろうな?あれじゃあ他の竜達が会いにこれねーじゃねーか。」

 「さあね。他の竜に会いたくなかったからか、或いは単に強い敵が入り込んでも迎撃できるようにするためか・・・。」

 『・・・ブレイなら前者の可能性もあり得ますね。彼は、怠惰な性格ですから、動きたくなくてあんな仕掛けを施したのかもしれません。私達が来るということは、面倒事があるということですから。・・・もっとも、私達は、お互いどこに神殿があるかは知らなかったですけど。』

 この神殿の警戒システムに疑問を感じる二人に、エリアスは自身の率直な感想を述べる。

 「・・・どっちにしろ、ブレイには協力してもらわないといけないんだ。嫌でも連れ出さないと。」

 「・・・そうなると、竜との戦闘になるね。・・・勝てるのかな・・・?」

 『その時は、私が戦います。彼とは相性がいいですから。』

 『最悪、僕も協力するよ。・・・僕じゃ相性が悪いかもだけど、下手な魔物よりは役に立てるだろうから。』

 「・・・できれば、そうならないよう願うな。世界を滅ぼす竜がやり合えば、こんな神殿、簡単に瓦礫の山だ、そうなれば、俺達はお陀仏だ。」

 ブレイが拒むようなら、力尽くでも連れ出す。だが、そうなれば、神殿が崩壊して自分達は圧死するであろうと、風太は想像した。


 しばらく進むが、魔物達が風太達に襲い掛かる素振りも、殺気を向けている様子も感じられなかった。まるで、何の興味もないかのように。

 「・・・あの時とはえらい違いだな。俺達は、興味を持たれていない。」

 「この調子なら、すぐに一番奥に行けるかも。」

 「だな。それなら楽でありがたいぜ。」

 「・・・そう考えるのは、楽観的すぎるよ。」

 すると、道が途中でなくなり、目の前には一面の溶岩の海が広がるだけになっていた。

 「!?行き止まり!?」

 「ここが一番奥場所なの?」

 「いや、明らかにまだ奥があるだろ。ここがブレイのいる場所とは思えねーな。」

 まだ先があるはずなのに、行き止まりという事態に、困惑する三人。しかし、震は一人、考え込んでいた。

 (・・・確かに、ここが一番奥とは思えない。そうなると、ここから更に向こうに渡る方法があるはず。何か・・・ないだろうか・・・?)

 「・・・皆。周囲に何かないか探そう。どんなものでもいい。」

 「探す?何でだよ?」

 「焔。君でも分かりやすく言うなら、ゲームの進行ギミックを見つけるんだよ。きっと、何か仕掛けがあるはずだ。それを起動させるものを見つけるんだ。」

 「おお!なるほど!」

 「・・・!風太、あそこの壁に、何か彫られてる。・・・文字みたい。」

 渚は、壁に掘られた文字を発見する。それを聞いた風太は、その文字をマジマジと見る。

 「・・・確かに文字のようだけど・・・見たことのない文字だな。」

 「俺も散々覚えさせられたけど、こんな文字、師匠は教えてくれなかったな。」

 「・・・これは、古代文字だね。」

 「古代文字?」

 「大昔に使われていた文字だよ。モーゼが言うには、現在は失われている文字らしい。」

 「・・・そういえば、そんなことを言っていたような・・・。」

 風太は、モーゼがそんなことを話していたことを、記憶の片隅から呼び起こした。

 古代文字。五大竜が六大竜と呼ばれ、人々の前にいた遥か昔の時代に使われていた古代文明の文字で、ヤミーの反乱によって文明が一度崩壊した際、失われたのだという。

 「でも、読めねーんじゃどうしようもねーじゃねーか。」

 「何言ってるんだ。読める人間が二人いるじゃないか。・・・正確には、二体だけど。」

 「!そうか!フィードとエリアスか!」

 「そう。大昔からいた彼らなら、読めるはずだよ。」

 「・・・エリアス、読めそう?」

 渚は、エリアスのカードを文字の前に突き出す。

 『・・・問題ありません。ええと・・・。『神の許に行く道は、三体の守護者によって守られん。』と書かれています。」

 「三体の守護者?・・・つまり、この先に行くには、三体のガーディアンみたいな魔物をどうにかすればいいのか?」

 『はい、おそらくは。・・・ですが、守護者がどのようなものなのかは、書かれていません。』

 「・・・この先に進むには、その魔物を探すしかないか・・・。」

 だが、この広い神殿の中で、三体の魔物を手掛かりなく見つけるなど、不可能である。途方に暮れる風太達だが、そこに、風太の持つカードの一枚が光り出す。

 「!これは・・・フレアバードのカード!」

 『主よ。我が力になれるかもしれん。』

 「・・・どういうことだ?」

 『この神殿は、ファイアバードの巣。同胞である我なら、情報収集ができる。』

 「!そうか!お前、ファイアバードの上位種だったな。お前なら、溶岩の中にも入れる。」

 『主よ。我を召喚してほしい。』

 「よし!【サモン・フレアバード】!」

 風太は、フレアバードを召喚する。燃える炎の身体を持つ鳥が、カードから出現する。

 『主、しばし猶予をもらおう。待っていてほしい。』

 「分かった。頼むぞ。」

 フレアバードは、溶岩の中に飛び込む。風太達は、フレアバードが戻ってくるまで待つことにした。

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