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ソウの正体

モーゼの通常時のソウの呼称を変更します。

変更前→創造神様 変更後→ソウ様

 「この方こそ、アナザーワールドを創りし神、創造神様だ。」

 モーゼは、ソウの正体を、再度風太達に告げる。

 「・・・彼が・・・創造神?どう見ても僕達と同い年か年下・・・。」

 「想像してたのと全然違うな。もっと、爺さんかと思ってたぜ。」

 「・・・。」

 モーゼの言葉が信じられない二人と、頭が追い付いていない風太。三者三様の姿に、ソウは少々困惑していた。

 「ああ・・・僕が創造神だからって畏まらないでよ。僕、そういうのが嫌いだからね。」

 「・・・本当に・・・創造神・・・なのか・・・?」

 「そうだよ。僕が、アナザーワールドを創った。」

 「どうしてアナザーワールドを?」

 「神話に書いてあるだろう?寂しかったんだよ。最初、アナザーワールドができる前の世界は、僕一人しかいなかったんだ。空も陸も、何もない世界。そんな世界に自分一人でいるなんて・・・耐えられるかい?」

 「・・・無理だな。」

 風太は、試練の世界を思い浮かべた。あんな何もない世界、自分は何年どころか、何日もつか分からない。試練で耐えられたのは、ある意味風子の幻影のおかげなのだから。

 「そう、だいたい十億年くらいで限界がきてね。それで、世界を創ることにしたんだ。友達を作るためにね。」

 ソウは語りだす。陸、空、海を創り、住む者達を創り、魔物を創った。争うこともあったが、皆と仲良く暮らしていた。その表情は、懐かしかった楽しい過去に思いを馳せる、そんな顔だった。

 「・・・でもね、世界の外から危ない怪物が現れてね。アナザーワールドを滅ぼそうとしたんだ。」

 「え?怪物?まさか・・・!」

 「ああ、ヤミーじゃないよ。あの頃のヤミーは、可愛い竜だったからね。ヤミーなんかと比較にならないほど危ない怪物だった。そのまま世界への侵入を許せば、アナザーワールドは、簡単に滅ぼされて、無に帰ってしまっていただろうね。」

 「・・・そんな出来事が・・・。」

 『・・・【アーマゲドン】の襲来だね。君は、それがアナザーワールドに入り込むのを防ぐために、次元の狭間に行って、帰ってこなかった・・・。この間、僕に会いに来てくれるまで。』

 「・・・創造神がいなくなったのに、そんな理由があったのか・・・。」

 自分の大切なものを守るため、一人で戦いに向かう。風太は、今まで同い年だと思っていたソウが、神かどうかはおいておき、本当に凄い人間であると思った。

 「驚きました。創造神が、何故世界から消えたのか。これは、長きに亘る謎だった。それが今、解明されたのだ。」

 「でも、どうして皆の前から姿を消したんだ?アーマゲドンは倒したんだろう?戻ってまた皆と・・・。」

 「確かに、僕が力の限りを尽くして倒すことができたよ。・・・でも、その代償として、僕は別の世界に飛ばされて、気付いたら力の大半を失っていたんだ。」

 「!力を失った!?」

 ソウの突然の告白に、そこにいる全員が驚愕した。

 「今の僕は、大したことができないんだ。次元の壁を移動するのでさえ、相当体力を使うんだ。移動したら長い期間、体力が回復するまでその世界で過ごさなきゃいけなかったんだ。そして、体力が回復したら、また別の世界に飛んで、休む。それの繰り返しだよ。だから、アナザーワールドまで戻るのに、かなり時間を要したんだ。戻れた時は、最低でも数千年、下手をすれば万は越えていたかもしれないくらい経っていたからね。」

 『だから、僕の力を使ったんだね。おかしいと思ったんだ。君の力なら、僕を使わなくても行けるはずなのに。』

 「ヤミーが暴れた時、他の竜達を手伝わなかったんじゃなくて、手伝えなかった。そういうことだったのか。」

 「で、今はどれくらい力が戻ってるんだ?」

 「・・・全然だよ。これじゃあ、ヤミーどころか、Fランクの魔物にさえ勝てるかどうか・・・。」

 (Fランクにさえ勝てないか。これって、かなり深刻じゃないか?)

 「・・・じゃあ、今のソウは、一般人より少し強いくらいの強さしかないのか?」

 「まあね。でも、戦闘以外ならなんとかこなせるよ。次元を越えるのでなければ、転移は普通の人より長距離できるし。・・・まあ、その後ですっごく疲れて寝ちゃうんだけど・・・。」

 「・・・。」

 風太はこの瞬間、神頼みは無意味だと悟った。

 「まあ、こいつが神様だろうと、よく分からない一般人だろうと、俺達の目的に変わりはねー、だろ?」

 「ああ。アナザーワールドに行って、今度こそ風子を助ける。一度殺されそうになったくらいで諦められるか。」

 「さてさて、異世界とはどんな感じなのか・・・好奇心が抑えきれないよ。」

 『皆行く気満々だね。じゃあ、そろそろ行こうか。』

 「・・・そういえば、アナザーワールドでは、俺がいなくなってどれだけ経ってるんだ?」

 「君が元の世界に戻って、まだ一日とちょっとしか経ってないからね。アナザーワールドもそれくらいだよ。」

 「なら、まだヤミーは仕掛けてきてないかもしれないんだな。」

 「そう思うよ。・・・ただ、ヤミーは僕の知ってる頃とかなり違っているからね。断言はできないけど・・・。」

 ソウはそう言うと、とても悲しそうな顔をする。

 「・・・あれがヤミーだなんて思えない。あんなに素直でいい子だったのに・・・風子ちゃんをあんな風にするなんて・・・。」

 「・・・随分と俺の妹に馴れ馴れしいな。お前、会ったことないだろう?」

 「・・・いや、面識はあるよ。遊んだこともある。」

 「・・・え?」

 「それに、君ともね。」

 「・・・え?」

 ソウのいきなりのカミングアウトに、風太は驚愕した。自分がソウと会ったのは、つい最近のことである。なのに、ソウは自分と風子に会ったことがあると言い出すのだから、驚かない方がおかしい。

 「・・・ちょっと待ってくれ。俺はお前なんて知らないぞ?いつ会ったんだ?」

 「・・・まあ、覚えてなくて当然だね。会ってた期間は、ほんの二、三日ほどだったからね。それに、君のその後を考えれば、そんな短い期間遊んでくれていた人間を覚えていられる余裕はなかったね。」

 「???」

 「・・・風太、この神様、本当にお前の知り合いなのか?」

 「・・・!そういえば・・・風子がいなくなるほんの少し前、俺達変わった兄ちゃんと遊んだことがあったような・・・。」

 「そう、それが僕だよ。」

 「・・・マジかよ・・・。」

 ソウとの意外な接点に、風太は再び驚愕する。

 「・・・ソウ様。いい機会です。私にあの時言っていたことの意味を教えていただけませんか?」

 「・・・ああ・・・確かに、風太が試練を乗り越えれば話すって言ったね・・・。」

 ソウのしまったという表情。風太はますます、彼が世界を創った神様とは思えないなと、内心思った。

 「俺も気になるな。モーゼに何を教える約束をしたんだ?」

 「俺も気になるぜ。それに、俺は五年前からの風太のことは知らねーからな。」

 「僕も気になるね。仮にも神の君が、どうして彼を気に掛けるのか。」

 「・・・分かったよ。話は移動しながら話そう。風太。フィードにアナザーワールドに行くよう頼んでくれないかい。」

 「分かった。フィード、俺達をアナザーワールドに連れて行ってくれ。ただし、そんなに急がなくてもいい。お前も聞きたいだろう。ソウの話を。」

 『うん!じゃあ乗って。』

 フィードは風太達を背中に乗せると、一瞬で上昇する。そして、エリアスが開いたように、次元トンネルを開くと、そこから次元の壁に進入していくのだった。

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