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ガルーダとの契約

 「【ライトヒール】!」

 モーゼの手から、温かくも強い光が放たれ、ガルーダを包んでいく。すると、ガルーダの傷が、みるみるうちに塞がっていく。

 「・・・これで、話せるようになるだろう。」

 「・・・回復魔法か。」

 「【ライトヒール】。光属性の回復魔法だ。そなたも、属性は違えど使うことはできる。機会があれば教えよう。」

 「・・・とりあえず、ガルーダと話してみるな。」

 風太は、ガルーダと向き合うと、【魔物意思疎通】を使用し、ガルーダと意思疎通を図ることにした。

 『・・・おい、動けるか?』

 『・・・むう・・・まさか、我が、こうもアッサリと地に伏すとは・・・完敗だ・・・。』

 『・・・お前がこの辺りを縄張りにしているせいで、他の鳥の魔物が迷惑している。ここから大人しく出て行くなら、これ以上何もしない。』

 『他の鳥?そんなもの共のために、我に挑んだと?』

 『テイマー魔法の練習だ。まずは、簡単にできる魔物と契約したかったからな。』

 『・・・我を倒せるだけの力を持つなら、あのような小鳥共ではなく、もっと強きものと契約すればよいだろう。それだけの力があるなら、グリフォン、いや、ロック鳥とでも契約すればいいだろう。』

 「・・・モーゼ、こいつ、俺ほどの力があるなら、最初からグリフォンやロック鳥と契約すればいいって言ってるんだが・・・そいつらって強いのか?」

 「グリフォンは、Dランクの魔物だ。討伐に軍隊が出ねばならないほどの魔物だ。ロック鳥に至っては、雛鳥でさえD、成体ならばCランクにもなる強力な魔物だ。ヘッドバードとは比べ物にならん。」

 『・・・なるほどな。でも、俺は魔法に関しては素人なんだ。そんな強い魔物といきなり契約なんて、どう考えても無理だ。勝てる自信もないし、気に入られたとしても、代価が払えるとは思えない。だから、簡単に契約できるところから始めた。』

 強い魔物なら、契約の代価も大きいと風太は聞いていた。だから、ランクの高い魔物と契約する自信がないと、風太ははっきり言った。

 『これほどの力だというのに・・・惜しいのう。・・・そうだ、ならば、我と契約せんか?』

 『いいのか?俺としては、願ってもないことだけど・・・。でも、さっきも言ったが、俺は素人だ。お前に似合った代価を払えるとは思えないし、お前の名に傷が付くんじゃないか?』

 『なに、無理難題など吹っ掛けたりはせん。それに、我を打ち倒したものにそんな仕打ちなどしたら、それこそガルーダ族の名に傷が付く。・・・我が望みは、【進化】することだ。』

 『【進化】?』

 『お前達は、上位種と呼んでいるだろう。それに至ることだ。』

 上位種。魔物には、時に強力な個性や力を持った個体が生まれる時があるという。それを、上位種と呼ぶのだとモーゼは言う。上位種は、群のリーダーになり、上位種に率いられた群は、最低でもEランク相当の脅威度になるのだという。このガルーダが上位種となれば、Aランクは下らないほどの強さとなると、モーゼは付け加えた。

 『・・・でも、上位種っていうのは、偶発的に生まれるんだろ?』

 『通常はな。だが、稀に【進化】と呼ばれる現象が起き、上位種へと至る場合もある。我の望みは、その【進化】に至ることだ。』

 『・・・そんな凄いことなら、ますます俺なんかが見つけられるとは思えないけどな。』

 『案ずるな。魔物達の間では、このような伝説が伝わっている。『強き導き手の側にありしもの、更なる高みへと至らん。』この伝説は、我らが上位種になるためのきっかけと言われていたのだが、強き導き手とはなんなのか、今まで分からずじまいだった。強い魔物の側にいたところで、【進化】などしなかったのだから。・・・だが、お前を見て一つの結論に至った。・・・強き導き手とは、お前の様な存在だ。』

 『・・・なるほど。導き手ってのは、強い魔物とか群の主じゃなくて、テイマーのことってことか。つまり、俺の側にいれば、お前は【進化】の手段を見つけられるかもしれない。そういうことか。』

 『そうだ。それに、お前の強さは、我を一撃で倒したことで十分伝わった。主として認めるに申し分ない。決して不名誉ではない。』 

 『・・・進化すれば、お前はもっと強くなるのか?』

 『そうだ。グレーターガルーダか、ガルーダロードとなる。我が生涯かけて至らんとする領域だ。』

 名前を聞いても、風太はピンとこなかったが、おそらくAランクのガルーダの上位種であろうことは分かった。

 『それになるために、俺の力が欲しい。そういうわけだな?』

 『無論、お前にもメリットはある。我が縄張りであるこの一帯の鳥の魔物達。奴らが無条件で契約するよう取り計らおう。』

 そんなことが可能なのかとモーゼに確認を取ってみると、可能であると答えた。モーゼが言うには、その系統の格上の魔物を従えていれば、無条件で契約ができるのだという。彼が、ガルーダとの対話を勧めたのも、ガルーダと契約できれば、この一帯の他の鳥型魔物との契約が容易になるという意図があったのだ。

 『・・・分かった。なら、俺はお前が進化できる方法を探す。その代わり、お前は他の鳥達を虐めないこと。それでいいか?』

 『あんなもの共に気を遣うか。大物なのか、それとも自分の凄さを理解してないのか・・・。ふふ、いいだろう。それくらい、安いものだ。』

 『契約成立だな。』

 風太は、魔力を放出し、ガルーダに注ぎ込む。ガルーダの身体が光に包まれ、光が消えた場所には、【サモンカード】が落ちていた。

 「・・・よし!」

 「ガルーダすら従えるとは・・・これは、将来が楽しみだ。」

 「よし!ガルーダが言ってたな!自分の縄張りの鳥の魔物は、無条件で契約できるって!早速やるぞ!・・・確か、召喚はこうだったかな?・・・【サモン・ガルーダ】!」

 風太は、ガルーダを召喚すると、この一帯の鳥型魔物達と次々契約していくのだった。そして、日が暮れる頃には、風太の周囲はガルーダを中心に、鳥型魔物の軍団ができあがっていたのだった。

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