属性検査
渚の口調を変更します。
「そなた達には、そろそろ魔法を教えるとしよう。」
「魔法か!ようやくこの時がきたな!」
「まさか、魔法が使えるようになる日がくるなんて思わなかった。」
モーゼの言葉に、目を輝かせる二人。魔法など空想の産物にすぎない世界の人間である二人にとって、魔法が使えるようになるというのは、とても嬉しいことであることは想像難くない。
「まずは、そなた達の属性を調べよう。」
「属性?」
「神話にもあった六属性のことよ。この世界に生きる者は皆、生まれながら属性の一つを内包しているの。そして、その内包している属性の魔法を使うことができるの。」
「つまり、自分の持ってる属性の魔法しか使えない、ということ?」
「そうだ。魔法を修行する際、まず初めに行うのが、属性を調べることだ。そうやって、どの属性の魔法が使えるかを知り、それに合った修行をする。例えば、水の魔法の修行は、水浴びや川での水泳など、水と触れ合うこと。火属性は、火山の付近での鍛錬や、鍛冶職人の許での修業といった、火に慣れること。そういった具合だ。」
「そんな簡単なことでいいのか?」
「基本的な魔法の修行自体は、そこまで難しくはないのだ。日々の生活で、下級の魔法は自然と使えるようになる。難しいのは、中級以上の魔法だ。こればかりは、より厳しい鍛錬が必要だ。」
(・・・この世界は、魔法が使えるのが当たり前だ。俺達の思う以上に、魔法っていうのは簡単なのかもな。)
意外な常識に、風太は自分なりに納得した。
「でも、異世界から来た俺達に、この世界の摂理が適応されるのか?」
「問題ない。そなたの世界の人間も、六属性を内包しているということはミリィが調査済みだ。」
「ああ、そういや、俺を捜すのと並行して、俺の世界の人間を色々調べてたって言ってたな。」
「それで、自分の属性は、どうやって調べるんですか?」
「この魔石に触れるのだ。」
モーゼは、懐から無色の石を取り出す。
「この魔石は、触れた者の属性に反応して光る。火なら赤く、水なら青く、風なら緑色に、土なら黄色に、光なら白く、闇なら黒く光る。」
「便利だな。じゃあ、早速俺からいくか。」
「うむ。」
風太は、魔石に触れる。すると、魔石は緑色に光り輝く。
「・・・風だな。・・・しかも、これほどの輝きとは・・・。」
「魔力が強い証拠ですか?」
「うむ。・・・では、次は青野渚。そなたの番だ。」
「は・・・はい!」
緊張した面持ちで、渚は魔石に触れる。すると、魔石は青色に光り輝く。
「・・・水だな。ミリィと同じ属性だ。」
「ミリィも水なの?」
「ええ。渚と同じ属性なんて、何か、運命的なものを感じるわね。」
ミリィは、とても嬉しそうに微笑む。
「では、青野渚の修行は、ミリィに行ってもらうとしよう。」
「分かりました。じゃあ、渚。向こうで私が色々教えてあげるわ。」
「お願いね。」
ミリィは、渚を伴い、向こうに行ってしまう。あの辺りには川があり、そこで水魔法の修行を行うのだろうと、風太は思った。
「じゃあ、俺の修行は、あんたが付けてくれるのか?」
「うむ。・・・だが、そなたにはまず、魔力の制御を教えておかねばならんな。」