表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/161

呆気ない魔王の幕切れ

少々惨いシーンがあります。

 「・・・本当に一人で倒しちゃった・・・。」

 上空にいた渚は、敵の大軍を殲滅した真白の姿-正確にはロボットゴーレムの性能でもあるが-を見、驚愕した。まさに、一方的な蹂躙だった。

 『魔法を使ったあなたと同等かそれ以上ですね。』

 「・・・真白、大丈夫かな?」

 『大丈夫でしょう。・・・!渚、次が来たようです。』

 殲滅終了後、真白の前に新たな部隊が現れた。部隊といっても十名にも満たない人数であり、あくまで偵察目的であることが窺えた。

 「・・・助けは・・・。」

 だが、すぐに真白によって殲滅された。今度は、先ほどよりも数が少なかったこともあったが、真白が戦いに慣れてきたこともあり、一瞬で終わった。

 「・・・全然必要なかったね。」

 『・・・ええ。』

 真白の無双ぶりに、渚とエリアスは唖然とするのだった。


 「な・・・何なんだ・・・このゴーレムは・・・!?」

 魔兵士の一人は、目の前の惨状が理解できなかった。先行した部隊の姿が見えず、いたのは奇妙な形状のゴーレムだけ。しかも、そのゴーレムが目にも止まらぬスピードで襲い掛かり、自分以外の魔兵士は全滅していた。理解できないのも当然である。

 『・・・あなたに聞きたいことがあります。』

 「!?喋った!?」

 ゴーレムから声が聞こえてきたことに、魔兵士は混乱する。ゴーレムに言語を話す能力はないのだから。

 『指揮官の魔王はどこにいますか?』

 「お・・・お前は・・・ゴーレムじゃないのか?」

 『質問に答えてください。さもないと・・・。』

 謎のゴーレムは、左腕から光線のようなもの魔兵士の足元に撃つ。魔兵士の足元は、真っ黒焦げになった。

 「!?」

 『次は、あなたを撃ちます。』

 「!ここから森を越えたあたりに陣を張って待機している!魔将軍様も一緒だ!」

 『そうですか。なら、あなたにもう用はありません。』

 そう言うと、ゴーレムは魔兵士の頭を殴った。魔兵士は、何をされたか分からないまま、絶命した。


 「魔王様!先発隊との連絡が途絶えました!」

 進軍していた魔王の許に、先発隊からの定期連絡が途絶えたことが伝えられた。

 「・・・おそらく、勇者がやったのだろう。仮にも先発を任せた部隊が、こうも易々とやられるとは・・・。」

 「・・・魔王様。差し出がましいですが、侵攻軍の兵力も加えた方がよいのでは?」

 魔将軍の一人が、グロバー大陸を制圧するための軍を今からでも呼ぶべきだと進言する。

 「いくら勇者が強いとはいえ、五人にも満たないと聞きます。なら、大軍をもって圧殺するのも手かと。」

 「・・・それも手ではある。だが、そうなると指揮系統に不安が残る。侵攻軍の大半は、魔兵士よりも魔物だ。一応、制御できてはいるが、我々はテイマーではないから自在に使役できるわけではない。何かの拍子で制御を外れれば、奴らは我々にも牙を剥く。」

 「ならば、魔兵士だけでも・・・。」

 「魔兵士の兵力などたかが知れている。加えたところで焼け石に水だ。」

 「ですが、ないよりはマシです。今からでも・・・。」

 その時、彼らの耳に爆音が飛び込んできた。同時に、凄まじい爆風も生じ、彼らを襲った。

 「!?何だ!?何事だ!?」

 「ま・・・魔王様・・・!・・・て・・・敵・・・襲・・・!」

 そう言い残した魔兵士の身体が、ぐちゃりと音を立てて潰れた。その上には、真白の乗るロボットゴーレムの足が置かれていた。

 「!?何者だ!?」

 『・・・あなたが魔王・・・ですね。』

 「!声!?」

 「魔王様!あのゴーレムらしきものから発せられているようです!」

 「ゴーレムだと!?勇者の中にゴーレム使いがいたのか!?」

 『私はゴーレムではありません。そして、勇者でもありません。・・・一応、仲間の一人・・・という扱いですが。』

 真白は、自身がゴーレムではないこと、風太達の仲間であることを告げる。

 「勇者でないにもかかわらず、一人で来たということか?愚かな!返り討ちに・・・!」

 魔王がロボットゴーレムを攻撃しようとしたその時、傍にいた魔将軍達が消滅した。

 「・・・は?」

 何が起こったか、魔王は理解できなかった。その次の瞬間、魔王はロボットゴーレムによって地面に押し倒されていた。

 「がはっ!?」

 『・・・あなたが魔王なら、色々重要なことを知っているはずですね。聞きたいことがあります。』

 「き・・・貴様!一体何をした!?」

 『・・・。』

 真白は無言で魔王の腕を潰した。魔王は、腕を潰された激痛で悲鳴を上げた。

 「ぎゃああああ!?」

 『質問に答えないのなら、次はもう片方の腕、そして、足を潰します。』

 「わ・・・分かった!答える!答えるからやめてくれ!」

 魔王は、真白の言う通りにすると言う。真白は、魔王の身体に足を乗せたまま立ち上がった。

 『白名光がどこにいるか教えてください。』

 「な?・・・シロナヒカリ?」

 『私の妹です。光竜セイクの契約者にされた。』

 「あ・・・あの人形のことか!?知らん!私は何も知らない!光竜の指揮権限は、ヤミー様だけが持っている!一介の魔王には知る由もない!」

 『・・・魔王はヤミーの側近ではないのですか?』

 「それは、あくまで四天王だけだ!魔王と言っても、魔将軍より上の地位というだけだ!私は、ヤミー様にお目通りしたことさえない!」

 『・・・そうですか。なら、あなたにもう用はありません。』

 そう言い残すと、真白は魔王の身体を踏み潰した。魔王は、曇った悲鳴を上げ、そのまま絶命した。

 『・・・。』

 真白は、魔王の死体を一瞥すると、残っている敵を殲滅しに向かうのだった。

真白は、大人しそうですが相当溜め込んでいるので、戦い方がかなり残酷だったりします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ