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真白無双

若干、エグイ描写があります。

 「・・・あれが、敵の先発隊ね。」

 エリアスに乗る渚は、遥か地上にある敵を見下ろす。白い大地を埋め尽くすように、魔兵士達が行進していた。

 (私なら、範囲魔法で一気に倒せるけど・・・真白はどうやって戦うのかな?)

 『渚さん。では、行ってきます。』

 「・・・本当に大丈夫?」

 『大丈夫です。ロボットゴーレムの性能は一通り確かめましたので。』

 「そうじゃなくて、真白は実戦は初めてなんでしょう?・・・キツくない?私も、最初の戦いはキツかったから。」

 自身の初陣が、精神的に辛かったこともあり、渚は真白を気遣う。

 『大丈夫です。あいつらは、光を攫って苦しめている一味の仲間ですよね。なら、遠慮なんていりません。潰します。』

 「・・・。」

 (・・・何となく分かっていたけど、やっぱり真白も壊れているんだ。・・・そうだよね。大切な家族を奪われたんだから。私にできるのは、そんな真白が戦えるように支えることだけ。)

 真白の言葉に、渚は真白が風太と同様の精神状態なのだと改めて痛感した。だからこそ、彼女を支えなければと決意を新たにもしたが。

 「気を付けてね。もし、危なくなったら私とエリアスが助けに行くから。」

 『はい。・・・行きます!』

 真白は、ロボットゴーレムを一気に降下させる。減速はせず、それどころか、どんどん速度を上げていく。そのままロボットゴーレムは、地表近くまで到達していた。

 (・・・ここで・・・!)

 真白は、全身から魔力を放出する。それと同時に、ロボットゴーレムは、地表に衝突した。衝突の衝撃で、周囲は轟音が響き渡り、土煙が巻き起こって視界が閉ざされた。

 そんな状況でありながら、落下したロボットゴーレムは、傷一つ付いていなかった。

 (・・・バリアの展開も問題なし。まさか、あの高さからあんなスピードで落ちたのに無傷だなんて・・・私自身も信じられません。衝撃すら感じなかった・・・。)

 真白は、モニター越しに機体を確認し、驚愕していた。単に頑丈なだけでは説明が付かないものだった。これも、ロボットゴーレムに搭載された機能の一つのおかげだった。魔力を全身に展開することで発動するバリア機能。このバリアのおかげで、ロボットゴーレムも、中の真白も無傷で済んだのだ。もし、バリアを張らなければ、いくら頑丈に作られているとはいえ、ロボットゴーレムも無傷では済まなかっただろうし、真白自身も怪我を負っていた、いや、最悪、死んでいたであろう。

 (このバリアは、ソウさんが一番力を入れていました。もし、戦うのが怖くなったら身を守るために使う用だと。・・・でも、私は逃げる気も隠れる気もありません。妹を、光を取り戻しに来たんです!)

 真白は、周囲にいるであろう魔兵士達をモニター越しに確認する。モニターには、人型の赤い光が大量に見えていた。ロボットゴーレムの視界は、単に外の情報を見せるだけのものではない。サーモグラフィ画像としても見せることもできるのだ。もっとも、この世界では、魔力反応を視覚化して見えるようにしているのだが。そのため、視界が利かなくとも、真白には、敵の位置が分かるのだ。

 (・・・では、行きます!魔力は、これくらいで・・・!)

 真白は、近くにいる魔兵士に近付くと、魔力を込めた腕で殴った。魔兵士は、曇った悲鳴を上げ、肉片と化していた。

 (・・・大して魔力を込めていないはずなのに、鎧を着て肉体が強化された兵士が爆散?・・・これなら、もう少し込める魔力を減らしてもよさそうですね。いくら私の魔力が多いとはいえ、無駄遣いはできませんから。)

 敵の状況から、もう少し魔力を節約できると判断した真白は、次の獲物へと迫る。周囲が確認できない魔兵士は、ロボットゴーレムの攻撃に対応できず、次々と肉片と化していく。その都度、真白は魔力の量を減らしていき、何十体目には、何とか身体を残して倒すことができた。

 (・・・魔兵士なら、この程度の魔力で十分ですね。・・・でも、あそこにいる魔力反応の高い人。おそらく、魔将軍ですね。なら、威力を上げて戦います!)

 魔将軍の魔力反応を感知した真白は、魔将軍に迫る。魔将軍は、いつ敵が来てもいいよう、剣を構えていた。そして、真白が攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、逆に攻撃を仕掛けてきた。だが、ロボットゴーレムの腕は、魔将軍の剣を受け止めていた。

 「!?」

 (バリアがなくても、このロボットゴーレムはメタリアルの装甲を元に頑丈にできています。そんな剣では傷一つ付きません!)

 そのまま真白は、魔将軍を殴りつける。魔兵士より強いことを考えて、最初の時と同じくらいの魔力量で。魔将軍は、下半身が粉砕され、上半身だけが上空に飛んでいくのだった。

 (敵の指揮官は倒しました。さて、土煙が晴れる前に、あとどれだけ倒せるでしょうか。)

 魔将軍は瞬殺した真白は、残りの魔兵士を倒すべく、土煙の中を駆け抜けていく。そして、土煙が晴れた時、多くの魔兵士が肉片と死体と化していた。

 「・・・あれは何だ・・・?」

 生き残った魔兵士は、土煙から現れた存在に困惑していた。今まで見たこともないものがそこにいたのだから。だが、一つだけ分かることがあった。自分達を襲っている存在が、あの物体だということが。

 「・・・ゴーレムか?だが、小さいような・・・。」

 「!魔将軍様!?」

 「し・・・死んでいる!?」

 魔将軍の死体を見た魔兵士達は、恐怖に駆られた。自分達より強い魔将軍が、無残な姿になっている。そして、そうした相手はあの物体。戦えばどうなるか、自明の理であった。

 「に・・・逃げろ!魔王様のいる場所まで逃げるんだ!」

 魔兵士達は、一斉に逃げ出す。それを追いかけようとする真白だったが、そこにソウからの通信が入る。

 『真白。残りは無理に接近戦を挑まず、魔力砲で片付けたらいい。』

 『え?ですが、魔力砲は威力が・・・。』

 『チャージは抑えて、片腕だけで撃てばいい。そうすれば、適切な威力になるはずだよ。』

 『・・・分かりました。』

 真白はソウの指示に従い、魔力のチャージは控え、片腕だけで魔力砲を放った。腕から放たれた魔力の光線が、魔兵士達を焼き払っていく。魔兵士は、一瞬で灰と化し、白い地面を灰色に染めていく。

 (・・・こっちの方が楽ですね。それに、両手撃ちより周囲に与える影響は少ないみたいです。最初から、こうすれば簡単でしたね。)

 そのまま真白は、魔力砲で魔兵士達を攻撃する。一分も経たないうちに、魔兵士達は物言わぬ屍、いや、ただの灰になっていた。

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