ブレイ対セイク
『セイク!やめろ!』
セイクと組み合いながら、ブレイは説得を試みる。だが、セイクは全く意に介さず、ブレイをそのまま放り投げようとする。
『!』
ブレイは、投げられまいと踏ん張るも、セイクはブレイを上回るパワーでブレイを持ち上げ、投げ飛ばしてしまう。
『くそ!前より強くなってねーか!?』
投げられたブレイは、飛行して難を逃れる。だが、セイクも飛行すると、追撃を行う。
『!この!』
セイクの体当たりを受け止めるブレイだが、スピードもパワーもあるセイクの一撃をそのまま受け止めることはできず、吹き飛ばされてしまう。
『神!もうお止めください!』
『・・・。』
スペリオルサンダーバードが必死で呼びかけるものの、セイクは全く反応しなかった。
『どうすれば・・・どうすれば神を正気に戻せる・・・!?』
何の力にもなれないスペリオルサンダーバードは、ただ項垂れるばかりだった。
『セイク!目を覚ませ!いつまでヤミーに操られていやがる!』
『・・・。』
『!』
セイクはブレイにブレスを放つ。ブレイは回避するものの、余波だけでも身体に衝撃が走り、着弾した場所は大爆発を起こし、大きなクレーターができるほどだった。
(・・・あんなものに当たれば、俺でも耐えられねー!やっぱり、この前会った時よりもさらに強くなってやがる!どこまで強くなるんだ!?)
セイクの異常な強化に、ブレイは戦慄する。だが、それでも可愛い妹を見捨てるなどできないブレイは、何とかセイクを正気に戻そうと声をかけ続ける。
『セイク!お前はこんなことする奴じゃねーだろう!目を覚ませ!』
『・・・。』
ブレイの悲痛な叫びに対し、セイクはブレスで返す。ブレイはそれを躱すが、その表情は険しかった。
(畜生!どうすりゃいいんだよ!)
手が出せないブレイは、どうやってセイクを止めて正気に戻すかを必死に考えた。だが、どんなに考えても、何も浮かばなかった。
(・・・元に戻せないなら、動きを封じる!)
『火竜の火球!』
ブレイは、セイクの周辺に大量の火球を展開する。それは、火魔法の【ファイアボール】に似ていたが、大きさは比較にならないほど大きかった。
『これなら下手に動けねーだろ!』
『・・・。』
セイクはブレスで破壊しようとする。ブレイはそれを制する。
『おっと。下手に壊そうなんて考えんな。衝撃を与えれば、爆発する。いくらお前でも、ダメージは免れねーぞ。』
『・・・。』
だが、次の瞬間、セイクはブレスを放ち、火球を攻撃する。一瞬で、セイクの周辺は爆発に包まれる。
『!嘘だろ!?自爆したのか!?』
だが、その考えが間違っていたことにすぐ気付く。爆風が晴れると、そこには無傷のセイクが佇んでいた。
『・・・もう何でもありかよ・・・!』
『・・・。』
困惑するブレイに、セイクは光竜の剣製を放つ。あまりのスピードに、ブレイは回避し切れず、何発か被弾してしまう。
『ちぃ!これだから光属性の攻撃は嫌なんだ!』
これ以上のダメージを防ぐため、ブレイは自身の炎の球体で包み、防御の体勢を取る。
(これでしばらくはもつはずだ。・・・だが、このままじゃいけねー。何とかしねーとな。)
そんな状況がしばらく続いた。それが変化したのは、焔が光を凍らせて確保した時だった。
(!あいつ、契約者を捕まえたのか!)
焔のまさかの金星に、ブレイは歓喜する。だが、それがいけなかった。いつ近付いたのか、セイクが自身の目の前にいたのだ。
『!?』
セイクは、無防備なブレイに強烈な尻尾による打撃を加える。攻撃の蓄積で脆くなっていた火球のバリアはアッサリと砕かれ、ブレイはセイクの尾の一撃をくらい、地面に落ちていく。そして、巨大なクレーターを作って地に伏すのだった。