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地上の戦い

ここからは時間が遡り、焔達の戦いになります。

 「くそ!」

 焔は、光の攻撃を弾きながら毒付く。光の攻撃は、隙だらけだが、豊富な魔力で強化されたことで、威力、スピード共に焔でもギリギリ対応できるほどだった。

 (相手が真白の妹じゃなけりゃ、一気に倒せるのに・・・!)

 焔も反撃するものの、相手が操られているだけの子供であり、知り合いの妹でもあるため傷付けることはできず、あくまで武器を狙うにとどめていた。だが、光の方はそんなことはなく、焔の頭や身体を狙った攻撃を繰り出す。時間が経つと共に、焔は掠り傷ではあるが、ダメージが蓄積していく。

 (どうすりゃいい!?このままじゃ埒が明かねー!)

 「おい!お前達!何か、拘束できるような技はねーのか!?もちろん、この子を傷付けないようにだ!」

 焔は、ガルーダとキングピーコックに、光の動きを止められないか聞く。だが、二体は難しそうな顔をする。

 『・・・無理だ。拘束は可能だが、傷付けないとなれば話は別だ。我の風では、確実に傷付けてしまうだろう。』

 『私の力なら、傷付けずに拘束できるかもしれないが・・・強度に自信がない。せめて、王ならばできるかもしれないが・・・。』

 「・・・ないよりマシだ!キングピーコック!頼む!」

 光にダメージを与えず動きを封じるため、焔はキングピーコックに援護を頼む。

 『分かった。ウォーターボール!』

 キングピーコックは、巨大な水泡を光に飛ばす。光は水泡に包まれてしまうが、すぐに魔力を放出して水泡を破壊し、脱出してしまう。

 「隙あり!」

 その隙を突き、焔は光を羽交い絞めにする。

 (この間に、槍を手放させれば・・・!)

 最初の戦いの時と同様に、羽交い絞めにしてから槍を手放させようとする焔。だが、彼女は槍を手放すことはなかった。逆に、力尽くで焔を振り解こうとしてきた。

 (ヤバい!早く槍を・・・!)

 慌てて槍を手放させようとするも、光は以前のように手放すことはなく、強く握りしめたままだった。結局、光は焔から逃れ、距離を取られてしまう。

 「くそ!せめて、風太がいてくれれば・・・!」

 「・・・。」

 そんな焔に対し、光は今度は接近戦ではなく、魔力を飛ばしての遠距離攻撃をする。

 「!」

 予想外の攻撃に、焔は面食らうものの、ギリギリのところで回避する。だが、光は間髪入れずに魔力を飛ばして攻撃する。

 (くそ!今度は遠距離攻撃かよ!こっちが下手に攻撃できないことを分かっててやってやがる!)

 近接戦なら、まだ彼女を傷付けずに戦うことができたが、魔法の撃ち合いとなればそうはいかない。焔の魔法は-そもそも、火魔法全般に言えることだが-、火力が高すぎるのだ。とても、光を傷付けないで撃つのは不可能だった。結局、焔は光の攻撃を躱すことしかできなかった。

 (くそ!どうすりゃいい!?このままじゃ、やられちまうぞ!)

 光の魔力攻撃を躱しながら、焔はどうやって光を無力化するか考えた。

 (前使った手はもう使えねー!なら、別の手で無力化するしかねー!だが、どうする!?俺の魔法じゃ無力化は無理だ!キングピーコックの力でも、すぐに破られちまうし!・・・?あれは?)

 その時、焔は光の着ている服が、若干凍り付いていることに気付いた。

 (あいつ、寒さ対策してねーのか?いや、考えてみればそうか。セイクを使役するための道具扱いなんだからな。・・・!待てよ!)

 「・・・キングピーコック!さっきのやつを大量に展開してあの子を拘束しろ!」

 『!?そんなことをしても無意味だろう!すぐに破られる!』

 「だから、破られても包んだままにしておくくらい出すんだ!頼む!」

 『・・・分かった。ウォーターボール!』

 キングピーコックは、ウォーターボールを複数重ね掛けして光を包み込む。光は、最初と同じように魔力で破壊しようとする。内側のウォーターボールから、徐々に弾けていく。

 「キングピーコック!もっとウォーターボールを出せ!出し続けろ!」

 『ウォーターボール!』

 キングピーコックはさらに、ウォーターボールを張る。それすらも光は、破壊して脱出しようとする。

 「・・・いいぞ。その調子だ・・・!」

 『・・・一体、いつまで続ける気だ?』

 「・・・そろそろだな。」

 『?』

 すると、水泡を割るスピードが、徐々に落ち始めてきた。ついには、水泡が割れず、光は動きを止めてしまう。

 『!?どうした!?』

 「やっぱりな!こんな寒い所で何の対策もしてないなら、凍って当然だ!」

 『!』

 キングピーコックは、ウォーターボールを解除した。そこには、氷の球体に閉じ込められた光の姿があった。

 『・・・まさか、私のウォーターボールを凍らせて閉じ込めるとは・・・。』

 「この子の服が、若干凍っているのを見て、温度変化に弱いと思ったんだ。考えみりゃ、ヤミー軍の性格からして、道具同然の人間のために寒さ対策なんてしねーだろうしな。」

 『・・・洗脳した挙句、使い捨て同然の扱いとは。勇者になりえる存在を何だと思っている・・・。』

 不快そうに呟くキングピーコック。焔は、警戒しながらも凍り付いた光に近付く。光は、完全に凍結し、動かなかった。

 「・・・大丈夫かな?まさか、死んでなんかいねーよな?」

 『案ずるな。その娘は、生きている。』

 「・・・よかった。・・・でも、どうやってこの子の洗脳を解けばいいんだ?俺、洗脳の解き方なんて知らねーぞ。」

 その時、焔の背後から凄まじい激突音が響き渡った。突然の音に、焔は思わず振り返る。そこには、地に伏したブレイがいた。

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