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ミリィの師

 「ミリィ、よく戻った。思ったより早かったな。」

 城の中庭に着陸したエリアスから降りたミリィに、灰色のローブを着た男性が話しかけてきた。男性は、二十代くらいの温和そうな人物で、手には灰色の宝玉が付いた杖を持っていた。

 「賢者様!ただ今戻りました!」

 ミリィは、賢者と呼んだ男性に深々と頭を下げる。

 「賢者様の命により、緑川風子の兄、緑川風太、及び、エリアスの契約者、青野渚を連れて来ました。」

 「・・・そうか。まさか、エリアスの契約者まで見つけてくるとは・・・さすがはミリィ、私の自慢の弟子だ。」

 「あ・・・ありがとうございます!」

 男性は、優しそうに微笑む。それを聞いたミリィは、とても嬉しそうにしていた。

 「・・・そなたが、青野渚だな?」

 男性は、今度は渚の方を向く。

 「は・・・はい!」

 「私は、賢者モーゼ。このラグン王国に仕える賢者だ。遥々異世界より、よく来てくれた。感謝する。」

 「い・・・いえ・・・私はただ・・・知り合いが攫われたと聞いて・・・その・・・助けようと・・・。」

 渚は、緊張していたため、ぎこちない様子で受け答えする。

 「・・・そなた、緑川風子に所縁ゆかりのある者か。」

 モーゼは、先ほどまでの穏やかで優しそうな面持ちから、とても悲しそうな表情に変わる。

 「はい。・・・悪い奴に攫われたと聞いて・・・。その子は、私にとって、妹同然の子なんです。・・・それに・・・幼馴染の妹で・・・。」

 「そうであったか。・・・私も、無関係な者が巻き込まれたことに心を痛めている。・・・我々の世界の問題に巻き込んで、誠に申し訳ない。」

 渚に対して、モーゼは深々と頭を下げる。偉い人間だと思っていた渚は、モーゼの行動に戸惑う。

 「いえ・・・悪いのはヤミーのせいですから・・・。」

 「いや、本来ならば、我らがやらなければならぬことを異世界の者に押し付けているのだ。力のない我々の責任だ。」

 「・・・。」

 (・・・想像してたのと違うな。こいつが、世界で一番強い奴には見えないな。)

 風太は、モーゼと渚のやり取りを見ながら、彼は優しい人間であると感じていた。風子のことを気にかけ、見ず知らずの渚に、こうして頭を下げられる彼に、風太は信用してもいいのではと思った。

 同時に、風太は、賢者と聞いて、よぼよぼの老人を想像していた。もしくは、一番強いの魔力を持つと聞き、逞しい男とも想像していたが、モーゼの姿は、そのどちらでもない、年若い優男といってもいい人物で、意外だと思った。

 「・・・そして、そなたが緑川風太だな。」

 「・・・ああ。早速で悪いが、早く竜の居場所を・・・。」

 「焦らなくとも、そなたは竜に選ばれる。それも、最強の竜、竜王ドラゴニックに。」

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