アナザーワールド到着
渚の口調を変更します。
トンネルを抜ける際、目も眩むほどの光が彼らを照らす。風太達は、思わず目を瞑る。
しばらくして、風太達が目を開けると、そこには信じられない光景が広がっていた。
果てが見えないほど広い草原、奇妙な形状の山脈、明らかに、自分達の世界とは異なる光景であった。
さらに、大地には、見たこともない生き物が、縦横無尽に走り回り、空も、鳥というにはあまりに巨大な生き物が飛び回っていた。
「・・・ここが・・・アナザーワールド・・・!」
「・・・すごい・・・本当に来ちゃった・・・。」
『そうです。ここが、私達の棲む世界です。多くの魔物が棲み、人や他種族が生きる世界。命に溢れた世界です。』
「・・・本当に、RPGみたいだな。」
「・・・だね。昔遊んだゲームみたい。」
目に映る光景に、ただただ圧倒される二人。そんな二人の様子を、ミリィは微笑んで見ていた。
「渚、エリアスに賢者様の待つ王都ドランへ向かうよう頼んで。真っ先に師匠に報告しないといけないの。」
「分かった。エリアス、お願い。」
『分かりました。少し、スピードを上げますね。』
エリアスは、先ほどよりスピードを上げ、飛んで行く。
「・・・なあ、少し気になったんだが、こんな高度にいて、どうして俺達平気なんだ?普通、高い場所だと空気が薄くなるし、寒さだって・・・。」
『・・・竜を身体が大きいだけの魔物と勘違いしてもらっては困ります。あなた達に、防御魔法を展開しています。これにより、寒さから身を守っているのです。』
「でも、空気は?」
『私の肺の酸素を、防御魔法内に移送しています。私の肺活量は、人間の比ではありません。あなた達に回したところで、問題ありません。』
「・・・本当に不思議な世界なんだな・・・。」
エリアスの使う力に、風太はただただ感心した。
「・・・見えてきたわ。あれが、王都よ。」
「!あれが・・・!」
ミリィが指した場所には、とても巨大な町があった。
巨大な石の壁が周囲を囲み、町の中心には、巨大な白い城が建っていた。
「・・・でかいな・・・!」
「風太、見て見て!あの街並み、まるでゲームみたい!」
「げえむ・・・。よく分からないけど、この王都ドランは、ワルド大陸最大の町よ。」
「ワルド大陸?」
「アナザーワールドには、三つの大陸があるの。東にあるグロバー大陸、南にあるユニバス大陸、そしてここ、ワルド大陸よ。」
「つまりここは、ワルド大陸にある王国ってことか。」
「ワルドには、王国は一つしかないから、ワルドといえば、この国、ラグン王国と言っても差し支えないわ。」
「で、あの町に行くんだろ?どこに降りるんだ?」
「降りる場所なら、大丈夫よ。ドラン城に、降りる場所があるから。」
「・・・よく分からないけど、お城に降りればいいのね。エリアス、お願い。お城にうまく着陸して。」
『分かりました。何度も来ていますから、問題ありません。』
エリアスはそう言うと、ドラン城に向かって行くのだった。