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強行突破2

 「・・・そろそろグロバー大陸が見えてくる頃です。」

 サンダーバードの群れを離れ、半日ほど経過した。真白は、もうすぐグロバー大陸が見えると風太達に告げる。

 「そろそろか。・・・真白、闇獣の反応は?」

 「・・・!レーダーに反応!数・・・十万以上!?」

 「十万だと!?多すぎだろ!?」

 想像以上の敵の多さに、風太達は驚愕する。一万以上は覚悟していたが、その十倍なのだ。

 「・・・敵の強さは?」

 「・・・Aランク相当です。Sは・・・いないようです。」

 「フェニックスと同等の敵が十万か・・・。マトモにぶつかれば被害が大きいね。」

 数だけでなく、質も高いことに、震は顔を顰める。ワルド大陸のように、ランクの低い魔物なら、大群であろうと蹴散らせるが、ランクが高いのならば、そうはいかないからである。

 そんな震を、焔は笑う。

 「何ビビってんだよ。試した力を使う絶好の機会じゃねーか。」

 「別に、ビビってなんていないよ。」

 「真白。そのまま直進だ。敵に接触すると同時に、エレメントシールドを展開して突っ込む。そして、そのままグロバーに行く。」

 「分かりました。」

 「風太。ここで、フィードを使うの?」

 「・・・いや。まだフィード達は使わない。」

 「何でだよ?ここが使い所だろ?」

 「いい判断だと思うよ。こっちの切り札を必要以上に晒すのは、得策じゃないと僕も思うからね。」

 「だがよー、だったらどうやって、フェニックスクラスの敵十万の大群を抜けんだよ?」

 「・・・ガルーダを使う。」

 「!そうか!今のガルーダは、Sランクだったな!それならいけるかもしれねーな!」

 「ガルーダ、お前の力を貸してくれ。」

 風太は、台座にスパルナガルーダルーラーのカードを置く。

 『よかろう。【進化】した我が力、存分に見せよう!』

 「真白。敵と接触するギリギリまで、シールドは使わないでくれ。」

 「分かりました。いつでも発動できる準備だけはしておきます。」

 メタリアルは、そのままグロバー大陸へのルートを進行する。そして、しばらくすると、メタリアルの目の前に、夥しい数の黒い物体が姿を現す。それは、鳥のようにも、竜のようにも見える、影でできた怪物達だった。

 「・・・あれが、闇獣か。見た目は影でできた魔物って感じだな。昔やったゲームにあんな感じの魔物がいたな。」

 「あれが、全部ヤミーの力の残滓なの?」

 「・・・間違いない。ヤミーの力を感じるよ。・・・それにしても、本当に禍々しいね。あれがヤミーの力だなんて、僕自身も信じられないくらいだよ。」

 闇獣の姿を目の当たりにしたソウは、それがヤミーの力で生まれたものだと断言する。

 「・・・このままだと、後五分後に敵の接触します。」

 「さっきも言った通り、そのまま前進だ。」

 「分かりました。」

 メタリアルは、闇獣の大群に向かって突っ込んでいく。すると、闇獣達は、メタリアルに気付いた様子で、メタリアルの方に向かってくる。

 「闇獣がこちらに来ます!」

 「好都合だ!こっちにこい!」

 闇獣達は、今まさにメタリアルに襲い掛からんとしてくる。鋭い爪や嘴で、メタリアルを攻撃しようとする。

 「今だ!」

 「エレメントシールド、展開!」

 闇獣の攻撃が当たらんとするその時、メタリアルはエレメントシールドを展開する。風の障壁が、メタリアルの周囲に展開され、周囲の敵を切り刻む。

 「このまま全速力でグロバーに!」

 「分かりました!」

 真白は、メタリアルの速度を全開にして突っ込む。質量による突撃と風の障壁で、次々と闇獣は切り刻まれ、落ちていく。

 「いいぞ!このまま突破だ!」

 「・・・にしても、こいつら何で飛び道具とか使わねーんだ?見た目が竜みたいな奴もいるのによ?」

 「味方を巻き込むのを恐れているか、単に使えないのか・・・よく分からないね。」

 震は、自身の推察を述べるも、まだ闇獣に関する情報が少ないため、確かなことは言えなかった。

 「・・・ソウ、このシールド、持つのか?」

 かなり進んだはずだというのに、未だに敵の切れ目が見えないことに、風太はソウに不安を漏らす。だが、ソウは心配する様子も見せずに断言する。

 「問題ないよ。ちゃんと抜けられるよ。メタリアルもそうだけど、君の魔物の力を信じるんだ。」

 「・・・そうだな。【進化】したガルーダが、簡単に負けるわけないな。」

 「・・・風太さん、もうすぐ闇獣の群れを抜けます!」

 その言葉と同時に、闇獣に覆われていたメタリアルの目の前の視界が開ける。

 代わりに、大きな山々がそびえ立つ、雪の積もる大地が見えた。

 「!あれが、グロバーか!」

 「このまま振り切ります!」

 闇獣の群れを抜けたメタリアルは、闇獣達を振り切ると、グロバー大陸の領空に侵入するのだった。


 『・・・この気配。・・・他の竜の気配・・・。』

 グロバー地下深くの聖域。その場所に建てられた祭壇の側に、一体の竜がいた。竜は、黄色い体色で、背中に水晶のようなものを大量に生やした四足歩行の恐竜に似ていた。

 『フィード?エリアス?ブレイ?・・・いいえ、これは・・・まさか・・・!』

 竜は、自身に近付きつつある竜の気配に驚愕する。それは、一体ではなく、複数の竜の気配だったからだ。

 『・・・どうして、三体が一緒にここに?・・・まさか、既にヤミーの手に?・・・いいえ、あの三体がヤミーにやられるとは思えないわ。・・・なら、どうしてここに?・・・もしかして、私に会うために?・・・でも・・・。』

 自分に会うために来たのだと思うと、竜の表情は暗かった。今、グロバーは完全にヤミーの手に落ち、この地を守る自身もヤミーの目を逃れ、ここに籠っている状況だったのだ。そんな状況で自分に会いに来るなど、自殺行為に等しかったのだ。

 『・・・今は、ここで待つしかないわ。・・・今の私では・・・。』

 竜は、他の竜達が来るのを待つことに決めた。それ以外に方法がないからだ。

 この竜こそ、風太達が求めている存在、土の属性を司る五大竜、土竜ランドである。

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