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光竜の眷属

 「・・・これが、サンダーバードか。」

 メタリアルを上に乗った風太は、目の前のサンダーバード達を見る。サンダーバードは、空を埋め尽くすほどの数で、メタリアルの進路を塞いでいた。

 『・・・これは異常だね。サンダーバードの生息地は、高い山の上や、雷雲の中だ。こんな、雲一つない海上に、しかも、数羽どころか、こんな大量の群れがいるなんて。』

 「・・・そうか。じゃあ、ヤミーに操られている可能性が高い・・・か。」

 フィードは、サンダーバードの様子に、ただならぬものを感じていた。それを聞いた風太も、緊張した面持ちで身構える。

 (・・・もし、操られているのなら、契約は難しいな。・・・最悪、フィードで吹き飛ばすか・・・。)

 風太が、フィードを召喚しようかと考えたその時、一体の巨大なサンダーバードが風太の側にやってきた。あまりの速さに、風太も気付かないほどだった。

 (!?で・・・デカい・・・!これは・・・!)

 『サンダーバードの上位種だよ。スペリオルサンダーバード。サンダーバードの群れの主で、ランクで言うならAランクの魔物だよ。』

 「・・・こいつが主か。」

 『・・・お前達は、何者だ?何故、グロバーに行こうとする?』

 スペリオルサンダーバードは、風太にグロバーに行こうとする理由を尋ねてくる。

 「・・・どうして俺達が、グロバー大陸に行こうとしているって分かるんだ?」

 『お前達が進んでいる先がそうであろう。わざわざ我々を迂回しようとしたのが、その証拠だ。』

 「・・・俺達は、グロバーに用がある。だから、行きたいんだ。」

 『ならん!今、グロバーは闇の神の手に落ちている!我らの神も、囚われた・・・!行けば死は免れんだろう!すぐにワルドに引き返すのだ!』

 「・・・。」

 スペリオルサンダーバードの様子から、風太は彼(彼女?)が、ヤミーとは関係ないと気付く。

 (・・・どうやら、ヤミーの手下って感じじゃないみたいだな。寧ろ、逆。こいつらは、ヤミーと敵対している。)

 「・・・悪いけど、俺達は引く気はない。俺達は、グロバーに行って、ランドと契約しなければいけないんだ。」

 『地の神と契約だと?・・・不可能だ。神の力は絶大だ。住む者が契約できるものではない。』

 「何故、契約できないなんて思うんだ?」

 『神は、己の認めた者でなければ契約できぬ。仮にできたとしても、強大な力を受け止めるには、相応の器が必要なのだ。住む者では、不可能なのだ。』

 (・・・確かに、この世界の人間じゃ無理だよな。・・・でも・・・。)

 「・・・その心配ない。・・・【サモン・フィード】!」

 風太は、フィードを召喚する。風太の側に、フィードが現れる。

 『!?まさか・・・あなた様は・・・風の神・・・!?』

 『すまないけど、通してくれないかい?彼は、僕の契約者なんだ。』

 『!?神の契約者!?まさか・・・現れたというのか!?』

 風太の正体を知ったスペリオルサンダーバードは、突然、頭を垂れる。いや、まるで土下座をしているように見えた。

 『神の契約者よ!あなたに頼みがあります!何卒、我らの神をお救いください!』

 「神?・・・フィード、こいつらの神って・・・。」

 『セイクだよ。サンダーバードは、セイクの眷属なんだよ。』

 「・・・俺達に、セイクを助けてほしいって言うのか?」

 『はい!・・・恥ずかしながら、我々には、闇の神に対抗することができませんでした。なす術もなく、神が敗れるのを見ていることしかできなかったのです・・・。』

 スペリオルサンダーバードサンダーバードの言葉には、悔しさが滲み出ていた。それだけ、彼らにとって、セイクがヤミーに洗脳されたことは、屈辱的なことだったのだろう。

 『何卒!何卒お力を・・・!』

 「・・・それなら、一つ頼みがある。俺と契約してくれ。俺は、強い魔物の力を借りたいんだ。お前の力を貸してくれないか?」

 『我の力でいいのでしたら、喜んで契約に応じましょう。』

 「ありがとう。・・・ついでに、下位のサンダーバードとも契約したいんだ。できるか?」

 『可能です。そうですね、我の子息の二体を共に付けましょう。』

 「二体?」

 『サンダーバード、そして、その兄のシニアサンダーバードです。必ずや、神の契約者の力になれるかと。』

 「ありがとう。じゃあ、頼む。」

 『来るがいい、息子達。我と共に、神の契約者にお仕えするのだ。』

 スペリオルサンダーバードが招くと、二体のサンダーバードが側に来る、一体は、大勢いるサンダーバードに比べて一回り程大きかった。

 「よろしく頼むな。」

 風太は、スペリオルサンダーバード達に魔力を放出する。スペリオルサンダーバード達の姿が、サモンカードに変わる。

 「・・・契約成立だな。」

 『話の分かる相手でよかったね。』

 「じゃあ、皆の所に戻るか。」

 『神の契約者。この先に進むのでしたら、気を付けてください。』

 仲間の許に戻ろうとした風太に、スペリオルサンダーバードが話しかけてくる。

 「気を付ける?」

 『この先には、闇の神の力により生み出された魔物『闇獣』が待ち受けています。』

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