鋼竜再び
今回は、少々短めです。あの竜が再び登場します。
「これは・・・!」
ソウに案内され、城の地下に来た真白は、目の前の巨大な物体に絶句する。それは、ソウが大昔に作った鋼竜であった。
「僕が、大昔に作ったゴーレムみたいなものだよ。君には、これの完成を手伝ってほしいんだ。」
「!?む、無理です!そんなの!私、エンジニアではありません!そもそも、ゴーレムなんて作れません!」
「大丈夫。君にあげた知識に、これのことが入っているからね。僕の言う通りにすれば、完成させられるはずだよ。」
「で・・・ですが・・・!」
「それに、君に手伝ってもらうのは、ハードじゃなくて、ソフトの部分なんだ。」
「・・・ソフト?」
「これ、何故か飛ばなくてね。それで、震と一緒になって調べてみたんだけど、どうも適当に作ったせいで、術式とかが手付かずだったんだ。」
「・・・適当って・・・。」
「し・・・仕方ないじゃないか!ただ漠然とこんなのに乗って飛びたいと思って作ったから!色々粗があったんだ!しかも、側ができてすぐに、僕はこの世界から離れてたから!」
「は・・・はあ・・・。」
「ま、まあ、それはいいから、早速君には、術式を組み立ててもらうね。」
「・・・あの・・・ソウさんがやればいいのでは?未完成な部分は分かっているんですよね?それに、元々これは、ソウさんが・・・。」
「あー・・・その・・・今の僕には無理なんだ・・・。」
「あ、ひょっとして、今はポンコツだからですか?」
「ぽ・・・ポンコツ!?」
真白の言葉に、ソウは仰天する。
「あ!・・・すみません・・・。風太さんから、『今のソウはポンコツだから、俺達でやらないと駄目なんだ。』と言っていたので・・・。」
「・・・風太・・・。まあいい。今は、こいつの完成が優先だ。」
ソウは、気を取り直すと鋼竜に向き直る。
「じゃあ、僕の言う通りに作業してほしい。君にあげた知識があれば、どんな魔法を使えばいいか分かるよ。」
「・・・分かりました。」
「それじゃあ、まずは飛行の術式だ。」
ソウは、真白に指示を出す。指示を受けた真白は、ソウから与えられた知識を基に、作業を行う。
そんな二人の作業を、風太達は遠くから見ていた。
「・・・なあ、震。ソウが言ってること、分かるか?」
「一応はね。・・・ただ、あの魔法は、僕達には使い辛いものだけどね。」
「お前でも駄目なのかよ?」
「生産系の魔法は、適正のない人間だと碌なものにならないらしいんだ。僕達が同じことをやったとしても、あれは完成させられないよ。」
「・・・意外と面倒なんだな。」
「さて、あれが完成するまで、まだ間がある。そなた達は、鍛錬を続けるといい。あれが完成した暁には、伝えよう。」
「分かった。じゃあ、俺達は、俺達でできることをやろう。」
風太達は、残された時間を有効に使うべく、各々鍛錬に向かうのだった。