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特異な適正

 「・・・勝手に出て行った挙句、白名光の家族と接触するなんて・・・何を考えているんだい!?」

 アナザーワールドに帰還した風太は、真白を渚達に紹介する。家族と接触するのは止した方がいいと言っていた震は、風太の行動を咎める。

 「いいじゃねーかよ。向こうさん、納得してくれたんだろう?結果オーライじゃねーか。」

 「それは、結果論だ!もし、不審者として捕まったら、どうするつもりだったんだい!?」

 「震、風太も悪いと思っているんだから、それ以上怒らないであげて。」

 「・・・けど・・・!」

 「そのくらいにしておくのだ。」

 まだ文句を言い足りない震を、モーゼは制する。震は、不満気であるも、話をやめる。

 「・・・それで、白名真白よ。そなたはヤミーに奪われた妹を救うため、力を求めるのだな。」

 「・・・はい。私に、戦う力をください。お願いします。」

 真白は、モーゼに深々と頭を下げる。

 「では、そなたがどれほどの力を持つか、調べるとしよう。」

 モーゼは、風太達の属性を調べた魔石を取り出す。

 「これに触れるのだ。そなたの属性とおおよその魔力量の見ることができる。」

 「なるほど。これが風太さんの言っていた魔石ですね。」

 真白は、魔石に手を触れる。魔石から、白い光が放たれる。

 「・・・属性は光。私と同じか。魔力も渚相当あるようだ。・・・む?」

 「?どうした?」

 「・・・白名真白よ。残念だが、そなたは戦いには向かぬ。」

 「え?」

 「どうして!?」

 「渚くらい魔力あんだろ?何で戦いに向かねーんだよ?」

 「・・・この特異な光り方・・・彼女に、普通の魔法の素養はない。」

 「・・・え?」

 「どういうことだ?普通の魔法の素養がないって?」

 「魔石の光り方が、そなた達とは異なるのだ。」

 「異なる?」

 「点滅を繰り返しているだろう。そなた達は、輝いていたままだったというのに。」

 「・・・言われてみると・・・。」

 モーゼに指摘された通り、魔石の光は、確かに強かったものの、点滅を激しく繰り返していた。

 「・・・この光り方をする者は、魔力があっても属性魔法、及び大半の無属性魔法が使えないのだ。使えたとしても、あまりに弱すぎて役に立たんのだ。」

 「そんな・・・!」

 あまりに残酷な宣告に、真白は崩れ落ちる。

 「モーゼ!何とかならないのか!?彼女は妹を助けるために、ここまで来たんだぞ!」

 「うむ・・・。」

 「なら、これを使えばいいよ。」

 何かいい方法がないかと風太がモーゼに詰め寄ろうとした時、ソウが話に入ってくる。

 「ソウ。使うって?」

 「真白。この魔石に触ってみて。」

 「・・・はい。」

 真白は、ソウが取り出した魔石に触れる。すると、魔石はピンク色に輝く。

 「ピンク?属性を表す色に、そんな色なかったはず?」

 「ふふふ。これは、普通の魔法が使えない人間が、どの魔法なら使えるか調べるための魔石だよ。」

 「そんな魔石があるのか?」

 「・・・私も知らない魔石だ。さすがは、ソウ様。」

 「それで、私はどんな魔法が使えるのですか?」

 「・・・僕と震の求めていた適正だよ。彼女、生産系の魔法使いだよ。」

 「生産系?錬金術師とかみたいなやつか?」

 「まあ、イメージとしてはそんな感じだね。名前通り、モノ作りに特化した魔法使いだ。薬から武器、果ては城塞だって作っちゃうんんだよ。」

 「・・・とんでもない魔法だな・・・。」

 「モーゼ。彼女を借りてもいいかな?」

 「それは構いませんが、まずはこの世界の・・・。」

 「知識全般は大丈夫だよ。真白、ちょっと。」

 「?」

 ソウは、真白を手招きする。招かれるままにソウの側に来る真白。すると、いきなり風太は真白の頭に手を置く。

 「!?」

 「大丈夫。リラックスしていればいいから。・・・【情報転送】。」

 「!?」

 突如として、真白の脳内に夥しい情報が入り込んでくる。あまりの情報量に、真白は一瞬足がよろめく。

 「!?ソウ!?何を!?」

 「大丈夫。僕の情報を、彼女の頭に流しただけだよ。」

 「情報を流す!?」

 「この世界の言語や歴史、文化に関する情報だよ。こうやれば、いちいち勉強する手間が省けるからね。」

 「・・・おい、俺達にもそれやってくれれば、あんな面倒な勉強しなくて済んだんじゃねーのか?。」

 「それは無理だよ。僕の情報を流すわけだから、僕が知っていることでないと流せないんだよ。あの時、僕はこの世界の最新の情報を知らなかったんだから。・・・おかげで、色々勉強しないといけなかったんだ・・・。」

 (・・・あー・・・だからこいつ、モーゼの部屋で本読んでることあったのか。)

 「・・・さあ、情報の転送は終わったよ。気分はどうだい?」

 ソウは、真白の頭から手を放す。解放された真白は、若干放心状態だったが、すぐに我に返る。

 「・・・はい。一瞬、気分が悪くなりましたが、もう大丈夫です。」

 「・・・さて、それじゃあテスト。これ、読んでみて。」

 ソウは、真白に本を手渡す。それは、【グロバー語】で書かれた本だった。

 「はい。・・・【五大竜とその眷属について】と書かれていますね。」

 「マジか!?本当に読めてる!」

 「これで、君に手伝ってもらうことができるよ。」

 「・・・あの・・・何を手伝えばいいんでしょうか・・・?」

 「安心して。変なものじゃないから。僕達の戦いに、必要なものだから。」

 ソウは、微笑みながらそう言った。

次回、使いたくても使えなかったあれが登場します。

真白は戦闘職ではなく、生産職系の仲間になります。

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