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緑川風太対魔王

人数を修正します。

三人の魔将軍→残り二人の魔将軍

 ソード・オブ・フィードを手にした風太は、キングピーコックから飛び降りると、魔王達に切りかかる。

 「こいつ!」

 魔将軍の一人が、槍を手に風太を突こうとする。風太はそれを軽々とかわすと、槍諸共魔将軍の身体を切り裂いた。

 「!?こいつ・・・!」

 「やめろ!闇雲に戦って勝てる相手ではない!連携して仕留めろ!」

 仲間を殺され、激昂した魔将軍を制し、魔王は連携して戦うよう命じる。魔将軍は苦々しい顔をしつつ、命に従い距離を取る。

 「そっちから来ないなら、こっちから行くぞ!」

 風太は魔将軍の一人に向かっていく。魔将軍は剣を構えると、風太を切り結ぶ。

 「そのまま抑えろ!残りの者で仕留めよ!」

 「はっ!」

 残り二人の魔将軍が、武器を手に風太へと迫る。

 「キングピーコック!」

 『メイルシュトローム!』

 風太に近付こうとする魔将軍達を、キングピーコックはメイルシュトロームで牽制する。

 「うお!?渦が!?これでは近付けん!」

 「魔王様!駄目です!」

 「・・・いや、お前達はよくやった。【アースクェイク】!」

 「!?」

 なんと、魔王は土属性の広範囲魔法を発動し、魔将軍諸共風太を攻撃しようとしていた。

 「!魔王様!まさか・・・!」

 「勇者を倒すために死ねるのなら、本望だろう!」

 地面に巨大な亀裂が生じたと同時に、魔将軍達を呑み込む。

 「うわああああ!?そんな・・・!」

 「ま・・・魔王!!貴様!!」

 「恨んでやる!」

 魔将軍達は、恨みの言葉を吐き、地面に呑まれてしまった。術の発動した後には、何も残っていなかった。

 「・・・勝った・・・!」

 「仲間を盾にするなんて、酷い上司だな。」

 「!」

 風太を倒したと思っていた魔王は、風太の声に驚愕する。なんと、風太は上空にいたのだ。

 「!飛んだ!?馬鹿な!飛行魔法が使えるのか!?」

 「いいや、これはただ風の魔法で自分を飛ばしただけだ。落下も風の魔法で殺せば怪我はしない。」

 風太は軽やかに着地する。

 「!風属性か!」

 「相性最悪だぞ?どうする?もう盾にする仲間はいないぞ?」

 風太は挑発するように言うと、魔王は忌々しそうに風太を睨む。だが、その表情には、まだ諦めは見えなかった。

 「ふん!駒は何も魔将軍だけではない!こい!」

 魔王は懐から小石のようなものを取り出すと、地面に投げ落とす。すると、小石が落ちた部分から、土でできた人型の物体が大量に這い出てきた。

 「何だこれは!?」

 「マッドマン。ゴーレムの亜種だ。ゴーレムに比べて力も耐久力も低いが・・・種一つで大量に生み出すことができる!行け!」

 誕生したマッドマン達は、風太に一斉に殺到する。

 「【エアロバースト】!」

 風太は魔法でマッドマン達を吹き飛ばす。マッドマンは、簡単に粉々に砕け散っていく。だが、マッドマンは一向に減る様子がなかった。

 (・・・おかしい・・・こいつら再生しているわけじゃない!なのに何故減らない・・・!?)

 『勇者よ!あれを見よ!』

 「!」

 なんと、マッドマンが地面から湧き続けていたのだ。マッドマンは絶え間なく、小石が落ちた場所から湧き、風太に殺到する。

 「・・・マジかよ・・・!」

 「これがマッドマンの増殖能力だ!一度種が地に落ちれば、これでは手が出まい!」

 『勇者よ!私が手を・・・!』

 「させん!」

 魔王は土魔法をキングピーコックに放ち牽制する。キングピーコックはなんとか回避するものの、援護に向かえない。紛いなりにも魔王はSランク相当の相手。おまけに土属性の魔法を使ってくるに対し、キングピーコックは弱点の水属性。ランク的にも相性的にも最悪で、当たれば死は避けられない。そのため、キングピーコックは回避に徹せなければいけなかった。

 『くっ!これでは・・・!』

 「お前の戦闘能力は、風魔法とテイマーによるものが大きいようだな!なら、それを封じるまで!」

 魔王は、風太に召喚をさせないために絶え間なくマッドマンを差し向ける。風太は召喚する暇がないばかりか、マッドマンを近付けないために魔法を連発せねばならず、否が応でも魔力を消耗する。おまけに今召喚されているキングピーコックも、魔王の攻撃をかわすので精一杯で、とても援護に回れない。このままいけば、風太の魔力が尽き、力尽きると魔王は踏んでいたのだ。

 (いかに勇者といえ、魔力は有限!どんなに多かろうと、あれだけ魔法を連発すればすぐに枯渇する!私の方は、あの鳥を牽制するくらいしか魔力を使わない上に、マッドマンは私の魔力を使わない。勝手に増えるのだからな。この調子でいけば、私の勝ちだ!)

 一方、風太は【遠隔疎通】でキングピーコックに指示を伝える。

 『キングピーコック!一旦、渚の所に戻れ!』

 『!それでは勇者が一人で戦うことになる!危険だ!進化したガルーダも神も呼べぬ状態で・・・!』

 『いいから早く戻れ!渚が来れば、逆転できる!』

 『・・・分かった。できるだけ早く戻る。』

 キングピーコックは、水移動を行い、その場から姿を消す。それを見た魔王は一瞬驚くも、仲間を呼びに行ったのだと思い、ニヤリと笑う。

 (勝てんと踏んで仲間を呼びに行かせたか。好都合だ!さらにマッドマンをばら蒔いて、奴を更に消耗させる!たとえ仲間を呼ぼうと、手に負えんようにしてやる!いや、その前に圧殺だ!)

 魔王は、マッドマンの種を更に周囲に蒔く。マッドマンの数が、さらに増え、もはや周囲はマッドマンだらけであった。

 「これだけの数を片付けるには魔力が足りまい!終わりだ!」

 「・・・ああ。終わりだな。」

 勝利を確信した魔王に対し、風太は焦る様子もなく、淡々と答える。

 「諦めたか!だがやめる気はない!死ね!」

 マッドマン達が風太目掛けて殺到する。

 「・・・今だ!ガルーダ!」

 突如として、風太の周囲に巨大な風が巻き起こる。風は、あっという間にマッドマン達を巻き込み、砕いていく。それだけではない。風のあまりの強さに地表まで巻き上がり、地面の下が向き出しになってしまうほどだった。これにより、マッドマンが生まれる土壌も風で消失してしまった。

 「何!?」

 魔王は驚いて防御しようとするも間に合わず、結局彼も巻き上げられてしまう。

 「こ・・・これは・・・いったい・・・!?」

 風に切り刻まれる魔王は、何が起こったのか分からず困惑する。すると、彼の目の前に巨大な鳥の魔物がいた。それは、キングピーコックとは別の魔物で、大きさも美しさも、キングピーコックにも引けを取らない、いや、それ以上である。

 「・・・馬鹿な・・・いつ召喚した・・・!?」

 『愚かな。我が契約者をただのテイマーと同じと思うな!』

 「ぐぅ・・・!」

 風がやみ、魔王は地面に叩きつけられた。既にマッドマンはいなくなり、残ったのはボロボロの魔王だけだった。

 「・・・馬鹿な・・・あり得ない・・・私は仮にも魔王だぞ・・・!五大竜でもない魔物にこんな・・・!?」

 『確かに、我は神の足元にも及ばん。だが、少なくともお前よりは上だ。我が名は、スパルナガルーダルーラー。ガルーダの支配者なり。』

 「!まさか・・・Sランクの・・・私と同格の魔物だと・・・!?」

 『同格だと?・・・お前の言葉は、我と同じ魔物の王達に対する冒涜だ!恥を知れ!』

 ガルーダは、魔王の身体に風をぶつける。ダメージを与えるほどのものではなかったが、魔王は動くことができないほど強烈なものだった。

 「ぐあ・・・!?」

 『我が契約者よ。止めを。』

 「!」

 ガルーダに気を取られていた魔王は、風太が側にいたことにも気付かず、自身の死を理解する間もなく、首を刎ねられていた。


 「もう、風太。大丈夫なら大丈夫だって言ってくれればいいのに・・・。」

 キングピーコックに連れてこられた渚は、既に戦い話終わっていたことに苦言を呈した。キングピーコックに急かされ、心配になって急いで駆け付けたというのに、風太が何事もなくケロッとしていたのだから。

 「悪かったって。うまくいくかはやってみないと分からなかったんだ。呪文なしでの召喚できるかなんて。」

 風太はひたすら、渚に頭を下げていた。今回のこれは、風太自身も自信がなかったからだ。

 「最上級のテイマーのみが行える任意召喚。ここまで使えるようになっていたんだね。さすがだよ。」

 「モーゼから、呪文を使わないで魔法を使うこともできなくはないとは聞いてたけど、本当にできるなんて思わなかった。モーゼもできないって言ってたからな・・・。」

 ソウに褒められ、風太は恥ずかしそうに頬をかく。未だに実感が湧かなかったからだ。

 「普通の魔法なら、威力はともかくまだ君はモーゼに遠く及ばない。でも、テイマー魔法に関しては、もうモーゼを遥かに超えているよ。ガルーダをSランクの魔物に進化させたのがその証拠さ。」

 「ははは・・・まさか、一点だけとはいえ、賢者よりも上になるなんて・・・喜んでいいのか。」

 「いいに決まってるじゃない。それに、魔王だって倒せたんだから、この調子でいけば・・・。」

 「・・・いや、まだ駄目だ。まだヤミーには勝てない。あの強さは、尺度で測れるものじゃない。」

 「・・・そう・・・だね。」

 「でも、これでワルド大陸は解放されたよ。君達のおかげだ。ありが・・・!」

 「!これは・・・!」

 「!何!?」

 突然、三人はとてつもないプレッシャーを感じた。思わず倒れ込んでしまいそうなほど強烈だった。

 「・・・この感覚・・・覚えがある・・・!」

 「・・・私も・・・!・・・まさか・・・ヤミー!?」

 「・・・いや違う・・・!・・・これは・・・まさか・・・!?」

 次の瞬間、三人のいる場所に、凄まじい光が衝突する。光は一瞬にしてその場を吹き飛ばし、焦土と化した。

とうとうこの物語も百話目になりました!まさか、ここまで続くなんて自分も驚きです。

こんな筆の遅い作者ですが、これからもよろしくお願いします。

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