表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らは少年探偵団  作者: フジキ リウ
5/5

第4話「彼は遅れて青春を謳歌するかもしれない」

僕は今、病院のロビーにいる。


見飽きた程の光景、聞き飽きた程の電子音が、五感を支配する。


左手には、未だ包帯が巻かれ、退院まであと3日。


それまでは、家族の面会が数回あり、最初の面会では、妹の晴香にこっぴどく泣かれながら叱られた。


まあ、頭を撫でたら直ぐに泣き止んで、泣き疲れたのか親父におぶられながら病室を後にした。


学校では勉強はある程度進んでいるだろうが、問題はない。


病院生活の中で、やる事が無かったから勉強だけしていたら、いつの間にか国立大学がやるようなものまで終わらせていた。


実際、何をしても詰まらないし、待合室にあるワードパズルの雑誌は全て解いて、見なくとも問題を溶けるレベルまで達している。


あれ!?あたしのリア充度少なすぎ!?


と、自分の中で茶番をしていた最中、後ろから声をかけられた。


「あのっ!」


余りにも近距離で声をかけられた為、若干警戒しながら後ろを向いた。


そこには、僕の通う高校の制服を来た少女が立っていた。


…………誰?


「あの、どちら様?」


取り敢えず名前を聞く。長年、病院暮らしと言えど、ある程度のコミュニケーションは出来るはずだ。出来るよな?あれ?不安になってきた。


名前を聞かれた少女は、少し頬を染めたような顔をして、


「あの、あたし、立野 朱音って言います。先日は助けて頂き、ありがとうございました」


立野 朱音と名乗る少女は僕に対して深々と頭を下げた。


先日?あー、刺されたんだっけ?なんか、長すぎる入院生活で病院が実家になってて感覚が麻痺してるな。


「別に、僕のすぐ隣りに犯人が居たから止めただけだろ。君を助けた訳じゃない」


立野は、少し驚いた顔をして、そしてその後、にっこりと笑みを浮かべ、


「それでもあの時、あなたが庇ってくれ無かったら、あたしは死んでいたかもしれない。


だからこそ、お礼が言いたいんです」


そう言って、立野は頭を下げた。


そして思い出したかのように、


「あっ、そうだった。これからよろしく科館君」


これから………?よろしく………?


「これからよろしくって、どう言う事?」


その質問に、立野は笑いながら答える。


「知らなかったの?あたし達、同じクラスだよ」




こうして、僕は少し遅れた青春を謳歌するかもしれなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ