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第9章:綾の家へ向けて出発!

そんなこんなで時間が過ぎていき、今日は勉強会一日目だ。まぁ二日目があるかは分からないがある可能性は高そうだ……。


「翔ちゃん準備できた?」


「昨日の内に終わってる。 女装も不本意ながら終わってる。 後は出る時間まで待つだけ。」


確か朝の9時に何時も別れるところに行けば良いんだったな。今は8時か。あそこまでは30分もあれば着くから、もう暫くはゆっくりできるな。ゆっくりと言ってもやること無いけど……。


「今日翔ちゃんって綾ちゃんの家に行くんでしょ? 良く入るのOKしてくれたわね。」


「その辺りは俺も詳しくは無いが、なんか親に勉強会をするって言ったら即答だったらしい。」


「親御さんも勉強して欲しいと思ってるけど強く言えなくて困ってたのかしらね?」


「たぶんな。」


その可能性は十分にあり得る。

まぁ財閥の娘なんだから色々と習い事はやってたのかもしれないが、勉強だけは伸びなくて困ってたってのもあり得るかもな。何にせよ俺は綾に教えつつ綾の実力を把握して、テストに備えければ。あっ、後俺自信の実力も上手く偽らないといけなかったな。………やらないといけないこと多いなオイ。まぁどれも難しいことじゃないから気にしないけど。


「翔ちゃん、そろそろ出ないと危ないかもよ?」


「うわっ、やべっ! 母さんいってきます!」


「はい、いってらっしゃい。」


母さんと適当に話してたら出る予定の時間を5分程オーバーしてた。まぁ5分なら走って十分カバーできる時間だから問題ないか。とにかく急ぐか。







「あっ、咲ちゃん! こっち!」


目的地に着いたら既に二人とも揃っていて、綾が手をふっている。約束の時間まで残り1分か……。結構危なかったな。まぁ間に合えば何でも良いか。


「おはよう、咲ちゃん。」


「おはよう、咲。」


「お二人ともおはようございますが。 お二人とも早いんですね。」


「そう? 5分前に着くのは常識だよ?」


まさか綾にそんな事を言われるとは……。ちょっとショックだ……。


「まぁ私と綾は、家庭の事でよく出掛ける事があって、その時は相手を待たすわけにもいかないから、約束の時間より早く着くのが当たり前になってるの。 だから綾でも約束の時間には遅れたりはしないの。」


「ちょっと! 私でもって何よー!」


「そのままの意味よ。 普段の綾を見てると、皆綾は遅刻してくると思うわよ。 現に咲だって驚いてるみたいだし。」


「そ、そうなの咲ちゃん!?」


「え、い、いえ、そんなことは……。」


思ってなかったと言ったら嘘になる。正直綾は遅刻してくると思ってたしな……。


「うぅ〜、咲ちゃんまで……。」


「はいはい、しょぼくれて無いで早く行くわよ。 時間は無限じゃ無いんだからね。」


「あ、うん。 じゃあ行こっか。」


「はい。」


遂に綾の家に向けて出発か。綾の家ってどんなのかなぁ。やっぱりデカイのかな?金持ちだし、家はデカくて当然か。なら家にはメイドもいるのか?あと執事とかもいそうだな。………これは行くのが凄い楽しみになってきたぞ。あ〜早く着かないかなぁ。







俺達は今バスに乗っている。しかし今このバスには俺達以外は誰も乗ってない。何故だ?乗った時は満席だったのに、進むに連れ人がどんどん降りていって、今は俺達3人しかいない。何故だ?


「舞さん。 何故私達以外に誰も乗ってらっしゃらないんですか?」


「あっ、それはね、私達が降りる駅はお金持ちしか住んでいない場所でね、それが次の駅なの。」


なるほど。それで他の人がいないのか。しかも金持ちは大体は自分の家の車を使うことが多いだろうから、余計に使う人が減るんだろうな。


「もうすぐ着くから降りる準備しといてね。」


「はい。」


ようやく降りるのか。かれこれ1時間近く乗ってたような……。


「着いたよ。 さっ、降りよう咲ちゃん。」


「分かりました。」


お金を払って降りてみたら、目の前にはバカデカイ家家家……。なんだここは。ホントに俺の住んでる町なのか?見渡す限り無駄にデカイ家しかないぞ。


「どうしたの、咲ちゃん? そんな所でボーッとしてたら置いてっちゃうよ〜。」


こんなの目にしたら誰だってボーッとするわ。

二人は見慣れてても俺は始めて見たんだよ。

しかもむちゃくちゃデカイ家だぞ?これはもう小さな城に近いぞ……。

っと、こんな事ばかり考えてたら置いていかれるな。

早く追いかけないと。

ってあれ?二人がいないぞ?まさかホントに置いて行かれたのか?もしそうならこれは困ったぞ……。

俺は綾の家がどの辺にあるか聞いてないし、この辺の地理は皆無だからな。

さて、どうするか。この場を動かず、二人が俺がいないのに気づいて戻ってくるのを待つか、迷子になるのを覚悟して動くか。んー、個人的には動きたいのは山々だが、そんなことして勉強の時間を取るのも勿体無いしな……。よし、待つか。ここの探検はまた今度一人で来たときにするか。帰れなくなったら終わりだけど。


「ちょっとそこの貴方。」


ん?後ろから声がしたぞ。俺以外にも誰かいるのか?


「わ、私、ですか?」


「そう、貴方よ。」


後ろを振り向いて見るとそこには女の人がいた。髪の毛がツインテールだ。でもドリルみたいにはなっていない。俺の想像では金持ちはドリルみたいなグルグルの髪型何だけど、未だに見たこと無いな……。

俺の想像は古いのか?


「貴方みたいな一般庶民が、何故この場所にいるのかしら?」


いちゃ悪いのか?ってか何故俺が一般庶民と分かった。


「あの、いたら駄目ですか?」


「駄目とは言わないけど、一般庶民がここにいたら怪しいわよ。」


まぁ確かに怪しいな。普段俺みたいな人が来ない分かなり怪しいよな。


「そうですか……。 あと、何で私が一般庶民だとわかったんですか?」


「貴方から庶民オーラが出てからよ。」


どんなオーラだ。俺はてっきりあの二人みたいな能力を、この人も持ってるのかと思ったぜ……。でもそうでは無いみたいだな。これなら少しは安心かな。


「でも貴方から、普通の庶民とは少し違うような感じがするわね……。」


………やべぇぇぇ!!流石に俺が男だとはバレてないみたいだけど、このままではバレるのは時間の問題か!?ってかお嬢様は皆こんな能力を持ってるのか!?


「そ、そそんなことあるはず無いじゃないですか!」


「いえ、確かに貴方からは何か違和感を感じるのですが………、まぁいいわ。」


よ、よかったぁぁ〜。相手が興味を無くしてくれて助かったよ……。お陰で男だとバレなくて済んだし。


「あからさまにホッとすると物凄く怪しいのだけど、それはもういいわ。 それより何で貴方はここのいるのかしら?」


そう言えばまだ答えて無かったな。ん?この人はこの辺に住んでるんだよな?あんな車を持ってるんだから。なら綾の家も分かるかもしれないな。ついでに聞いてみるか。


「あの、私、波井さんと鈴堂さんの友達で、今日は波井さんの家にお邪魔する予定でしたのですが、はぐれてしまって……。」


「ふ〜ん、なるほど。」


「それで、一つお願いがあるのですが……。」


「家まで送ってってことね。」


「送って下さらなくても、道だけ教えてくれたら大丈夫ですよ。」


いくらなんでも送って貰うのはこの人に迷惑だしな。道さえ教えてくれたら迷うことは無いだろう。


「送ってあげるわよ。 丁度今帰ってる途中で、帰り道の途中にあの人の家があるから。」


「そうなんですか? ならお言葉に甘えさせて貰います。」


「なら早く行きましょうか。 私も早く帰りたいし。」


「分かりました。」


女の人に促されて、車の後ろの席に乗った。うわっ、何だよこのイス。めちゃくちゃ柔らかいし……。しかも中が広い……。家の車とは大違いだな。当たり前だけど。


「そう言えばまだお互いに自己紹介して無かったわね。 私は神木(かみき)エレナよ。 貴方は?」


「私は桐生咲です。」


「咲ね、よろしく。」


「よろしくお願いします。」


自己紹介の後は得に何も話さず静かに車の中で着くのを待っていた。









「着いたわ。 と言っても近くにだけどね。」


「あっ、ありがとうございます。」


お礼を言って車を降りた。


「それじゃ、私は行くわね。」


「あっ、はい。 送って下さってありがとうございました。」


「気にしなくていいわ。 それじゃあね。」


そう言って神木さんは去っていった。結構親切な人だったなぁ。金持ちってのは我が儘な人ばかりだと思ってたけど、これは考えを改めるべきかな。


「咲!」


「咲ちゃん!」


改めようかと考えていたら前から見知った二人が走ってきた。


「もう! 何処行ってたの!?」


「ホント、心配させて……。」


「すいません……。 ボーッとしてたらいつの間にか見失ってしまって。」


今回は完全に俺のミスだったな……。初めて見たと言っても二人を見失うまでボーッとしてるなんて。


「はぁ〜。 でも咲ちゃん、よくここの場所が分かったね。 私前に教えたっけ?」


「いえ、偶々通り掛かった人に送って貰ったのです。」


「へぇ〜、誰に送って貰ったの?」


「神木さんって人に送って貰いました。」


「神木? 私知らない……。 舞ちゃん知ってる?」


「神木って言ったら私達程では無いけど、かなりの金持ちだったはずよ。 でも送って貰えるなんて、咲は運が良かったわね。」


「はい。 神木さんが親切な方で助かりました。」


「そうね。 さっ、随分時間取っちゃったから、早く綾の家に行って勉強会を始めましょうか。」


「はい。」


「うん……。」


綾が凄い面倒そうな返事をしながら綾の家に向かった。

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