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第5章:俺はパシリじゃないからな!

「桐生、帰ろう。」


「桐生さん、帰りましょう。」


「はい。」


あれから授業も終わり、下校時間になった。そして今日も二人と一緒に帰ることになった。まぁ今更二人と帰っても問題は無いだろう。ずでに俺の事は詮索しないと約束してるし。


「それにしても私達が委員か……。 何だかあまりピントこないわね。」


「うん。 何でだろう?」



「お二人は今までに委員になられたことは無いのですか?」


口振りからして無いとは思うが、それだとかなり不思議だな。二人は、特に舞は委員長や風紀になっててもおかしく無いのに……。


「えぇ、私達は前は周りからは遠巻きにされていたから委員にはなら無かったのよ。」


あっ、そう言えばそうだったな……。これは不味いことを聞いてしまったな。


「す、すいません……。」


「どうして桐生が謝るの?」


「だって、私が聞いたせいであまり言いたくない過去の事を話す事になってしまって……。」


「そんなの別に気にしてないわよ。 綾もそうでしょう?」


「うん。 桐生さん、私達は別に気にしてませんから桐生さんも気にしないで下さい。」


「はい、分かりました。」


良かった、とりあえず二人は気にしないみたいだ。


「それと桐生、敬語は止めて普通に話してくれない? 私達は友達でしょ? 後綾も。」


「私は良いよ。 桐生さんは?」


「私は……。」


敬語を止める。それはつまり普段通りに喋るってことになる。そして俺は男だから普段通りに喋ると男口調になるからバレる可能性がアップする。でも二人には俺が無理に敬語を使ってるのはバレているはず。どうするよ……。どっちを選んでもあまり良い結果にはならないぞ!


「………少し考えさせて下さい。」


「そう、分かったわ。 別に無理強いはしてないからそこまで気にしなくて良いわよ。」


「はい。」


「それともう一つ。」


「何ですか?」


まだあるのか……。これ以上は勘弁して欲しいな……。でないとマジでバレてしまう。バレると絶交の可能性大だし……。


「お互いに名前で呼び会わない? ずっと苗字で呼び会ってるのは何だか違和感があるし。」


「これも私は賛成だよ。 桐生さんは?」


名前で呼び会うか……。これぐらいなら問題は無いだろう。


「はい、良いですよ。」


「分かったわ。 これからは咲って呼ばして貰うわね。」


「私は咲ちゃんて呼んでも良いですか?」


さ、咲ちゃん……。男の俺がちゃん付け呼ばわり……。何だかすごい複雑な気分だけど……。


「はい、どちらも良いですよ。」


「おっけー。 これからよろしくね、咲。」


「やったー! よろしくね、咲ちゃん!」


「よろしくお願いします。」


綾って最初は結構固かったのに打ち解けた瞬間にすごい砕けた喋り方に変わったな……。まぁ俺としても今のように砕けた調子の方が好きだから良いんだけどな。でも俺は……。俺は砕けた喋り方をするわけにはいかないんだ。俺が無事に高校を卒業するためには誰にもバレ無いようにするしか無いんだ!


「あっ、もうお別れか。 じゃあね咲ちゃん。」


「じゃあな、咲。」


「はい、お二人ともさようなら。」


こうして二人とは更に親密になって今日の下校は終わりを告げた。







「ただいま〜。」


「お帰りなさーい。」


今日は何も無く帰れた。知り合いに会うことも無かったしナンパも無かったし事件も起きなかったし。でも無事に帰ってきたのは良いけど何しようかな……。とりあえず早くこの服を脱ぐか。


「ねぇ翔ちゃん、これから暇? 暇だよね。 暇ね。 じゃあお願いね。」


ちょっ!何勝手に話し進めてるんだよ!俺まだ何も言ってないぞ!


「ちょっ、母さん待て! 何勝手に俺の予定決めてるんだよ!」


「だって翔ちゃん暇でしょう?」


「うっ、ま、まぁ暇だけど……。」


図星なだけに言い返せない……。うぅ……。


「なら良いじゃない。」


「はぁ〜。 分かったよ。 それで、お願いって何?」


こうなったら諦めるしか無いか。どうせ口論しても俺が母さんに勝てるわけ無いし。言ってて虚しくなるな……。


「あっ、お願いってのはね、ちょっと買い物に行ってきて欲しいのよ。 今日の晩御飯を作るのに足りない物があったから。」


「それくらないなら別に良いぞ。 それで、何を買ってくれば良いんだ?」


「んと、人参と玉葱をお願い。」


「おっけー。 んじゃ、ささっと行ってくる。」


「お願いね〜。」


「行ってきまーす。」


んじゃさっさと終わらすか。こんなことで何時までも時間を取られたくは無いからな。買う場所は何処にしよう?近くのスーパーにするかちょっと遠い商店街で買うか。ん〜………商店街にするか。遠いと言ってもスーパーよりも歩いて10分程多く掛かるだけだし。よし、目的地も決まったし行くか!







そして商店街に着いた。え〜と、買う物は確か人参と玉葱だったな。ならこの曲がり角を左に曲がったら直ぐだな。


「いらっしゃい! 何が欲しいんだい?」


「え〜と。」


自分で選ばないと損だ。お店に売ってるのでも品質が他のより良いのはあるからな。人参は………これだな。玉葱はこっちだな。


「すいません、この二つお願いします。」


「はいよ! 二つで150円だ。」


結構安いかな?ってか母さんから金貰ってないや……。とりあえず今は俺が立て替えるか。大した額じゃないから余裕だ。

これで任務完了だな。さて、帰るか。でもこのまま帰ってもやること無いしな……。どうせ暇だし散歩でもするか。




そう思ってまず来たのは公園。ここは結構な広さがあって遊具もあれから子供などが遊ぶには最適な場所だ。まだ昼間だから子供が楽しそうに遊んでるな。でも見てても詰まらないし次行くか。




次に来たのはまたまた公園。

こっちは公園と言っても良いのか微妙なんだよな……。

端の方に砂場と滑り台ぐらいはあれけど、他に遊具は無い。

それにさっきの公園に比べると狭いし。

でもここには真ん中に大きな噴水があって、その周りにはベンチがたくさんあって、疲れた心身を休めるにはピッタリの場所だ。

でも俺はあまりここには来ないんだよな……。

ここって家から結構遠いんだよ。

歩いて20分以上は掛かるから、わざわざ20分も掛けて歩くぐらいなら家でゴロゴロしてる方が十分疲れは取れるし。

まぁ今日は散歩がてらここまで来たから少し休憩するか。そう思ってベンチを探してみたら一ヵ所だけ空いてたからそこに座ることにした。そのまま噴水を見ながらのんびりしてたら段々眠くなってきたぞ……。最近は学校のせいで疲れが貯まってるみたいだな……。少し寝るか。そして目を閉じたら直ぐに眠ってしまった。







「ん。」


い、今何時だ?自分ではあまり寝てないつもりだけど、そう言う時に限って実は時間が凄い経ってたりするんだよな〜。んで今の時間は………5時か。あれから1時間寝たか寝てないか位だな。それにしても丁度良い時間に起きれたな。早いとこ帰って頼まれた物を渡すか。


「にゃぁ〜。」


ん?今猫の声がしたような……。空耳か?


「にゃぁにゃぁ〜。」


どうやら空耳じゃ無いみたいだ。でも何処から聞こえたんだ?俺は今ベンチに座ってる。見渡しても猫はいない。草むらは結構距離が有るからこけまで声は聞こえないはず。なら何処だ?


「にゃぁ〜。」


まただ。今度は何処から聞こえるかに注意してたから大体の場所は掴めた。でも聞こえたのは下からだった。………まさか。


「やっぱり……。」


ベンチの下にあった段ボールの中に入れられてるし!しかも俺が来たときは無かった筈だし。ってことは俺が寝てる間に誰かが置いて行ったことになる。……これはあれか?俺に拾えと、そう言う意味なのか?まぁどっちにしろ見つけたからにはとりあえず拾うけど。


「さて、猫を拾ったなら尚更早く帰らないとな。 って段ボールの中に2匹もいるよ……。」


中見たら2匹いるからビックリだ。とにかく早く帰るか。







「只今〜。」


「お帰り〜。 あら? その段ボールはどうしたの?」


「噴水がある公園で拾った。 汚れてるから洗おうと思ってるからその間に母さんは病院に連絡してくれないか? 拾った猫だから病気が有るか確認しないといけないし。」


「分かったわ。」


「ありがとう。」


連絡は母さんに任してまずはこいつらを洗わないとな。めちゃくちゃ汚れてるし。


「ようしお前等、今から洗ってやるからな〜。」


「「にゃぁ〜。」」


ここで判明したのはまずはこいつ等の色。片方が白でもう片方が黒だと言うこと。次に抵抗が少ないこと。人に慣れてるのか疲れてるのか知らないが、抵抗が少なかったから楽に洗い終えた。さて、母さんの方はどうかな?


「母さん、連絡してくれた?」


「したわよ〜。 もうすぐ家に着くわよ。」


もう!?また変なこと言ったんだろうな……。早く来てくれることに不満は無いけどな。


「あっ、来たみたいよ。 早くあの子達を連れて行きなさい。」


「おぅ。」


それから来た人共に車に乗って病院へ向かった。







今は検査中で、俺と母さんは待機している。


「あの猫大丈夫かな〜……。」


「さぁ〜ね〜。 今は祈るしか無いわよ。」


「あぁ。」


そうこうしてたら医者が出てきてこっちに来た。遂に結果か……。何も無ければ良いけど……。


「検査の結果ですが、何も問題は有りませんでした。 ただ少し衰弱しているだけなので、暫くしたら元気になりますよ。」


「よし!」


「良かったわね。」


これで一安心だ。さて、次の問題はあいつ等をどうするかだ……。町に貼り紙でもするか知り合いに当たるか。


「母さん、あいつ等どうする?」


「家で飼えば良いじゃない。」


「家で飼うか……。 それも悪くないな。 よし、家で飼うか!」


「えぇ、飼いましょう!」


俺と母さんの意見が一致したからあの猫は俺達が飼うことになった。でも俺猫の飼い方知らないんだよな……。


「でも母さん、猫の飼い片知ってるの?」


「詳しくは知らないけど食べ物あげて後は放し飼いで良いんじゃない?」


そ、それで良いのか……?まぁ簡単だし今そうしとくか。また問題が出たらその時に何とかするか。とりあえず今日は帰るか。猫は安静の為暫くは病院に預けるらしいし。







あれから数日が経って、病院から猫が元気になったから引き取りに来てくれと言われて、俺と母さんは病院に来ていた。


「桐生様、猫をどうぞ。」


「有り難う。」


さ、様!?一体母さん何者だよ……。


「しかしこの猫たちには苦労しましたよ。 最初は衰弱のせいで殆ど抵抗は有りませんでしたけど、元気になったら途端に抵抗しだすんですから。 まぁそれだけ元気があるって事になりますけどね。 今は眠っていますから静かですけどね。」


やっぱりあの時は弱っていて抵抗しなかっただけか。簡単に飼うことを決めたけど……。これから苦労しそうだ。


「母さん、この猫たちにが起きる前に帰ろう。 ここで起きて逃げられたら厄介だし。」


「そうね。」


それから俺達は急いで家に帰った。







家に帰って少ししたらソファーの上に置いていた猫が起きたみたいだ。キョロキョロと辺りを見回してる用だが……。暫くして椅子に座って見ていた俺と母さんの方を見て止まった。そのまま睨めっこをしていると、2匹とも寄ってきた。何をするのかと思ったら白いのが母さんの、黒いのが俺の膝の上で丸まりだした。


「「にゃぁ〜」」


な、なんだ?逃げるのかと思ったらいきなり寄ってきて膝の上で丸まりだしたぞ。


「どうやら私達はこの子達に懐かれたようね。」


「えぇ!? 俺達何もしてないぞ!?」


「猫には分かったんじゃないの? 私達の気持ちが。 まぁ何にせよ懐かれたならそれで良いじゃない。」


「ま、まぁな。」


母さんのいう通り懐かれたならそれで良いか。それじゃあまずはこいつ等の名前を考えるか。


「なら母さん、こいつ等の名前はどうする?」


「名前ねぇ……。 白は私が考えるから黒は任せるわね。」


「分かった。」


さてどうする。名前なんて急には思い付かんぞ……。猫は猫でこっちを見たまま固まってるし。そんなに新しい名前が楽しみなのか?兎に角名前を考えないと………………………よし、これにしよう。


「母さん、俺は決まったけどそっちは?」


「私も今決まったわよ。 まずは翔ちゃんの名前を聞かして。」


「俺? 俺は『カナ』だ。 母さんは?」


俺は何となくカナにしたんだよな〜。別に意味なんて何も無いし。


「私は『コナ』よ! ちなみに意味なんて無し! 何となくよ!」


俺と同じかよ!流石は俺の親だな……。血が繋がって無くても考えることは同レベルか……。


「なんか改めて俺と母さんが親子なのを思い知らされたよ……。」


「そう? まぁそんなことよりこれからは白いのがコナで、黒いのがカナ。 これで良いわよね?」


「あぁ。 後は猫たち本人だが………聞くまでも無さそうだ。」


なんか凄い嬉しそうだし。そんなにこの名前が気に入ったのか?それなら考えたこっちも嬉しい限りだな。


「さて、そろそろ夕食の準備でもしますか。」


「もうそんな時間なのか。」


「今から準備するから暫く時間掛かるわよ。 それまでカナとコナと遊んであげたら?」


そうだな〜……。今特にやること無くて暇だしせっかく増えた家族何だからいきなり放置も可哀想だしな。


「分かった。 カナとコナで遊びながら待ってる。」


「分かったわ。」


それから夕食が出来るまでずっと二匹と遊んでいた。今までは猫と関わらなかったから知らなかったけど、猫と遊ぶのは意外に楽しくて癒されるという新事実を発見出来て大収穫だ。これからは疲れた心を癒して貰うために、学校が終わったら二匹と遊ぶことを決意した。

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