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第4章:俺は男なのに………男なのに!

「翔ちゃーん! 朝ご飯出来たわよー!」


「ぅん〜。」


もう朝か。少しは疲れが取れたかな。母さん呼んでるし早く行くか。


「母さんおはよ〜。」


「おはよー翔ちゃん。 朝ご飯出来てるわよ。」


「うん。 いただきます。」


「はい。」


朝はやっぱり食パンだな!後は卵が有ればそれでよし。今日も学校だし早く食べるか。


「ご馳走様。」


「お粗末様。 さ〜て翔ちゃん♪」


「何? ってあれか……。」


「そっ! メイクターイム♪」


またメイクか……。嫌いとは言え学院に行くにはメイクしないと行けないし……。何で女学院なんだよ……。


「分かった……。 ちゃっちゃと終わらしてくれ。」


「まっかせなさい!!」


そして直ぐに母さんにメイクをされ、服を着て昨日と同じ姿になった。やっぱりスカートは履き慣れないな……。慣れたく無いけど。


「はぁ〜。 俺も自分でメイク出来るようするべきかな〜。 学院でメイクが落ちたら困るし。」


「ダメダメダメ! 翔ちゃんはメイク覚えちゃダメ! 私の一番の楽しみを奪うつもり!?」


「何で息子を女装させるのが一番の楽しみ何だよ!! おかしいだろ!」


「こんな綺麗な息子を持ったら誰でも思うわよ!!」


俺男なのに母親から綺麗とか言われた……。物凄く悲しい……。俺は、俺は男なのに……。


「はぁ〜。 母さんの楽しみを奪う奪わないは置いといて。」


「置いとけないわよ!! そこかなり重要よ!?」


「もし学院でメイク落ちたらどうするの? バレるかもよ?」


「む、無視された!? あっ、学院でメイクが落ちても大丈夫よ。」


無視は当たり前。こんな母さんのやり取りにつきあってると、時間がいくら有っても足りやしない。てか何故大丈夫と言い切れる?


「何で言い切るんだよ。 バレるかもしれないだろ。」


自分でバレると言い切れない辺り、泣きたくなりそう……。


「大丈夫よ。 翔ちゃんはメイク無くても服装さえ女の子にしたらバレないわよ。」


そうなのか……。俺は男なのに服装だけで女と間違えられてしまうのか……。ってか


「それじゃあメイクする意味無いんじゃね?」


「それはほら、私がした………保険よ。」


「今母さん『私がしたいからに決まってるでしょ!』って言おうとしただろ!」


「そ、そんなこと無いわよ? 保険よ保険。」


「じゃあ何で目が泳いでるんだよ。」


めちゃくちゃ目が泳いでるし。この様子だと俺が言ったことで間違い無いだろ。何気に言いかけてたしな。


「そ、それはほら、何か珍しい物は無いかな〜って探してるのよ。」


「話すときは相手の目を見て話せと言ったのは母さんだよ?」


「うっ……。」


「いい加減認めたら? 別に怒る訳じゃないんだから。」


「…………はいそうです。 私がやりたいからです……。」


少しの沈黙の後、素直に認めた母さん。てか隠してた意味が分からない。別にそんなに意外な事でも無いし。


「何で母さん隠したの?」


「ん〜何となく?」


何となくかよ。母さんのせいで無駄な時間を……って!!時間忘れてた!!今何時だ!?


「母さん今何時!?」


「今? え〜っと、8時20分ね。」


8時20分!?学院には30分までには着かないといけな上に、たどり着くのに歩いて30分はかかるんだぞ!?間に合うのか!?


「母さんヤバい! 時間が無い!」


「そうね。」


「何でそんなに冷静なんだよ!」


何か母さんが有り得ないぐらい冷静なんですけど!?この人おかしいだろ!


「だって翔ちゃんがちょっと頑張れば直ぐ着くでしょ?」


「そ、そりゃ不可能じゃないけど……。 あれ疲れるんだよ。」


「遅刻するのと疲れるの。 どっちが良い?」


何だよその質問。答えはほぼ決まってるじゃないか……。


「はぁ〜。 仕方ない、少し頑張りますか。」


「そうそう、頑張っちゃいなさい!」


「はぁ〜。」


とりあえずやりますか。そう決心した翔は目を閉じて集中し始めた。


桐璃(どうり)流1の章、瞬脚。」


そう呟いた途端に翔は消えた。


「自分で考えた技だけど、見るのは良いわね〜。」







「この辺りで良いか。」


学院まで後3分程で着く場所で止まった。

さっき使った技は別に特別に凄くも何ともない。

ただ走るのが早くなるだけだし。

まぁそのお陰で間にあったんだけど……。

とにかくこれはもう二度と使いたく無いな。

あれ使うと足が結構疲れる。

まぁあれはただの技で、奥義に比べたら屁でも無いけど……。

と言うか使いたくない。

そもそも俺が覚える必要あったのか?母さんの頼みだから覚えたけど、普通に生活するなら絶対要らないだろ。………兎に角二度と使うときが無いことを祈ろう。俺は普通の運動神経ですら常人を越えてるし……。やべ〜、マジで必要性を感じねぇ〜……。そんなこと思ってたらいつの間にか学院に着いていた。門をくぐったけど警備員は来ない。どうやらあれは初日だけのようだ。って早く教室行かないと遅刻だ!







「今日のHRは委員を決めたいと思います。 どなたか立候補する人はいますか?」


あれから無事授業に間に合い、今は1時間目のHRだ。

委員か……。

前の学校では風紀委員と言う糞ダルいのをやったな。

朝早くから学校の校門前に立って、登校時間が終わるまでずっと挨拶をするだけ。

夏は暑すぎて汗はダラダラ出てきて、冬は寒すぎてガチガチ震えながらも挨拶をする。

この時俺は風紀委員は二度とやらないと決めた。てか立候補する人っているのか?共学でも、馬鹿な男子はカッコつけようとして立候補する奴はいたが、女子はゼロだったからな。そしてここは女学院で、全員が女子(俺以外)。これは先生が勝手に決めるとか、生徒に推薦させるとか、あみだやくじ引きなどの運で決めるとか……。まぁ俺には関係の無いことだ。

俺はここのテストは受けてないから皆俺の成績については知らない。つまり先生に決められたり推薦されることは無いと言って良い。

友達は綾と舞と2人いるが、まだそんなに話はしてないから推薦されることは無いだろう。そして立候補はまず無い。バレない為にはひっそりと生活をしなければいけないのに、なんで自分から目立つことをしなければいけないんだって話だ。すでに綾と舞と友達になってバレかけたんだからこれ以上はまずい。とにかく静かに待つか。


「誰もいないのですか? ではこちらで決めさせて貰います。」


やはり先生が勝手に決めるのか。これで俺が委員になることはまず無くなったな。


「まずは委員長、副委員長を決めます。 委員長は鈴堂舞さん。 そして副委員長は波井綾さん。 この2人にお願いしようと思いますけど皆さん良いですか?」


「「はい。」」


「ちょ、ちょっと待って下さい先生! なんで私達が選ばれたんですか? 理由を教えて下さい。」


「お、お願いします!」


2人とも選ばれたことに少し不満があるのか?まぁ気持ちは分かるけど。


「理由……ですか。 お2人とも有名財閥の娘さんなので、普通の人よりは人前に出るのに抵抗が無いかと思いまして。」


「そ、それは確かにそうですけど……。」


「………。」


綾は特に文句は無くなったなようだが、舞の方はまだ少し納得がいかないみたいだな。


「後、鈴堂さんは昨日見た限りでは明るそうな方だったので、委員長になってクラスを盛り上げてくれると思いました。 そしてその補佐に知らない人を当てるより、仲が良くて息が合うのは波井さんだと思ったので、副委員長は波井さんにしました。」


ふむ。理由も結構普通だな。これならあの二人も特に否定もしないだろう。


「………分かりました。 私が委員長をやります。」


「そうですか。 有り難うございます。 波井さんはどうですか?」


「舞ちゃんがやるなら私もやります。」


「有り難うございます。 では、他の委員も決めましょう。」


無事委員長と副委員長という一番厄介な委員は決まったな。

あとはそんな凄いのは残ってないし、さっきの理由通り俺が選ばれることは無いと言って良い。おっ、委員決めもいつの間にか終わってるぞ。きっと先生が勝手にドンドン決めたんだな。さて、無いとは思うが一応確認しとくか。もしこれで選ばれたのに見てなかったら後々面倒だしな。えっ〜と俺の名前はっと…………よし、無いな。ふぅ〜、とりあえずは安心だな。


「はい、委員も決まりましたのでHRを終わります。」


終わったーー!!さ〜てと、今から何するかな〜って言ってもまだ授業全部が終わった訳じゃないから帰れないけど……。どうせ暇だし二人の所にでも行くか。


「波井さん、鈴堂さん。」


「ん? 桐生か。 どうした?」


「桐生さん? どうかしましたか?」


二人して不思議そうな顔をされてしまった。いくら俺から話しかけるのが珍しいと思ってもそんなにハッキリと顔に出すなよ……。分からんでも無いけど。


「少しお時間が出来ましたので、友達らしくお話でもしようかと。」


「へぇ〜、桐生から誘うなんて珍しいね。」


「確かにね。」


「そうですか?」


確かに普段の俺ならそんなことしないが、この二人はは普段の俺を知らないから珍しく思うことは無いはずだが……。


「あぁ、桐生はどちらかと言うと人が勝手に集まって来るから、わざわざ自分から誘うなんてことは無い。」


「なんで私には人が寄ってくると思ったんですか?」


「前にも言ったでしょ。 私達は相手の事が何となく分かると。」


「あぁ、ようやく理解しました。」


成る程な、それなら納得だ。ならこの二人相手の時は無駄に飾らず、最低限女らしくするぐらいにしないと逆に怪しまれるな。

「まぁそれは良いとして、ほんとにどうしたの? ただ話するために来たの?」


「はい、それもありますがとりあえずはお二人とも、委員に就任できておめでとうございます。」


「ありがとう。」


「ありがとうございます。」


「いえいえ。」


ふむ、二人もそんなに嫌がってはいないようだな。それなら良いや。


「でもほんと、なんで先生は私達を選んだんでしょうね?」

「えっ? 先生はちゃんと理由を仰ってましたよ?」


なんで今更そんなことを?先生は理由を言って、この二人は納得したから委員になったのに……。


「確かに仰ってましたけど、それでも何故か疑問に思うんですよ。」


「まぁ綾が疑問に思うのも分からなくも無いが、とりあえず先生には良い印象を持って貰えてるとハッキリしたんだからそれで良いじゃないか。」


舞は綾の疑問が分かるのか。俺にはさっぱり分からん……。


「………そうだね。 今更言っても仕方ないし、前向きに考えればいっか。」


綾はもう疑問のことは忘れることにするみたいだ。俺は未だに釈然としないが、自分のことだから深くは考えないことにした。それから適当に話していたら先生が来て、授業が始まった。



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