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第3章:俺はマザコンじゃねぇぇぇ!!

綾と舞、2人と友達になって、休み時間は適当に話して時間を潰した。

でも今頃なってちょっと後悔……。

友達を作る=バレる確率アップ。これがあると分かっていながら了承してしまったのはちょっとだけ後悔している。でも2人と友達になったこと自体は全然後悔していない。寧ろ幸運とまで思っている。でももし正体がバレたら……。い、いや!バレなければ良いんだ!バレたらなんて思っていたらほんとにバレるぞ!


「ではHRを終わります。」


あ、あれ?考えごとしてたらいつの間にか終わってる……。まぁどうせ大したことは言ってないだろ。


「桐生一緒に帰らない?」


「はい、良いですよ。」


うむ、我ながら完璧な返事だ。こんな風にしていれば、バレる事なんて有るわけ無い!


「じゃあ3人で帰ろう!」


「はい。」







今は3人で帰ろうと思って玄関まで来たけどここで疑問が生まれた。


「お二人とも、帰り道はどちらですか?」


俺は校門を出て真っ直ぐだけど2人はどうなんだろう?もし違えば此処でお別れか。


「私と舞ちゃんは校門を出て真っ直ぐ行った後3つ目の角を右に曲がって、その後はバスです。」


あそこのバス停か。てか結構道同じだな。


「お二人とも真っ直ぐですか。 実は私も真っ直ぐ何です。 私は3つ目の角を左にですけど。」


「そっか、ならちょうどいい感じだね!」


「はい。 あの、お二人はお家が近いのですか?」


せっかくだし聞いてみるか。何がせっかくなのか知らないけど。


「はい。 私と舞ちゃんは隣同士ですよ。」


「だから行きも帰りも一緒なの。」


家が隣同士……。日本の企業の最高位に値する2人が隣同士か。泥棒も狙いにくいな(たぶん)。


「そうなんですか。 だからお二人はとても仲良しなのですね。」


「はい♪ 私と舞ちゃんは大親友なのです♪」


「そうね。 綾とは大親友ね!」


2人ともほんとに仲良いよな〜。やっぱり同じ境遇の者同士、惹かれ合ったのかな。


「桐生には私と綾みたいな大親友とかはいないの?」


大親友、ねぇ。いるとしたらあの人ぐらいかな。


「大親友って訳では有りませんが、心から信頼しているのはお母さんですね。」


「もしかして桐生ってマザコン?」


「んなっ……こと有るわけ無いじゃ無いですか。」


危うく怒鳴るとこだった……。確かに母さんが一番信頼してるけど、別にマザコン何かじゃない。


「え〜。 桐生みたいなのってマザコンじゃないの?」


だから違うと言ってるだろ!


「あのですね、マザコンと言うのはですね、マザーコンプレックスの略称で、男性が母親を慕うあまり女性をうまく愛せない傾向にある方のことを言います。 そして私のは慕っているのとは少し違う上に男性では有りません。 だから私はマザコンでは無いのです。 分かりましたか?」


「「わ、分かりました。」」


「よろしい。」


ふぅ〜。俺がマザコンなわけないだろ!信頼はしてるけど慕っているってのとは少し違うんだよな〜。てか自分で男性じゃないって……。言わなければならないとはいえ、何かかなり虚しいな……。


「ねぇ桐生。 一つ聞いて良い?」


「はい? 何ですか?」


何だろう?しかも2人で顔を合わせて頷いてる辺り、結構重大な事なのかも……。も、もしかして男だとバレたとか!?そんなはずは無い!俺は何もミスをしてないハズだ!


「「桐生(さん)って、私達に何か隠し事してますか?」」


「!!!!」


バ、バレそう!まだギリギリバレてないけどこれはやばい、やばすぎる!!どうする、どうする俺!!


「どうなの桐生。」


「ど、どうなんですか桐生さん。」


「い、いえ、別に隠し事なんて……。」


「私達の目は誤魔化せないよ。 一見普通に見えるけど、何かこう雰囲気が違うんだよ。 私達は財閥の娘だからいろいろな人に会って話をしている。 でも相手のことは知らないから、私達は相手の雰囲気を読み取って、それに合わせて会話出来るよう頑張ったんだ。 だから相手が何か隠し事していても私達には分かるの。」


くっ!まさか初日からバレるとは、相手が悪かったか!こいつらと友達になったのは失敗か?でもあの時の悲しそうな顔を見ると、ついついOKしてしまった……。とにかく後悔をするよりも今は、この状況を何とかしなければ俺の人生が終わる!!


「で、ですから隠し事など……。」


「確かに私達に隠し事が有るのは、今日友達になったばかりなのですから、あってもおかしくは有りません。 ですが桐生さんのは私達だけではなく、全員に隠し事をしているみたいなのでただ事じゃないと思いまして。」


まさか俺が学院全員に隠し事をしていることまでバレていたとは。これは予想外だった……。どうする、どうする俺!!こうなりゃヤケだ!


「……私が隠し事をしていることは認めます。 ですがこれは、お二人には話すことが出来ないことなのです。 すいません。」


「……そっか、やっぱり言えないような隠し事か。 まぁ桐生には友達になってくれた恩もあるし、隠し事が何かは聞かないでおこう! 綾もそれで良いよね?」


「はい! 桐生さんは私達の初めてのお友達ですから、言いたくないことは聞きません。」


「有難うございます。」


な、何とかバレずに済んだ……。でも初日からバレかけるとは思ってもいなかった。しかも仕草とかじゃなく雰囲気って……。流石にそこまでは防げるか!


「あっ、もう曲がり角だ。 それじゃあ桐生、さようなら!」


「桐生さん、さようなら。」


「お二人ともさようなら。」


曲がり角で俺達は別れた。さて、さっさと帰って着替えるか。女装なんてやってられっか!てかこの通りは朝、昔のクラスメートだった奴と会った場所だ。ここは良い思いでの有る場所じゃないから早く帰るか。


「ねぇそこの彼女、今暇ぁ?」


ナンパか?相手の子もついてないね〜。でも俺は助けない。ナンパぐらいは自分で何とかして下さい。


「ねぇ暇って聞いてるんだけどぉ。」


無視するなんて凄いな。あいつらはしつこい上に無視されるとキレるからな〜。って誰だよ、肩を触る奴は。


「ねぇ暇ぁ?」


ナンパの相手って俺かよ!!男が男にナンパされるとか……。やべ、泣きたい……。兎に角さっさと帰って貰うか。


「すいません、これから忙しいのです。」


「忙しいってなんかあんのぉ?」


最後を微妙に伸ばすのが凄いムカつくな……。


「はい。 家に帰って着替えてテレビを見なければいけないんです。」


「それって暇って事だよねぇ? なら今からどっか行かないぃ?」


さっき暇じゃないと言ったろ!何するかまで言ったじゃないか!……あんな事言ったら暇って言ってるのと変わらないな。


「ねぇ、行こうぜぇ。」


あ〜うぜぇ。こうなったら無理やり帰ってもらうか。


「ねぇねぇ、行こぐふっ!?」


「キャーーー!! 突然人が、人がー!!」


叫んでるのは俺。気絶さしたのも俺。俺は男に見えないスピードで、拳を腹にお見舞いして気絶させたのだ。


「誰か、誰か救急車を!!」


これだけ叫んでるなら誰か救急車を呼ぶだろう。さて、みんなの意識が男に向いてる間にさっさと帰るか。







「ただいま……。」


「おかえりー。」


あれからは何も無く帰ってこれたけど、何だかめちゃくちゃ疲れた……。早く着替えよ。


「母さん、着替えてくるからお茶入れといて。」


「はーい。」


母さんにお茶を頼んで俺は着替えた。着替え終えて降りてくると母さんがお茶を用意していた。


「翔ちゃん、もう直ぐだからちょっと待ってね。」


「おう。」


待つ間はテレビでも見てるか。少ししたら母さんがお茶を持ってきてくれた。


「はい翔ちゃん。」


「有難う母さん。」


「それで翔ちゃん、学院はどうだった?」


やっぱり聞かれたか。まぁそれぐらいは予想してたけど。


「どうもこうもない。 兎に角疲れる。 周りは女子ばっかだし、いつバレるか分からなくてドキドキしっぱなしだ。」


「そらそうね。 友達は出来た?」


「2人出来たよ。」


「誰々!!」


そんなに知りたいのかよ。別に母さんには関係ないだろ。


「波井綾って人と鈴堂舞って人。」


「波井綾と鈴堂舞? それって波井財閥と鈴堂財閥の娘?」


「そうだよ。」


「へー! 凄いじゃん翔ちゃん! あの2人と友達になるなんて!」


「そうでもない。 今日の帰りに俺が隠し事してるのがバレたからな。」


「え!? あの2人ってそんなに鋭いの?」


「かなりね。 てか俺がボロを出したとは思わないんだな。」


「翔ちゃんがそんなミスするはず無いって信じてるから!」


そこまで信じてくれてたのか。なんか嬉しいな〜。


「有難う母さん。」


「どう致しまして。」


さて、報告も終わり見たいテレビもなくお茶も飲み干した。何しよう……。今日はいろいろ有ったから少し寝るか。


「母さん、疲れたから少し寝てくる。」


「分かったわ。 晩ご飯出来たら起こしてあげる。」


しかし今日はほんと疲れた……。周りは女子しかいないわ、女子の真似をしなきゃならないわ、正体バレかけるわ、ナンパに捕まるわ……。一体何なんだよ……。とりあえず寝て疲れを癒すか。







「翔ちゃーん! 晩ご飯出来たわよー!」


「ん……。」


もう飯か。何か全然寝てない気が……。疲れがまだ取れてない……。


「ふぁああ。 母さん、今日の晩飯何?」


「今日は焼き魚よ。 さっ、食べましょ。」


「うん。」


今日は焼き魚か。俺は嫌いな物が特に無いから問題無いや。と言うか正確には有ったんだけど、母さんが作るとめちゃくちゃ旨くなって嫌いじゃ無くなったんだよな〜。母さんすげぇ……。


「翔ちゃんどうしたの? 食べずにこっち見て。」


「いや、母さんはすげぇなあって。」


「そう? 別に普通よ。」


他人の嫌いな食べ物を好きにさせたり、我流の技を編み出したりするのは一般家庭で普通なのか?……絶対普通じゃないだろ。


「絶対普通じゃない。」


「普通よ。」


「違う。」


「普通。」


「違う!」


「普通!」


こんな無駄なやり取りをしながら晩飯を食べ終えた。それから、また母さんと一緒にテレビを見て、適当な所で止めて自分の部屋に来た。


「今から何をしよう……。 明日の予定でもするか。」


明日の予定を使用と思ったのは良いが、明日何するか知らねー……。教科書とかはまだ配られてないから筆記用具だけで良いか。


「マジでやることねぇ……。」


どうしよう……。もう寝るか?いつもより少し早いが寝るか?やることもないし、起きてても仕方ないから寝るか。


「お休み〜。」


誰かに言う訳でも無いけど、口に出してしばらくしたら夢の世界に行った。



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