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第13章:母さんこえぇ……

今年ももうすぐ終わりですね。

皆さんよい年を〜

「ふぅ、それそろ終わりにしましょうか。」


「そうですね。」


「やったー!」


あれから俺はずっと綾に付きっきりで勉強を見ていた。所々ミスや、損な解き方をしているところがあったから退屈せずには済んだ。でも今日は疲れた……。教えるのは予想以上に疲れるな……。


「綾は随分嬉しそうね。 そんなに苦だった?」


「ううん、何時も解けない問題がスラスラ解けて嬉しかったけど、それでも勉強は嫌いだから終わった方がもっと嬉しいの!」


「楽しく勉強出来たのでしたら十分ですよ。」


「そうね、今日はかなり進んだからね。」


「私だってやれば出来るんだから!」


「なら今までもこれぐらいやりなさいよ……。」


「そ、それはまぁ、あれよ。 き、気が乗らなかったのよ。」


「そう……。」


舞は何かを諦めたみたいだ。でも今日の綾はなかなか頑張ったと思う。舞の話によると、今まではいくらやってもノルマの半分も終わらなかったらしい。でも今回はノルマ以上にやっていた。これは舞も予想外だったらしい。俺もだが。兎に角今日一日でここまで出来たってことは明日は無しかな?ちょっと聞いてみるか。


「舞さん、明日はどうしますか?」


「そうね……。 今日一日で大分進んだから、明日態々集まってまでやる必要はないと思うけど。」


「私もです。 明日は個人で自習をすれば良いと思います。」


「えっ! 自習!?」


何をそんなに驚いている。


「はい。 綾さんなら大丈夫ですよね?」


「ま、任せてよ!」


「どうせしないだろうから、明日は私だけで面倒見るわ。」


「分かりました。 綾さんをお願いしますね。」


「任せて。」


「二人とも全然信用してない……。」


当たり前だろ。兎に角これで明日は暇になった訳だ。家でゴロゴロしながら勉強でもするか。でも久々に女装をしないで済むから、出掛けるのもありだな……。まぁ明日の事は明日考えるか。


「それでは今日はもう帰りますね。 時間的にも良い時間ですので。」


「あっ、うん。 今日はありがとね。」


「ほんとね。 私一人だったら綾にここまで勉強させることは出来なかったわ。 本当にありがとう。」


「そこまで感謝されますと、頑張った甲斐があります。」


こんなに感謝されるとは思わなかったな。ちょっと勉強を手伝っただけなのに……。


「それじゃあ玄関まで送るね。」


「お願いします。」


そうだった……。この家は部屋から玄関まで長々と歩かなければならないんだった……。だる……。









「綾さん、舞さん、ここまでで良いです。」


「ほんとに玄関までで良いの? 自分で玄関までって言ったけど、なんならバス停まで送ってくよ?」


「大丈夫です。 道は覚えてますから。」


「そう? なら良いんだけど……。」


「何かあったら連絡しなさいよ。 って、そう言えば私咲の携帯の番号知らないわね……。」


「あっ、私も知らない。 ねぇ咲ちゃん、携帯持ってるなら番号交換しない?」


「………え、あ、す、すいません。 私は携帯を持っていませんので……。」


ほんとは持ってるけど、交換したら本名バレるだろ!本名バレる=男とバレる。こうなるんだからするわけない。二人には悪いけどこれは出来ないな……。


「そっか……。 じゃあ仕方ないね。」


「なら私達の携帯の番号だけでも教えとこうか?」


「いえ、そこまでしてもらわなくても大丈夫です。 お二人に迷惑はかけたくないので。」


「別に気にする必要は無いのに……。」


「そうよ。 遠慮なんかしなくても良いのよ。」


二人の好意はとっても有り難いけど、ほんとにこれ以上は迷惑をかけたくない。朝に盛大な迷惑をかけてしまったからな……。もしここで電話番号を教えて貰うと、帰るときについ頼ってしまって、また迷惑をかけてしまうからここは知らない方が良い。


「いえ、ほんとに大丈夫ですから。 これでも私は記憶力は良いので、道は覚えてます。 だから大丈夫ですよ。」


「そこまで言うなら信じるけど……。 なんだか私達の番号は知りたく無いみたいに感じるわね。」


「いえ! 決してそのような事はありませんから!」


確かにそんな風に聞こえなくも無いけどさ。でもな、俺はどちらかと言うと知りたいんだよ!俺は見た目はアレだが心は男なんだぞ!二人とも可愛いから番号ぐらい聞きたくなるさ……。


「ふふっ、冗談よ。 でもそんなにムキになってくれると嬉しいわね。」


「そうだね。 今までそんな人いなかったからなんか嬉しいね。」


うっ、何気ない言葉でここまで嬉しがれると逆に恥ずかしいな……。これは逃げるが勝ちだ!何に勝つのか知らないけど!


「で、では、お二人ともそう言うことでさよなうならです!」


「あっ、うん、ばいばい。」


「じゃあね。」


二人にさよならして、俺は走って家を出た。









俺は今バス停にいる。

二人にも言ったけど、俺は記憶力が良い。

だから大抵の道は一回通ったら覚える。

だから帰りは難なく辿り着いた。

しかしここで問題が発生。

バスが来るのが一時間に一本しかない。

利用者が少ない上に前の停車場所からここまでは長いから、来るバスが一時間に一本しか無いのだろうな。

そして運の悪いことにハズは10分前に行ったみたいだ。

つまりあと50分は来ない。

そうなると待ってる時間が無茶苦茶暇だ……。遊べるような物は無ければ、俺が普段使う問題集もない。さてどうしようか。………寝るか。バス停にはイスもあるみたいだから、そこに座って寝て時間が来るのを待つか。携帯とか持ってきて無いから、時間になったら起きる方法が自力しか無いけど、その辺は気にしないでおくか。兎に角今は寝るか。









「ん………。」


ここは………バス停?あっ、そういやバスが来るのを待つためにここで寝たんだったな。今の時間はっと………よし、バスが来る五分前だ。なんだか一時間以上寝てるような気がするが気のせいだ。バスが来るのが毎時丁度で、俺は5時10分ぐらいに寝て、今は6時55分になってるけど気のせいだ。気のせいと言うことにしとこう。それより母さんに連絡してないのが心配だ……。帰ったときに何も言われなきゃ良いけど……。あっ、バスが来た。さて、さっさと乗って帰るか。










現在の時間8時20分。場所は家の玄関前。俺は今入りたくても入れない状況にある。何故かと言うと、それは家の雰囲気だ。なんか怒りの感情が駄々漏れしてるんですけど……。は、入りずれぇぇぇ。でもこんなとこでいつまでもじっとしてて、不審者に間違えられても厄介だし早いとこ入るか。物凄く入りたくないけど……。


「た、只今〜。」


「お帰り翔。」


し、翔……。母さんが俺を呼び捨てにするときは大抵機嫌が悪いときだ。これは覚悟しなければならないみたいだな……。


「なんで連絡もしないでこんなに遅いのかな?」


笑顔のまま言われると逆にこえぇよ!


「え、えと、連絡しようが無かったと言いますか……。」


「なんで出来なかったの?」


だから笑顔のまま言うなって!めちゃくちゃ怖いから!


「け、携帯をお、置いてきていたから……。」


「なら向こうの家で電話を借りるとか、公衆電話を使うとかいくらでもやりようはあったと思うのだけれど?」


「む、向こうの家を出た時は、あ、あまり遅くなかったから必要な、ないかと思って……。」


ダメだ。スムーズに喋れない……。母さん怖すぎる……。


「ならなんでこんなに遅くなったのかな?」


「バ、バス停でか、仮眠をとってたら、い、いつの間にか時間が……。」


「ふ〜ん。」


その後母さんずっと俺を無言のまま見ている。ちなみに俺はずっと下を向いてる。怖くて母さんが見えない。母さん、気まずいから何か言ってくれ……。


「はぁ〜。 まぁ翔ちゃんも反省してるみたいだし、今回はこの辺で許しますか。」


「あ、ありがとう母さん。」


た、助かったぁぁ。


「でもなんで携帯を置いていったの? 翔ちゃんが忘れるわけ無いから、何か理由があったんでしょう?」


「あぁ。 もし携帯があの二人にバレて、アドレスを交換とかになったら本名がバレてしまうから、その危険性を無くすために置いて行ったんだよ。」


お陰で最後にひどい目にあったけどな。


「なるほど。」


母さんもこれで納得してくれたみたいだ。さっきのヤバイ雰囲気もいつの間にか無くなっている。もう何時もの母さんだ。


「あっ、翔ちゃん夜ご飯食べた?」


「いや、まだだけど。」


「なら一緒に食べましょ。 もう準備は出来てるから。」


「え? 二人分?」


「えぇ。 翔ちゃんの事だから、長くは居たくないだろうから早く帰って来ると予想して、二人分作ってたのよ。」


流石母さん、俺の事をよく理解しているな。


「でももし俺が向こうで誘われて、流れで食べてしまった時はどうするつもりだった?」


「翔ちゃんの分は残しといて、帰ってきたら頑張って食べて貰うつもりだったわよ。」


「おい!」


そんな無茶をさせようとか考えてたのかよ……。食べずに帰って良かった。それから向こうの家よりも美味しい母さんの飯を食べて、なぜ母さんはこんなに料理が上手なのかと疑問に思いながら食べ終えた。

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