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第12章:危険な休憩時間

今俺はお茶の準備をしている。準備と言っても作業は簡単だけど……。それよりも気になるのが二人の視線だ。何故かコッチをずっと見ている……。何か俺可笑しいことしたか?もしかして男だとバレたか!?って、お茶を入れてるだけでバレたら既にバレてるか……。じゃあ何でさっきから見てるんだ?気になって仕方ないぞ……。


「あの、なんでこちらをずっと見ているのですか?」


「え? 別に意味なんて無いよ。」


「えぇ。 だから気にせず続けて良いわよ。」


「は、はぁ。」


気にせずって言われてもなぁ……。ずっと視線を感じるから気になって仕方ないぞ。


「あの、お二人の視線が気になるので、出来れば止めて欲しいのですが……。」


「そうなの? なら出来るだけ見ないようにするね。」


「分かったわ。」


二人に言ったら視線が無くなった。よし、これで心置きなくお茶が入れられるぞ!さて続きを………うっ!ま、また視線を感じる……。これはもう放置するしか無いか……。バレないように気を付けないとな……。それから俺は、二人の視線に怯えながらお茶の用意をした。







「どうぞ。」


「ありがとう。」


「ありがと。」


二人にお茶を入れてあげ、自分の分も入れて座った。ふぅ、ようやく落ち着ける。入れてる間ずっと二人が見てたから、バレるんじゃないかとずっとヒヤヒヤしてたぜ……。でも無事にお茶を入れることに成功した。なんでお茶入れるだけでこんなに緊張しなきゃならないんだ……。


「このお茶美味しい〜。」


「ほんとね〜。」


「そうですか? お口に会って嬉しいです。」


でも美味しいと言って貰うのは予想外だった。

この二人は金持ちだから、すげぇ美味しいお茶を飲むのが普通になって、俺のような素人が入れるお茶じゃ不味すぎで飲めないかとも思ったぐらいだし。まぁこの二人は優しいから、人が飲むような味じゃない飲み物が出ない限りは、飲んでくれるだろうけどな。もしかして俺が入れたお茶は美味しいのか!?………いや、たぶんお世辞だろうな。それかお茶っ葉が美味しいだけか。まぁ普通に考えて両方だよなぁ。


「あれ、咲ちゃんどうしたの? あっ、さては私達がお世辞で美味しいと言ったと思ってるんでしょう。」


うっ、綾のくせに鋭い……。


「今、何か失礼なこと考えたでしょ。」


「い、いえ、そんなことはありませんよ?」


「なんで疑問系……。 まぁ良いけど。 兎に角、私達はお世辞で美味しいって言った訳じゃ無いから、安心していいよ。」


「そ、そうなのですか?」


「えぇ。 このお茶はお世辞で無く美味しいわ。」


「なんで態々舞ちゃんに聞くかな……。 そんなに私の言うことが信用ならない?」


まぁそこはあれだ。綾よりも舞の方が信用性があると言うか。普段の生活を見てると、何となく舞に確認を取りたくなるんだよなぁ。


「そんなことは別にいいじゃない。 普段の生活を見てたら綾より私の方が信用性があるのは分かるんだから。」


「ま、舞ちゃん酷い……。」


なんか綾がショックでいじけてるけど無視するか。一々相手にするのも面倒だ。


「ところで舞さん、綾さんの調子はどうですか?」


「綾なら頑張ってるわよ。 英語を咲がやってたようにやらせてみたら、最初に比べたらかなり順調に進んでるわよ。 聞いてくることも減ったし。」


「そうですか。 それは良かったです。」


問題なく進んでくれて良かった。最初のペースじゃあ二日掛かっても、目標までたどり着けそうに無かったからな……。でもこの調子で行けば明日は集まらなくてもいいかな。


「では、そろそろ私は休憩を終わりますね。」


「そうね、私も終わりにするわ。」


俺が終わるのに続いて、舞も終わりにするみたいだ。


「ちょ、ちょっと待って! 私まだお茶全部飲んでない!」


「綾がずっといじけてるからでしょ。」


「だ、だって誰も相手にしてくれ無かったから余計に悲しくなって……。」


「はぁぁ。 分かったから早く飲みなさい。 一人で休憩を続けるなら急がなくても良いわよ。」


「わ、私も終わりにするよ!」


そう言って急いでお茶を飲んで、片付けを始める綾。その頃俺と舞は既に片付けを終え、勉強を始めていた。そして少し遅れて綾も始めた。









さて、いきなり大きな問題にぶち当たってしまったな。俺は休憩を始める前にやってた、舞から借りた問題集は既に終わりかけ何だよな……。後数ページしかないから、10分もあれば終わってしまう……。やばいな。これが終わると本気でやることが無くなってしまう……。何か無いか。何か。


「あれ、咲どうしたの? 何か分からない問題でもあるの?」


「あっ、いえ、そうではありませんよ。 ただ舞さんから借りた問題集ももう終わりそうなので、これから何をしようかなと……。」


「え!? あれもう終わったの!?」


「はい。 どうかしましたか?」


何か可笑しいことをしたか?舞でもこれぐらい楽勝だろ。


「いや、私でもそれを終わらすには5、6時間は掛かるのに……。 咲って実は凄く頭が良いとか?」


「い、いえ、そんなことはありませんよ?」


ま、マジでか……。これは読み違えたな……。でも舞がこれを終わらすのに5、6時間ぐらい掛かるとすると、今までの成績から考えてみると………ふむ、まぁ舞の実力もだいたい分かったな。綾と比べてみると天と地ほどの差があるな……。って、そんなことは今は良いとして。兎に角この状況を何とかせねば……。


「た、たまたま、です。 たまたま、私の得意なところばかり出たので、早く終わったんです。」


「ふ〜ん。 まぁそうゆうことにしとくわ。」


「ほ、ほんとですってばぁ。」


ふぅ。とりあえず危機は去ったか。舞にめちゃくちゃ怪しまれたけど……。


「それで、やることが無いんだって?」


「あっ、はい。 それでさっき悩んでたんです。」


「そうねぇ。 私もあれ以外問題集は持ってきてないし、綾の家に問題集が有るわけ無いし……。」


これは本気でやばいな……。このまま何もせずに居るぐらいなら帰った方がましだぞ。でも舞一人に綾を任せるわけにもいかないし……。あぁ、どうしよう……。


「なら咲、綾に付きっきりで勉強を教えてあげて。」


「付きっきりで、ですか。」


「えぇ。 それで可笑しな解き方をしてるところがあったら指摘してあげて。」


それは丁度いい暇つぶしになるな。しかも綾にはプラスになるし。正に一石二鳥だな。


「分かりました。 早速綾さんの所に行ってきます。」


「任せたわ。」









「綾さん、調子はどうですか?」


「あっ、咲ちゃん。 うん、問題ないよ。」


「そうですか。 分からないことが有りましたら聞いてくださいね。」


「うん。 でもなんでこっちに来たの? 態々それだけを言うために?」


理由か……。まぁこれは別に誤魔化す必要ないかな……?


「少し時間が出来たので、暫く綾さんに付きっきりで勉強を教えようかと。」


「ようは暇になったってことね。」


「はい。」


「ふ〜ん。 咲ちゃんって偉いな〜。 もう自分の分は終わったなんて。 私なんかまだ半分なのに……。」


半分か。結構進んでるな。ん?その前に綾は自分の問題集なんかあったのか?


「いえ、ただ自分のは簡単だっただけです。 それより綾さん。 綾さんは自分の問題集を用意してのですか?」


「一応、ね。」


「そうだったんですか。 問題集を増やしてしまってすみませんでした……。」


「いいよ別に。 咲ちゃんから貰った問題集をやった後に自分のをやったら、スラスラと解けたから逆に感謝してるよ。 ありがとう。」


「そう言って下さるとありがたいです。」


綾の重荷になってなくてよかった。綾は勉強嫌いだから、問題集が増えたら逆にやらなくなると思ったけど、どうやら問題無かったみたいだ。


「さて、もうひと頑張りしますか!」


「頑張ってください。 私も間違いが無いか見てますから。」


「咲ちゃんありがとう。」


それから俺は綾が問題を解いて、可笑しな所があれば指摘していくという形で時間は過ぎていった。

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