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第10章:ここはどこの国だ……?

ちょっと問題はあったがようやく綾の家に着いた。そして俺は再び唖然とした。この家やべぇ……。デカイと言うのは予測していたけどさ、まさかここまで大きいとは……。これは城か?どっかの国の王さまが住んでるような城か何かなのか?どう見ても他の家とはサイズが違うぞ……。


「咲ちゃん! そんな所で立ってないで早く行こ。」


「あっ、はい。」


もうこれ以上は時間を無駄にする訳にはいかないしな。


「それじゃあ早速私の部屋に行こっか。」


「え? 綾さんの部屋でやるんですか?」


「うん。 だってあそこが一番ゆっくり出来るからね。」


マジで?それはちょっと困るな……。俺は皆には女で通してるけど、実際は男だから女の子の部屋に入るのは少し気が引けるな……。


「何か問題でもあるの?」


「いえ、別にありませんけど……。」


実際は大有りだけどな。


「じゃあ良いでしょ。 あっ、私お茶の用意を取りに行ってくるから、二人は先に部屋に行ってて。」


「分かったわ。」


「はい。」


そう言って綾は何処かに行った。何処かって言っても台所辺りだろうけど。


「じゃあ行くわよ。」


「はい。」


舞にの後に着いて行きながら、この城とも言える家に入って行った。







何だここは……。外から見ても家には見えないサイズをしてたが、中も中で凄いな。廊下がめっちゃ広くて、扉がズラリと並んでるぞ……。しかも廊下の先に壁が見えないし……。どんだけ広くて長い廊下なんだ。


「咲、こっちよ。」


「あっ、はい。」


舞が行こうとしてるのは、これまた終わりが見えない廊下。一体どれが綾の部屋なんだ……?


「あの、舞さんは何処に綾さんの部屋があるのか分かるのですか?」


「そりゃ何回も来てるから分かるわよ。 流石に最初の頃は迷ったけどね。」


「そうですか、安心しました。」


良かった、当たり前だけど舞は部屋の場所が分かるみたいだ。知ってるとは思ってたけど、このあり得ない数の扉を見たら嫌でも不安になるぞ……。


「あっ、でもはぐれないでね。 迷う可能性があるから。」


「………分かりました。 絶対にはぐれません。」


「よろしくね。」


他人の家で迷子になるってどうなんだ……。いや、他人とか言う前に家に迷子と言う単語は可笑しいだろ。でもこのサイズの家だからあり得そうで怖いな……。よし、絶対にはぐれ無いようにしよう。









はぐれないよう心に違って、10分近く歩いたら舞が止まった。ようやく着いたみたいだ。しかし玄関から自分の部屋まで10分って……。面倒すぎるだろ。


「着いたわ。 さっ、入って。」


「お邪魔します。」


舞が入るよう促してくれたから、先に部屋に入った。入ってまず最初に目に入ったのはぬいぐるみ。その後見回しても見つかるのはぬいぐるみ。部屋中にぬいぐるみが置いてあるみたいだ。


「この部屋凄いでしょ。」


「はい、凄いですね……。」


女の子らしいっちゃらしいけど、それでもこの数は……。


「舞さんの部屋もこんな感じなのですか?」


もしそうなら俺の知識が可笑しい事になるのか?


「私の部屋はもっと普通よ。 所々にぬいぐるみが置いてあるぐらいよ。」


「そうですか。 それを聞いてホッとしました。」


「こんな部屋は綾ぐらいだと思うわ。 咲の部屋はどんな感じなの?」


俺の部屋?基本的に部屋でやることって、小説などを読む時と、勉強する時以外は使わないからなぁ。あっ、後寝るときも使うのな。


「私はあまり部屋に籠らないので、最低限の物ぐらいしかありませんね。」


「そうなの? 女の小でそれは、今時にしては珍しくない?」


「そうなのですか? その辺りは良く分かりません……。」


ってか女の子の部屋に入ったのが、今回が初めてだからそんなの分かるはずが無い。


「私もその辺はよく分からないけどね。 兎に角、入口で立ち話なんてしてないで座るわよ。 真ん中にあるテーブルの周りにでも座れば良いでしょ。」


「分かりました。」


言われたテーブルの奥に座った。それから暫く無言で待っていたら、誰かが部屋に入ってきた。


「二人ともいる?」


「いるわよ。」


「良かったぁ、咲ちゃん迷子にならなかったんだね。」


「はい、舞さんにしっかり着いて行ったので、無事に着きました。」


「綾、早くこっちに来て勉強始めるわよ。」


「は〜い。 お茶の用意はどうする?」


「各自が飲みたくなったら入れるって事でいいでしょう?」


「私は良いわよ。 咲ちゃんは?」


「私もそれで構いません。」


お茶ぐらい自分で入れれるし、今は何か飲みたい訳でも無いしな。


「じゃあ、勉強会を始めるわよ。」


「おぉー!」


「はい。」


こうして、勉強会が始まった。









「んーー舞ちゃ〜ん、ここはどうやるの?」


「また? ってここはさっき教えた公文を使えば良いのよ。」


「どうやって?」


「これをこうして、こっちをこうしたら出来上がり。」


「おぉー、流石舞ちゃん!」


「綾、あんた考えるの放棄してるでしょ?」


「そ、そんなことは無いよ?」


「じゃあなんでさっきから聞いてばっかで全然進んでないのかしら?」


そうなのだ。綾はさっきから何回も聞いているのだ。別に聞くのが多いのは別に構わない。けど全てと言って言い程、問題を舞に聞いている。少しは考えないと、教えてもらってあまり意味が無いぞ……。


「それはほら、あれよ、問題が難しいからよ。」


「さっきから言ってることを使えば簡単に解けるわよ。」


「そんなこと言ったって、どれを使えば良いか分かんないもん……。」


「それを考えるのが勉強でしょ。」


「そうだけど……。 うぅ〜、き、休憩よ!」


早!まだ始めて20分ぐらいしか経ってないぞ。どんだけ集中力無いんだよ……。


「はいはい、綾は休憩してなさい。 私はまだやるから。」


「してくる!」


そう言ってお茶の準備を始めた。しかも凄い嬉しそうに。そんなに勉強が嫌だったのか。


「でも思ってたよりペースが遅いわね……。」


「そうですねぇ。 私もまさかここまで進行が遅いとは思わなかったです。」


これは予想外だった。綾が20分間で解いた問題は3問。しかも全部聞いている。ちなみに俺は、今日のために買った問題集を半分ぐらいまで終わらした。舞も似たようなペースである。まぁ俺と舞は早いけど、それでも綾は遅すぎる。これは何か対策を考えるべきか?


「………このまま英語を続けても進展は無さそうだから、違う科目をやらせてみる。」


「そう、ですね。 では次は私が数学を教えてみます。」


「よろしくね。」


さて、次は俺の出番か。俺の学力をバレないようにかつ、分かりやすく教えないとな。ついでに綾の実力を見極めないといけないし。………凄く面倒だな。まぁやると言ったからにはやるしかないか。


「綾さん、次は私が数学を教えますね。」


「咲ちゃんが? うん、分かった。」


「では、休憩が終わりましたら教えてくださいね。」


「は〜い。」


さて、俺も綾の休憩が終わるまで休憩するか。


「綾さん、お茶を貰いますね。」


「いいよ〜。」


綾の許可も貰ったしお茶を入れるとするか。別に許可を取る必要は無いだろうけど。


「咲ちゃんってお茶上手に入れるね。」


「そうですか?」


「うん、見てて凄い上手に入れてるもん。」


「自分ではよく分かりませんけど、ありがとうございます。」


お茶の入れ方とか適当なんだけどなぁ。適当と言うか、ただ母さんが何時も入れてる所を見てるから、その通りにやってるだけなんだよな。それで上手いって言うってことは、母さんはもっと上手に入れるって事か……。ホントに、あの人は何でも出来るな。


「咲ちゃ〜ん、私休憩終わったよ〜。」


「あっ、はい。」


色々考えながらお茶を飲んでたら、いつの間にか綾休憩終わってるし。さて、じゃあそろそろ教えるか。


「それじゃあ綾さん、始めましょうか。」


「うん。」


「ではまず、この問題集を最初からやってくれませんか?」


「この薄いやつ? 分かった。」


「では、分からなくなったら何時でも聞いてください。」


「は〜い。」


返事をしたら早速問題集に取り掛かった綾。

あれは綾のために買ったやつで、中学の問題の基礎が詰まってる問題集だ。俺も昔やった。あれは問題数は非常に少なくて、簡単な問題ばかりなのだが、最低限の基礎はあるから、あれを最初にやってからの方が良いだろう。ちゃんと次の問題集も用意してあるからな。さて、綾が質問してくるまでは自分の問題集をやるか。









あれから30分が経過した。でも未だに一度も質問に来ない綾。どうしたんだ?寝てるのか?それともさっき舞に言われたから、必死に考えてるのか?ちょっと聞いてみるか。


「綾さん、調子はどうですか?」


「んー、もうすぐこの問題集終わる〜。」


「そうですか。 それは良かったです。 それが終わったら次の問題集も有りますから。」


「んー。」


綾にしては珍しいな。いや、綾の中で数学は出来る方なのか?まぁあれは簡単だから出来て当然だから、次の問題集ではっきりさせるか。


「咲ちゃん、終わった!」


「おめでとうございます。 どうでした?」


「全然難しくないね! 寧ろ簡単で楽しかった!」


「それは良かったです。 では、次はこれをお願いします。 さっきよりは難しいですが、さっきの問題集でやったことをしっかり覚えて、使えれば、それも問題なく出来るはずですよ。」


「分かった。 頑張ってみる。」


そう意気込んで、綾は次の問題集に取り掛かった。

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