『レンゾクサツジン』
思い返せば、父親の食事を最初に目撃したときも、食材はこの女と同じようなOLだった。ランドセルを背負って帰ったら、居間に見知らぬ女がいて、何事かと思ったっけ。父親はバットで女を食材に加工していたなあ。あのバットは弟が母親にねだったやつだった。誰かがボクの視界を塞ごうとしていたけど、一部始終をボクは見てしまった。金属バットを使わせたら誰にも負けなくなったのは、その時に学んだのかもしれない。武道で言うところの見取り稽古ってやつだな。そんな目で見つめ返すなよ、とても興奮するだろ。つい手に力が入って、頭蓋骨の形を残せなくなる。父親が感じていたものもこれと同じだったのかな? 自分が止められなくなりそうだ。ボクが普通の男だったら勃起して射精までしていたかもしれない。そんな証拠を残すことは一生ありえないけどね。でも体中を疾る血じゃないものが早くなる。これが快感という奴か。父親はそのあと、家の包丁を使って切り分けていた。ボクも包丁を持ち歩いているが、そこまで彼と一緒だった。ただ父親のように柔らかい部分を口にするまでは、まだしない。する予定もない。父親は焼肉よりも刺身派だった。ボクはどちらかというと菜食主義なんだ。きっと父親がヒトを美味しそうに食べるのを見て、全然うらやましくなかったからだと思う。でもボクにとってこの作業は間違いなく「食事」なんだ。プランクトンを小魚が食べ、小魚をマグロが食べ、マグロをヒトが食べるように。ボクはヒトを「食べる」ことによって食物連鎖の頂点に立ったんだ。おや、手が動いたぞ。こんなになっているのに、まだ死にきれていないんだ。ふうん、ヒトって頑丈なんだなあ。おっとトドメを刺す前にお約束の詩を囁いてあげなきゃね。
Because you killed it,
I was found guilty.
Because you saved it,
I was given an amnesty.
When Jericho’s trumpet is sounded.
I sleep calmly in
the bottom of the water.
気に入ってくれたよね? 今回はちゃんと用意してきたんだよ。なかなか良い詩だと思わないかい? 見た目は頭が悪そうだと言われるけど、これでなかなか勉強家のつもりなんだ。さて、それじゃ、お終いにしようか。