『ハジメテヒトリデ』
振り返ってみればボクは父親に似てしまったのかもしれない。人を殺すことに、やはりためらいはなかった。標的を女の子にしたのは大した意味は無い。あえて言うならば「ちょうどソコにいたから」。部屋から抜け出してくるのは大変だったけど、キミも夜の道を一人でなんか歩いているからだよ。ボクも夜を出歩くのが大好きだけど、キミも好きだったのかな? どちらかというと親に放り込まれた塾で忙しかったというところかな? けれど女の顔が歪んで生命力が消えていく様子は、とてもいいものだ。これもあの日に体験した事が、今のボクに影響しているのだろうか。まあいい。人間という物は過去の積み上げで現在の自己を維持する生命なのだから。ふむ、そうするとこの娘は、もう過去を積み上げる労役から解放されたわけだから、むしろボクに感謝するべきだ。標的は誰でもよかったが、理由ははっきりしていた。あの人に気に入って欲しいからだ。ボクもアナタと同じ種類の人間なんですよと、これは魂からの叫びだ。そうだ、だからあの人と同じようにすることにしよう。ちょっと時間がかかるかもしれないが、大丈夫。こんな月の出ていない晩に見つかるヘマなどするつもりはない。むしろ見つかるように努力しなければならないのだろうか。おや? まだ意識が残っているのかな? 父親は一撃で決めていたというのに、難しいものだな。色々とボクに迷惑をかけて恨んだこともあった父親だけど、貴男は偉大だったのですね。同じようなことをやろうとして、ボクはなかなかできません。まあいいや、刃物も持ってきたことだし、これでお終いにしよう。そうだ永遠のお別れに、その耳に囁いてあげるよ。
OK, Let’s eat Fruit.
Delicious Fruit.
OK, I smash Fruit,
and let’s eat.
Let’s eat deliciously.
It’s most delicious
how to eat.
どうだい? これはボクが父親から教わったことなのさ。どうしてこうされたかキミにもよく判るだろう。気に入ってくれたかな? まあ、そうでなくても一向に構わないけどね。さて、そろそろ、まあ、なんだ。「仕上げ」といきますか。