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ヒューマンドラマ

教師に突然当てられて答えたときの話

作者: 山目 広介

 中学の時だ。後ろのやつとの会話をしてた時に突然、教師に当てられた優等生。

 しかし、そこは優等生だけあり何事もなく答えて切り抜ける。

 悔しいが羨ましい限りだ。憧れる。


 高二だっただろうか。テストの返却後、少々浮ついた状態だった。

 授業中後ろの席のやつと俺はテストの話で盛り上がって声が大きくなってた。

 当然教師にバレる。

 そして俺は当てられた。友人は背が低く後ろの席でもあり俺に隠れた。ずるい。

 授業の進行はちょうど微積分に入った所だ。

 この時の流れはだ。問題の出題が終わり、答えが分からない問題への対処として解き方を教えるため、その道具である、これから教える微分を使えばいいよ、って流れだったんだと思われる。

 この(・・)、答えが分からないって部分を示したくて指名したのでしょう。

 まだ教えてもいない、微分。にも拘らず、答えろとは実に、実~に意地が悪い。嫌らしい問いかけだ。


 問題はこんな感じだっただろうか。

 上下にある地点から等距離にある地点Pに道を作る。もちろん安くするため、最短距離だ。

 俺は中学時代に見たテレビでシャボン玉の液を使って、エネルギーが最小になる形というものを針金で作った立方体の枠で実験していたのを、このとき思い出した。

 だから場合分けをした。

 地点Pを経由しただけでいいときと、他に経由して地点Pを結ぶようになるときとで。

 答えは分かっていた。イメージで。ハチの巣のような六角形を組み合わせたその境界だと。

 上下の地点をA、Bとしてその長さを決めてから、ABを結ぶ線分からの距離で場合分けをした。

 ABの1/2√3の距離の内側だと地点Pを経由した道。

 それ以上だとその境界部分から地点Pへ伸ばした分を追加。

 境界部分はどちらでも良かったがそう答えた。


 ただ、この時俺はABとした点が左に寄っていたため、右側だけしか答えなかった。

 テストの答案だとバッテンだったでしょう。

 既視感があった。よく俺は途中の式がないからと減点させられて、数学でライバルと見込んでいた奴に高校の定期テスト ――全部で25回ぐらいだったと思う―― で一度しか勝てなかったからだ。

 しかし、教師は渋面を作り、何も言わずに俺を座らせた。

 さすがに間違いだ、ざまぁとするには正解をこの後言うには近すぎたようだ。

 俺は悪くない。この教師が俺を当てたから悪いのだ。後ろの友人なら答えられなかったのに。

 解けないなら、ちゃんと授業を聴くように、と言いたかったのだろう。

 より効果的に、数学の得意な俺に対して質問し失敗する姿を教訓に。

 だがその目論見は潰えた。

 いや、潰した。潰してしまった。

 だが俺が、ざまぁ、とは言えない。自分が悪いと思っていたからだ。

 その後授業は淡々と進んだ。


 しかし、一度機会があれば、この教師に訊いてみたい。

 答えられないと思った問題をほぼ正解に近いところまでいきなり答えられてどう思ったのか、と。

 意地の悪い質問のお返しとして。




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