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清水編  作者: 麦果
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02.仇討ちだぁ!! 謎を追うのは同中と

 6日夕方、大街道の自宅で彼の通夜が営まれた。17歳での突然すぎる死に大人達は深く悲しみ、親戚の子供達は皆泣いた。その中に清水達2年1組がいた。

「具合悪かったんでしょう? 迎えに行ってればこんな事故にはならなかったのに」

「やめなさい。洋太(ようた)の同級生もいるんだから」

 親族の会話が聞こえた。

(事故、かぁ……)

 事故と結論付けられている以上、本当の事は言いづらい。総合コースの同級生も数人参列していて、その中に〝ぎっちょん〟が紛れ込んでるかもと思うと尚更だ。

 生徒達は遅くならない内に帰った。翌日の火葬並びに告別式には1組の担任と副担任、代表してクラス委員が参列した。

 その後また〝ぎっちょん〟に怯えるだけの日々が始まった。


 12日の朝、(みやび)が真剣な顔でスマートフォンを見ていた。

「雅ー?」

 アコが呼んでも気付かない。

「雅ってば!!」

「わっ! アコごめん。今、友達から変なメッセージ来てさぁ」

「変なメッセージ?」

「うん……『1組、何か困ってる事ない?』って。そういえばさっちょん、こないだ6組行ったよね? 瀬里(せり)に何か言った?」

「言ってない言ってない。同中以外知らないし」

「そう……なら、何もないって返すわ」

「そうしな? 雅の友達まで何かされたら大変でしょ?」

「そうだね」

「アコちゃん!」

 他のクラスの女の子二人が1組に立ち入った。

「聞きたい事あるんだけど」

 黒髪を一つに束ねた、地味めな子がアコに近付いた。

「ええっ!? 困るなぁ……」

 アコが即答した。もう一人、髪飾りを着けた子も知り合いらしい男子にあしらわれていた。

「二人共教室戻りな!!」

 雅が女子二人を追い出し、ドアを閉めた。

「あの二人も瀬里と一緒に探ってるな……6組で仲良いんだ、確か南境(みなみざかい)蛇田(へびた)

「そうそう! 蛇田うちと同じ中学だけど、絶対調べてるって! あの子、何かあるとすぐ首突っ込むから」

 アコが蛇田について話した。

「ぎっちょんが誰かも、何するかも分かんない以上、あたし達からは何も言わないでおこう」

 クラス委員が喚起した。

 しかし、その日の放課後。2組の空椰(くうや)から1組で起こっている事を南境や蛇田、その仲間に伝えたと聞かされた。彼女は先日の凪助の件で1組が騒いでいるのを目撃し、一連の出来事を知っていたそうだ。

「だからって……喋ったら、あんたも危ないんだよ!? 何かされたらどうすんの!?」

 雅が声を荒げた。

「分かってるよ! でも……何もしなかったら、とんでもない事になる気がするんだ」

「とんでもない事?」

 空椰が3組でもトラブルが発生した事、これらは全て仕組まれた物だとするメッセージが見つかった事を皆に教え、協力を求めた。

「まじで? ……そういう事なら、うちらも手伝おう? 〝ぎっちょん〟の事分かって、少しは動きやすくなるでしょ? それにさ」

「それに?」

 クラス委員とその取り巻きが不安げに聞き返した。

「カイちゃんの仇、討ってやんの! ね、やろうよ」

「そ……そうだね! やろう!!」

 こうして1組は、事件を追う空椰やその友人達を手伝う事になった。


 次の日は無事に終わった。

 昨日皆でああ言ったのは良いが、〝ぎっちょん〟は黙ってないはず。何かしてくるに違いない……と清水は懸念していたが、心配のし過ぎだったようだ。

 放課後、1組は〝ぎっちょん〟の正体を突き止めるべく動き出した。さっそく、大街道が転落した現場周辺で当日、挙動不審な若い女が目撃されていた事が判明した。

 女の特徴は黒いミディアムヘア、黒縁眼鏡、身長は150cm台で10代後半と見られるが、歳の割りには落ち着いた格好をしていた……との事だった。服と眼鏡はごまかしが効くが、他の箇所は凪助を襲った者に近い。1組は彼女は〝ぎっちょん〟に間違いないと見た。

 この事を聞いた帰り道。清水、沙月、アコ、雅は石巻駅で蛇田に会った。

「アコちゃん、空椰ちゃんから聞いた?」

「うん。それでね――」

 アコは分かった事を蛇田に伝えた。

「――そうなのね、分かった。ありがとう」

「どういたしまして」

 この後各自家に帰った。

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