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逢鬼物語  作者: 雅姫
9/14

実は時代背景は現代です

「ただいまー」


朝方、逢は山を跨ぎ自分の家に帰ってきた。


逢の家、つまり『朱天』と『涼風』の家ということであり、この3人はもちろんの事、他にも数多くの鬼が住まう、大きな家であった。


「おかえり、逢。ご飯…の前に先にお風呂に入っちゃいなさい」


そう出迎えたのは着物にエプロンというどこかミスマッチな姿をした逢の母親、つまりは涼風であった。


「えー、お腹空いてるから先ご飯食べたいー」

「ダメよ。そんな汚れた格好で食卓に行かせるわけには行かないもの」

「ぶー…わかった。先お風呂入ってくる」

「はいこれ着替え。」


母親から着替えを受け取った逢はそのまま浴室に向かう。

脱衣場で服を脱いだ逢は手早く頭と身体を洗い終えると立派な檜の風呂に浸かる。

この家は多くの者が住んでいるため、銭湯のようになっているのだ。


「ふー…お腹は空いてるけどやっぱりお風呂は気持ちいいわねぇ…ぶくぶくぶくぶく」


口元まで湯に浸かり幸せそうにしている逢はそのままさっきの少女のことを思い出す。


「綱ったら可愛かったわねぇ…頭撫でて上げただけであんなに真っ赤になっちゃって…ふふふ。一目見たときから可愛い子だとは思ってたけど話してみて、弄ってみてもっと可愛いく思っちゃった」


綱のことを思い出し、さらに幸せそうな表情をした逢はのぼせないうちに風呂から上がった。


ーーーーーーーーーー


風呂から上がり部屋着のTシャツとジャージを身につけると逢は食卓に向かった。


「お母ーさん!ご飯!」

「はいはい、今持っていくわ。」


逢の目の前には白ごはん、味噌汁、焼き魚に和物といった純和風の物が並ぶ。


「いっただきまーす!」

「はいどうぞ」

「モグモグ…うーん!やっぱりお母さんのご飯は美味しいね!」

「そんなに嬉しそうに食べてもらえると作りがいがあるってものよ。ふふふ…そういえば今日の成果はどんな感じ?」


口に入れたものを飲み込んでから逢は、


「うん、やっぱりまだ首魁は見つからない。これまで大分探したけど見つからないってことはやっぱり『天狗』かもしれない」

「『天狗』…それが本当だと少し厄介ね…」


『天狗』とは妖の中でも『鬼』と並ぶ最高位の妖である。その数は鬼よりも少なく珍しい。『天狗』はその速さと気配を消すのが得意な妖であり、また自分から姿を見せることも滅多にないのが特徴である。


「今は逢に任せっきりだけどそろそろあの人にも行ってもらうべきかもしれないわね」

「うーん…でもそろそろ出てくるんじゃないかなー向こうから」

「あら何で?」

「今日から私、『妖狩り』の子と一緒にあの山を捜索することになったから。流石に『鬼』と『妖狩り』が一緒に敵対もせずに行動してたら不審がって探りに来るでしょ」

「確かにそれはそうね………え?『妖狩り』の子?」

「うん。可愛い子でね!頭を撫でて上げたら顔真っ赤にするの!」

「逢…『妖狩り』と一緒にいたの…?それも協力…?戦ったんじゃなくて?」

「昨日は戦いになったけどね。今日は向こうから話しかけてきて仲良くなって共闘だよ」

「…驚いた。妖と一緒に戦ってくれるような『妖狩り』が他にもいたなんて…」

「私もびっくりした。その子ったら『妖だから皆悪いっていうわけではないんですね』みたいに言うんだもの。『妖狩り』の中にもあんな子がいるんだなって驚いた…って他にも?いたの?」

「ええ…昔ね…。でももう昔の話だから。その子と仲良くするのよ、逢」

「わかってるよ。うん!ごちそうさま!それじゃおやすみー」

「はい、おやすみ」


逢は食事を終えると、自室に戻りベッドに潜ってスグに寝息をたて始めた-

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