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逢鬼物語  作者: 雅姫
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出逢い(2)

綱が女鬼に刀を振り下ろす。

それは『当代最強の妖狩り』の一刀。今まで数々の妖をその一太刀で切り伏せてきた必殺の一撃である。先ほどまで女鬼の美しさに惑わされていたとは思えないほどの鋭さを持っていた。


「あらあら、いきなり?」


だがそんな綱の一刀をあっさりと女鬼は躱した。


「なっ…!?」


相手はこちらに顔を向けていただけであり、綱は背中から切りかかったのである。なのに相手はあっさりと躱した。この事実に綱は動揺を隠せなかった。


そしてその動揺がそのまま致命的な隙となった。


「無礼な娘には鉄拳制裁!」


女鬼はその隙に一瞬で間合いを詰めそのまま綱の腹目掛け鋭い蹴りを放つ。

しかしそこは当代最強。これを刀の腹で辛くも防ぐ!


「くぅっ!」


ただこの女鬼の力は受け止めるには重すぎた。刀で受け止めた姿勢のまま綱は数メートル吹き飛び大木に背を打ち付けられた。


「がぁっ!」

「あら?大丈夫?強く蹴りすぎたかしら?」


先程まで綱が立っていた辺りで女鬼が呑気に杯を傾けながら声をかけてくる。その声に綱は、


「ぐっ…何が鉄拳ですか…ただの蹴りじゃないですか… 」

「ああ、両手が塞がってたからね。ごめんなさいね?」


そう、女鬼の両手は酒瓶と杯を持っていて塞がっていた。そのため鉄拳制裁と言いながら蹴り飛ばしてきたらしい。


「で?貴女、名前は?」

「っ…この力…そうか、貴様がこの山の主か…ならば…!」


綱は相手の言葉を無視しながら立ち上がり、そのまま斬りかかろうとした。しかし、


「まずはこっちの質問に答えなさいな」


立ち上がれすらしなかった。いつの間にか距離を詰めていた女鬼に肩を後ろの大木に足で押さえつけられたためである。


「貴女の名前は?」


上から見下ろされながら綱は質問された。


「…さっさと殺しなさい」

「質問に答えなさいって言ったのが聞こえなかったのかしら?」

「…貴様ら妖の質問に答える気なんてありません!」

「あらそう。なら哀しいけどここでさよならね」


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