プロローグ
その夜も少女は人に仇なす異形の存在ー『妖』を狩っていた。
齢は15といったところであろう。腰の辺りまで伸ばした美しい濡れ羽色の髪、白地に桜の模様を散らした着物、そして腰に提げた鞘。その鞘から白銀の刃を持つ刀を抜き、彼女は目の前の妖を斬り裂いた。
「ぐぎゃあああっ!」
人型の妖は斬られた箇所から赤い血を噴き出しそのまま背中から倒れ、そのまま息絶えた。
それを行った少女は微塵も疲れた様子もなく刀から血を払い、鞘に納めた。その幼いと言っても良い顔には何の表情も浮かべないままその場を後にした。彼女が狩った数十体の妖の亡骸をその場に残して…
その夜も少女は月を眺めていた。
齢は18といったところだろうか?肩の辺りにまで伸ばした月明かりを浴び輝く銀色の髪、花魁のような派手な柄の着物を着崩して肩まで見えているが決して下品ではなく、むしろ上品も言ってもいい色気を纏わせている。
彼女は今山の中の拓けた場所にある平たい岩に座っている。
「明日は満月ね…」
彼女はそう呟き、左手に持った杯を傾ける。
暫くすると満足したかのように立ち上がりその場を去る。美しき銀髪をたなびかせて…
『妖狩り』の少女と、『鬼』の少女。
敵対しあう彼女達の出逢いから物語は始まる。