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幸福な、ずっと幸福で過ごすと思っていた主人公はあるはずみで人を殺してしまう。
そこからこの主人公は幸福なんて言葉から縁の無い世界に落ちて行った。
生まれ変わりもひたすら酷いものだった。
酷い生まれ変わりで罪を犯すようになる。さらに酷い世界へ生まれ変わる。
その繰り返しを見せつけられた。
あまりに酷い光景にビールを手から落とす。
「これが半永久のルール」
俺の前に回りこみスクリーンを振り返りながらつぶやく。
無言でつばを飲み込み、ミカンを見つめる。
「永久に幸せを保証しちゃったらやりたい放題でしょ」
鼻歌でも歌うかのように言いながら軽くステップを踏む。
そういえば最初もこんな感じだったな。こいつの癖なのか?
「だから半永久。こういう寿命を狂わせるような事をすれば剥奪される。
でもいい子にしてればさっき言ったとおりずっと幸せな生の繰り返し。
転生する時には忘れちゃうけど、死んだ後はまた一回ここへ来て、全て思い出し、
次はどういう生がいいか選べるプランもあるんだ」
「で、でもあれだろ。殺された方も寿命だったんじゃないのか?
一方的に悪いってわけじゃないんじゃ・・・・・・?」
「理不尽な死」
その一言にハッとする。
「めったにないって言ってたあれか?」
「そう。ここでの仕事を終えて転生したモノが、不必要な、
自分の生とは関係のないまだある寿命を奪う行為をして、
奪われたモノが出た時に生じるのが理不尽な死」
スクリーンではまだ悲惨な転生が続いている。
「一番最初のルール。寿命には関与しないが最優先。
カツミだって自殺しないでいいような生き方してたのに、
急に殺されたら、まだ生きれた!って、悔しくなるでしょ?」
「そりゃそうだけど・・・・・・」
「だからルールを破るとこうなるの。想像してみてよ。
このルールなかったらこのモノたちはずっと幸せなまま理不尽な死を作り出すんだよ」
お世辞にも豊かとは言えない想像力をかきたてるまでも無くぞっとする。
「な、なあ、ミカン。一つ質問あるんだけど」
寒気を払うように気になっていたことを口にする。