7.しぇいれいおうでしゅ
新キャラ登場です。
朝起きたら、聡の目の前を、手のひらサイズの赤ん坊がふよふよと浮いていた。
「なんだ、これ?」
首をまわすと、部屋の中には、他にも何人かただよっている。髪の色は、赤、青、緑など非常にカラフルだ。シンがらみなのは、間違いないだろう。
横を見ると、みさとはもう起きているので、とりあえず聡も起きることにした。子ども部屋をのぞくとシンも起きているようだ。にぎやかな朝食になるなと、ふっと笑った。
顔を洗ってから聡がキッチンに入ると、大分大きくなったシンが床にペタンとすわってる。その周りに5歳児くらいの子どもが、6人取り囲んで、おしゃべりしていた。髪の色は、赤、青、緑、茶、黒、金とばらばらだ。どうやら、また変化があったらしい。うん、ゆうべがんばったもんな~と思っていると、フライパンをゆすりながら、みさとが振り返った。
「おはよう、聡。すぐにご飯できるよ」
「おはよう。シンもおはよう。すごいな、一人ですわれるようになったのか」
「あ~い!」
シンが両手を伸ばしたので、ひざをついて抱き上げると、聡は子ども達にたずねた。
「え~と、君たちは?」
「はじめまちて、おとうしゃま。ぼくたちは、しぇいれいでしゅ」
緑色の髪の毛の男の子が、そう言うと、6人でぺこりとお辞儀をした。
「しぇいれい…。ああ、精霊ね。浮かんでる赤ちゃんもそうかな?」
「そうです。シンしゃまが、せいちょうされたので、うまれたのでしゅ」
緑色のこの言葉に、5人がうんうんうなずいている。どうやら、緑色の子が代表して話すらしいと、聡は気付いた。
「あの子たちは、ふつうのしぇいれいでしゅ。わたしたちは、しぇいれいおうなんでしゅ」
「しぇいれいおう」は、精霊王のことかと思い当たり、聡がうなずいたところで、みさとがご飯だと声を掛けた。
テーブルに、あきらかに2人分以上の料理が運ばれると、6人はキラキラした目で見つめてる。みさとが笑いながら、一緒に食べようというと、ぱあっと笑顔になり、我先にとイスによじのぼった。
シンちゃんはこっちね、と冷ましてあったミルクを渡された聡は、左足の上にシンを座らせ、シンとシンが持ったミルクを左手で支える。食事は、右手だけでするハメになった。
かわいい精霊王達は、一生懸命に食べている。多少の食べこぼしは、仕方がない。
「おかあしゃま、おりょうりじょうずです~」
「おいしい~。タマゴふわふわなの~」
皆に褒められて、みさともにこにこだ。口の周りを拭ったりとかいがいしく世話をやいている。
食事が終わってから、リビングへと移動して、6人の話を詳しく聞くことにした。
6人は、この世界のもっとも基本となる精霊王だという。
髪の毛の色が赤が炎、青が水、緑が風、茶色が土、黒が闇、金が光だった。
「まあ、テンプレだな。ところで、君達は、それ以上育たないの?」
「ぼくたちは、シンしゃまのせいちょうにあわせて、おおきくなりましゅ」
「そうか、わかった」
「ねえねえ、名前教えて」
みさとがそう言うと、6人が困ったように顔を見合わせる。
「まだないのでしゅ。シンしゃまが、おはなしできるようになったら、つけていただくでしゅ」
「あら、じゃあ、それまでなんて呼べばいいかしら。名前がないと不便だわ」
「かみのけのいろでおねがいしましゅ」
ということで、それぞれアカくん、アオちゃん、ミドリくん、チャーちゃん、クロくん、キンちゃんと呼ぶことになった。
基本、アオちゃん、チャーちゃん、キンちゃんの女の子グループはみさとに、アカくん、ミドリくん、クロくんの男の子は聡にくっついてくるようだ。
話がまとまったところで、みさとと女の子グループはキッチンへ片付けと昼ごはんの支度に、シンと聡と男の子グループは子ども部屋へ6人分の布団の確保に向かった。
こうして3人+6人+その他のにぎやかな生活がはじまった。
《シン》
おともだちができたの~