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20.あどけない瞳ーver.みさと

リクエストがあったので。お母さま幼女化です。

ゆっくりと覚醒していく中、聡はみさとを抱きしめる腕に力をこめた。


( …?)


 いつもとなにかが違う。腕の中がすかすかしてる。違和感に聡は目を開けた。

 目の前には、5歳くらいの少女が眠っていた。


「リン…?なんで…


 困惑しながらも、聡はリンを起こした。


「リン、起きて。シンはどうしたんだ?」


 揺すって起こすと不機嫌ながらようやく目を覚ました。


「ねむい…」


「ほら、リン、ちゃんと起きよう」


「違う。リンじゃない」


「え?じゃあ君の名前は?」


「みさとよ。おじさん、だれ?」


 推定5歳の自称みさとは、両手を腰に胸をはるのだった。



「あら~、私って母親似だったのねぇ」


 思わずもれたリンの感想に、周りの神族と精霊王達はうんうんと同意した。

 言われた当の本人・みさとは、若干やつれた聡の膝の上に乗っかって美味しそうに朝食を食べていた。聡はみさとに「おじさん」と言われたのがショックだったらしい。5歳児から見れば、25歳も立派におじさんに見えるのだ。

 聡は片手でみさとの面倒を見つつもう片手で自分の食事をとるという、難しくも懐かしい技を駆使している。


「それにしても、何で小さくなったんでしょう?」


 チャイの疑問に、全員が首をかしげる。


「しかも大人の時の記憶が無いみたいだし」


「「「「う~ん」」」」


 ミドゥーリの言葉に、全員の首が更に傾いでいく。



 そこへ遅れたクロウドとキンシャが食堂に入ってきた。


「ねぇ、誰か緑色の小瓶知らない?ゆうべ研究室に片付けたはずのがないんだよ」


「…それってこれくらいで取っ手のついてるヤツ?」


 聡が片手で大きさを示すと、クロウドがぱっと顔を明るくした。


「そう、そうです!お父さま、どこにありました?あれ、飲むとどうなるかわからなくて…」


「…ゆうべ、みさとが寝る前に飲んでた…」


「「「原因はそれか~!!」」」


 頭を抱える聡の膝の上で、みさとはご機嫌だった。



 それから、クロウドとキンシャとシンが瓶に残っていた薬を解析した結果、まあ今日一日で薬の効果は切れるだろうということがわかった。


「というわけで、今日は一日お母さまの子守をお願します、お父さま」


「仕方ないか~、久々の子育て復活だ~」


 ため息をつきながらも、聡もチビみさとのお世話に満更でもない顔だ。早くも女性陣は聡とみさとの周りを囲んでいる。なんだかんだ言っても、小さい子はかわいいのだ。しかもチビみさとは女性と対等に話している(と聡は思った)。みんなにかまわれてキャッキャと笑い声をあげ、時折恥ずかしそうに聡にしがみつく姿を、女性陣はほほえましく見守る。


「小さくてもお母さまはお母さまだな」


「うむ、女性陣は中身がお母さまだと忘れているようだが…」


「お母さま、完全に女性たちを掌握してるよね」


 男性陣がこそこそとそう話していたことを、女性陣が知ることはなかった。


 女性陣にいっぱいかわいがってもらったチビみさとは、室内に飽きて外に行きたがった。

 外に出ると、庭でくつろいでいる聖獣たちに目をキラキラさせて飛び出しそうになるのを、聡が押しとどめる。


「みさと、いきなり飛びついたらビックリするだろ?挨拶してからだ」


「はぁ~い」


 うずうずしながらレンの側に連れて行ってもらうと、チビみさとは大きな声で挨拶をした。


「あたし、みさとよ、5さい!」


 レンは突然現われたチビみさとに面食らいながら、後ろの聡をチラッと見た。


「レンです。お父さま、このお子は?」


「あ~、薬で今日だけちっちゃくなったみさとだ。よろしく」


「は、薬で、ですか。では、動物達にそう伝えておきます」


「うん、よろしく」


 レンと聡の話がつく頃には、チビみさとはレンにしがみついていた。


「うわ~、もふもふ~!かわいい~」


 レンのお腹に頭をグリグリするチビみさとの姿に、聡は動物達を骨抜きにするみさとを思い出し、さすが同一人物だと感心するのだった。


 その後も、ひーちゃんに乗っては羽をむしって振り落とされそうになったり、ブランに「かわいくない」と暴言をはいたりと、暴れまわるチビみさとに聡は振り回されっぱなしだ。落ち込むものたちを慰めながら、チビみさとを見ていなくてはならないのだ。しかもずっと「おじさん」呼びなのが余計に心にひびく。

 さすがに5歳児の体力では、そう長い時間持つはずもなく。いつもより早い時間の夕食の席で、チビみさとは、半分眠りながら口を動かしていた。


「あらあら、ちっちゃなお母さまはもうお眠ね」


「そうだな、みさと。ご馳走様だな」


 チャイと聡が片付け始めた。握り締めたフォークをはずされ、お口を拭かれてもチビみさとはされるがままだ。

 聡が抱き上げると、首に抱きついてきた。


「やっぱりお母さまはお父様が一番ね」


 くすくす笑うチャイに後を任せて、聡はふにゅふにゅ言ってるチビみさとを寝室へと運ぶ。


「やっとねてくれたか…」


 この一日で精神的にげっそり疲れた聡は、早く朝が来ることを祈るのだった。



結論。5歳女児の言葉づかいはきつい。

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