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18.にゃんにゃん騒動記

本日はネコの日ということで。

 このところ皆のお父さま・聡の機嫌はよろしくない。というか下降線の一途をたどっている。

 その原因は…


「いや~ん、かわいい~」


 聡の目の前で、皆のお母さま・みさとが白い仔猫を抱き締め、スリスリしていた。


 仔猫は、神の森の中で最近生まれたものだ。母猫が弱って世話ができないので、保護されたのだ。

 全部で5匹いて、交代で世話にあたることになったのだが、暇をもて余したみさとが率先してお世話をしていた。


 みさとは、朝から晩まで仔猫達に付きっきり。聡にかまっている暇はない。しかも、心配だからと仔猫達と一緒に寝る始末。

 ほっぽっておかれた聡の機嫌は急降下。


 見かねたクロウドがみさとにもう少し聡をかまった方がと進言するも、「やーねー、仔猫に嫉妬するような小さい男じゃないわよ~」 と返されて、なにも言えず。それを聞いて聡も何も言えなくなってしまったのだ。


 かくして、仔猫とたわむれるみさとを離れたところから見る聡の機嫌が益々悪くなっていくのであった。


 聡の状態を危惧した精霊王達は、シンになんとかならないかと相談した。


「う~ん、母さま、仔猫に夢中だからなぁ」


「ですが、そろそろお父さまのお相手をしていただかないと、皆が不安になってきています」


「だよねぇ。あ、そうだ!いいこと思いついた、父さま呼んで!」


 シンはブスッとした聡を呼び出すと、ある計画を持ちかけた。



 翌朝、仔猫達の朝ごはんを与えていると、キンシャが腕に更に小さな仔猫を抱いてみさとのもとへとやって来た。


「あら、どうしたの?その仔猫」


「迷い子なのです。お世話をお願いしても?」


「もちろんよ、いらっしゃい」


 みさとがキンシャから、小さな黒い仔猫を受け取り胸に抱いた。仔猫は、みぃと小さく鳴くと、みさとの胸にスリスリする。


「あら、まだおっぱい?」


 クスクス笑うみさとに仔猫を任せて、キンシャは部屋を後にした。

 顔をひきつらせてクロウドやシンのもとへ戻るとはぁと息をついた。


「無事にお母さまにお預けしましたが、上手くいくのでしょうか?」


「まぁ、取り敢えずお母さまにかまってもらえて、お父さまの機嫌は良くなるだろう。仔猫がお父さまだとバレたらその時だ」


 シンの計画とは聡を仔猫にしてみさとに世話してもらうというものだった。最初は難色を示した聡も、1日中抱いててもらえるんですよというシンの言葉に心を動かした。シンに1日仔猫の姿にしてもらうと、嬉々としてみさとのもとへ向かったのだ。


 一同は、お父さまの幸運を、しいては自分達の平穏を祈るのだった。



 一方、仔猫になった聡は、ここしばらく触れていないみさとにべたべたしまくっていた。

 胸に顔を埋め、顔中にキスしても怒られない。みさとの注意がそれてもテシテシすれば大丈夫。なんて幸せ。


 思う存分みさとを堪能して、みさとに遊んでもらってうとうとし始めた聡。


「あら、おねむね。うふふ、甘えん坊だなぁ、聡は」


 その言葉に聡の眠気は吹き飛んだ。


「にゃ、にゃあ」


「わかってるわよ、シンちゃんに頼んだの?私も、ちょっと仔猫ちゃんにかまいすぎたかな~って思ってたのよね~」


 みさとが仔猫聡と額を合わせる。ニコニコと笑っているみさとに、聡はおそるおそる尻尾を振った。


「今日は、ずっと一緒ね」


 その言葉に聡はふにゃんとなる。抱きかかえられて、背中をなでられ、またもやおそってきた眠気に身を任せながら聡は思う。


 やっぱりみさとには かなわないや。


はい、みさとの手のひらの上で転がされる聡でした。

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