10.南の島が呼んでいる
いつにもまして短いですが、キリがいいので。
それは、秋から冬へと季節が変わろうとする頃、午後のお茶を飲みながらみんなで世界テレビを見ていた時の事。エメラルドブルーの南の海に浮かぶそれは綺麗な島が映った。
「うわ~、見て見て!綺麗な島よ~」
みさとの声に、全員が同意する。
「あったかそ~」
アカギのつぶやきに、皆は枯葉舞う窓の外を思い出した。どんよりと暗い空に冷たい木枯らしに比べれば、南の島のなんとステキに見えることか。
「よし、行こう」
聡の一言で、南の島への旅行が決まった。
翌朝。みんなにとって旅の支度なんてお手の物。必要最低限の荷物を持って、神族様ご一行は巨大化したレンとブランとひーちゃんに分乗し、いざ出発!もちろん飛べるものたちは自力飛行で。
寒さはシンの力でばっちりガードされ、快適な空の旅だった。
眼下に見える景色がぐんぐん変わっていく。神の森のある地域は色の無い季節へと移り変わるところだったが、南下するにつれて色鮮やかになっていく。草木は緑にあふれ、花色も目にまぶしい。
「わ~、夏だねぇ」
シンの嬉しそうな声が聞こえる頃には、太陽がまぶしい南国になっていた。このあたりは、南の王国になるので、降り立つとちょっと面倒なことになるため、さらに海の上を飛び続ける。南の王国は、信仰心が篤いので、歓迎されすぎてしまうのだ。
なんにもない海の上を飛ぶことしばらく、ちらほらと小さな島々が見えてきた。この先にもう少し大きな島がいくつかあるのは、双賢者が調査済みだ。
「クロウド、どの島がいいかな?」
「あの小山のある大きめの島がいいでしょう。川があります」
クロウドの指差す島へと向かい、浜辺に降り立つ一行。
森の中から小さな精霊達がわらわらと現れて、シンに挨拶をし、島の情報を教えていった。
誰も指示しなくても、子供の相手をするもの、水と食料調達に森へ入るもの、住居を作るものと別れて作業が始まった。聡は冒険だと森へ入り、みさとはチャーちゃんに手伝ってもらいながら、石でかまどを作っている。
みんな楽しそうだ。
住居を作るグループは、シンを中心に砂に棒で書きながら間取りを決めていた。決まったら、シンの力でパッと作るのだ。神様に不可能はない。
子どもたちは、しばらく砂浜を走り回った後、今は砂山作りに夢中だ。リンやアオイも一緒になっていた。大作ができそうだと一休みして見ていたみさとは微笑んだ。
森の中に入ったグループは、冒険は男のロマンだと力説している聡とアカギを先頭に嬉々として進んでいる。その後にミドゥーリと男性数人が続き、最後は双賢者だった。クロウドとキンシャは南国特有の植物に興味津々で、もはや食料調達は頭に無さそうだ。
島の精霊達に教えられて、食料調達はあっという間に終わった。
聡達が浜辺に戻れば、立派な別荘が完成し、かまどにも火が入っていた。子どもたちはアオイと一緒に釣りをしている。
なんといっても、神と精霊王達がいるので、不可能なことはないのだ。
南の島の生活は、始まったばかり。




